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怪我の裏側で

それはルナ・マギラウスに模擬剣の刺さる少し前のこと。


「やぁやぁやぁ久しぶりじゃないかクロム将軍?」

「やめろよマーク。俺たちの中だろう?」

「あのイノシシクロムがねぇ?」

「あの一芸バカのお前がなぁ…」


クロムとマークが久しぶりに出会い


「「世の中わからんこともあるもんだなぁ」」


お互いを貶し合っていた。

ワーワー騒いでいる。


そこへ今まで静観を決め込んでいた…


「おっこれはこれはクロム将軍……と敬ったほうがいいのかな?いや敬う必要などもうないか」


元将軍ハウルが乱入。



これはまだ魔法談義が始まる前の話である。


ちなみにご婦人たちはソニア・イースのものへ向かい渋い執事のフェルの入れる紅茶とお菓子に舌鼓を打っていた。


「それでな実は俺とんでもない発明したんだよ!」


そう言って現代人が見ればワイヤレスイヤホンとでも呼ぶべきものを取り出した。


「これは今までできなかった無線念話魔道具だ!」


自慢げに言うマーク……しかし


「お?おぅ…それはすげぇな!」


どこらへんがすごいのかよくわかってないクロムである。


「おぉ!ようやったのぉ!

でこんなところで見せると言うことはまだ試作段階と言うことじゃな?」


ハウル元将軍は時に少年のような無邪気な笑顔を見せる。

しかしこれでもかっこいいおじぃちゃんを体現しているのだ。


つまりイケメンでカリスマなのだ。


「うんまぁそうなんだが…試して見ればわかるから。よしとりあえずクロムお前つけてみろ」


と言いながらクロムにずいっとマークはその魔道具を差し出す。


「え?やだよ。どうせ爆発するんだろ?」

「しねぇよ!……多分な、まぁ爆発してもお前なら生きてるだろ?」


無責任にもほどがある。

科学に犠牲はツキモノデース?


