2〜見知らぬ場所〜
=起きなさい
「んにゃ、あとちょっとぉ」
=起きなさい
「んにゃあと30分くらぃ」
=いいから起きて!早く!
「んー」
=早くこの手を取って!
「ふわぁぁああ、んにゃんにゃ」
=くっ、私でももう限界ね。これだけでもいいから受け取って!
「んーわかったぁ」
=いつかまた会いにくるんだよ…私の……
ーーーーーーーーー
変な夢を見た
黒い海の中をゆっくりと落ちていくときに誰かが手を差し伸ばし続けていた夢だった
最後にその誰か、多分女性は光るものを私にくれた
なんだったんだろう
お腹が空いた
コタツから私は出る
「しらないへやだ…」
私は知らない部屋にいた
しかもサイズがおかしいのだ色々と。
何というか大きい。
どれくらいかというと椅子の座るところが私の胸あたりにくるくらいといえばわかるだろうか。
私の身長は159cm。その胸あたりだから大体110cmの高さのある椅子
ね?おかしいでしょう。
「それにしても」
私は部屋を見渡す
確かにどれもいいものばかりだが…
「せんすのかけらもないわね」
コタツにヨーロピアンな絨毯、アジアを感じさせる竹製の椅子にシックなガラス張りの机で壁にはアイドルらしき人のタペストリー
おとテレビは液晶テレビだった
全く調和を求めないが散らかってはいないという光景が広がっていた
しかし私はそれに驚いている暇はない
「おなかへったなー」
なぜか私はすごい空腹感を覚えている。
いや空腹感を通り越して飢餓感すら感じている。
そして私は見慣れたものを見つけた
「あのりんごだ…」
コタツの上に見慣れた黄色いりんごが10個ほどカゴの中に入れてあった
もしかしたら他の人のものかもしれないけど…
背に腹は変えられない
「いただきます」
それから私は一心不乱に黄色いりんごを食べた
普通はそんなに食べきれないはずなのに気づいたらりんごはもうカゴに残っていなくてカゴの中にはアメが三つ入っていた
私はアメを三つ口の中に入れたままゴロンと寝転ぶ
アメを飲み込むとようやく頭が冴えてきた…気がする
「しらないてんじょうだ」
言ってみたかったんだよねこのセリフ、ってそんな話じゃないよね
「はぁ、これからどうしよう」
まったく心当たりがない。
ここが真っ白な世界で『あなたは死んでしまいました。しかし転生することができます