野球バラエティでやってください


「おそらく満身創痍でな!つーか多分ってなんだよ!おい聞いてんのか?!」


そして耳が爆発してもおそらく生きているとのたまうこのゴリラ…ゲフンゲフン…クロムゴリ将軍は、おそらくゴリラを超越している。


「ごめーん。俺今、この魔道具つけてるから聞こえなーい」

「あぁそうか…それはすまなかっ……て聞こえてるんじゃねえか!」


スパーンッと気味のいいツッコミが入る


「何やっとるんじゃお前ら……」


ハウル元将軍が呆れるのも仕方のないことだ


「まぁともかくな?こいつの弱点は伝達距離の短さなんだよ大体30メーターが限界だな、それで解決案が欲しいんだがな……」


とマークが喋っているところに


「ああーよかった……ん?おぉクロムにマークじゃないか。おっライカちゃんはこのおっさんに会うのは初めてだよね。おいお前らライカちゃんに挨拶しろ。」


イース家現当主レイン・イースである。

そしていきなりの挨拶しろ宣言。

このクソ貴族が!と言いたいところだが実際のところは超優秀である。


つまり…親バカが進みすぎて一時的にバカになっている…と思われたが実はこれは合っているのである。


身分の低いものは身分の高いものから声をかけられるまでは名乗ったり声をかけてはいけないと言う暗黙のマナーが貴族の中にはあるのだ。


ちなみにこれは王族に配慮されたものでこのマナーがなければ王族がパーティなどに出ることはないだろう。


つまり貴族としての最低限のマナーである。


しかし悲しいかな。


クロムとマーク。この二人、貴族の一員とはいえ現役の軍人であり……


頭はいいのだが一般常識が若干抜けているのである。


「「いや、逆だろ」」


そしてそのマークの娘のルナも同じことを思っていたのであった。


そしてライカは出てくるなり完璧な礼をする。


「どうも、ご機嫌麗しゅうございます、マーク・マギラウス様、クロム・ウィルスタント様。私はライカ・イースと申します。よろしくお願いします」


勿論隠し子だと疑われてしまっては仕方がないが別段そんなことを気にすることもないタイプなので 問題はなかった。


そして話は移る。


「へぇそれゃすげぇな。ちょっとばーちゃん呼ぶわ。いい案があるかもしれない」

「しれっと将軍を召喚するなよ」


レインはおばーちゃんに連絡をしていた。


精霊魔法、風属性、『風の囁き』


「来てくれるってよ!」

「「まじかよ!」」

「でもここへ来る道がよくわからないんだと……え?今竜の谷の底にいるの?!」

「「何やってんだよ」」


パワフルばーちゃんだからね


そんな話をしていると子供は飽きて離れて言った。


そしてクロムが突然語り始める。


「最近さ…息子が反抗期?というかグレちまってなぁどうしたらいいと思う?しかもバカだし」

「バカはお前から引き継いだんだろうなぁ。それに比べて俺の娘は天才だ!きっとエレーナと俺に似たんだな」

「似てなかったら問題だろ」


その通りである。


「まぁとりあえず?ガツンと一発言ってやればいいでしょう」

「ところでその魔法具に使われている魔法回路……ドベール式ではないか?」



こうして魔法談義に花は咲き……


ザシュッ……


「うっ……なに?これ?…ママ、パパ、…助け…て……うっ」


悲劇は起こったのだった。


そしてその瞬間念話では会議が行われていた。

思考で会話ができるのですごいスピードでこの後の予定が組まれていった。


勿論マークは大激怒していたがあのばーちゃん将軍を呼んでいたために少し心に余裕ができていた。


それならいっそのことガヴェイルを更生させてしまおうという魂胆である。


勿論更生したところでガヴェイルを許す気などさらさらなかったが。


そしてガヴェイルによる勘違い失言の連発によりマークの堪忍袋は限界を迎え、マークの妻であるエレーナの堪忍袋の緒がブチ切れなさった。

まぁ当然のこと。当たり前である。


『おい、クロム、テメェ…いや、なんでもねぇ。とりあえず絶対許さねぇからな』

『あぁ…なんでガヴェイルはこんなことを…すまない…本当にすまない』

『お前の謝罪などいらん。むしろお前に尻拭いさせてるガキに腹が立つだけだ。とりあえずそのガキに心から後悔させてやりたいんだが…いいか?』

『……何やらかすつもり?……んん…うん、仕方がないよな。ガヴェイルもやったことへの責任を取るべきだから』


と言いながらファイアボールとウォーターボールをさばくクロム。


『おいおい、責任取るってそれがいったんだぞ』

『だからって殺さなくてもいいだろう!こんなだけど俺も親だ!』


と言いながら土下座を繰り出すクロム。

口でも念話でも似たようなことを言うのは仕方ないことである。


そこへエレーナ夫人からの発言


「じゃあなんでもいいのかしら?」


『おいクロム…はっきり言おう。俺の可愛い嫁さんは今超バイオレンスだ。』

『言われなくてもわかってる』

『おいおいそれは俺に喧嘩を売ってるのか?』

『どうしてそうなる!』


がクロムはガヴェイルの命が助かるなら…と思っていたのだが


「じゃあ……あなたの左腕をもらおうかしら?」


『なぁお前の嫁って……』

『か、可愛いだろ?』

『家でもそういうプレイやってるの?』

『や、やってねぇし!』

『あぁ…うんうん。性癖って人それぞれだよね』

『おいっ!っていうかお前何承諾してるんだよ!腕だぞ!』

『いや、だっておばーちゃん将軍がくるっていうから』

『あっ……くっつけて貰えばいいか…みたいな?』

『そうそう、そんな感じ』

『それ罰になってなくね?っていうか意外とお前息子に好かれてるぞ』

『俺の左腕が飛んだら息子はそれなりのショックを受けるだろうさ。むしろ受けてくれなかったら俺が傷つく。それにもし片腕になっても剣が振れないわけじゃない』

『俺は両腕があるお前と戦いたいんだがな…』

『もう俺らもガキじゃないんだ。酒を飲み交わすくらいがちょうどいいだろ…というかお前の嫁さん容赦がなさすぎる』

『今度ステキな酒屋に連れていってやるよ。うん、俺の嫁さん最高だろ?つーか腕が飛ぶなんて子供に見せる光景じゃねぇな』

『そうだなレインさん達に合図送っておくか』

『そのウインクやめろ。多分伝わってない』

『いや、そんなことは……ない!』

『なんだと!』


ソニア夫人がライカに抱きつくと耳を揉んでいた。するとみるみるうちにライカは蕩けた表情をした。


『……』『……』

『『あれ…ガキだよな』』


色っぽいを通りこして、もはや妖艶とも言える雰囲気を一瞬出した6歳児のライカさんに戦慄するおっさん二人だった。


そしてレインからの通信が入り二人はそちらをちらっと見るとその背後に瞬間移動してきた身長約140cmのロリエルフババアを目撃するのであった。




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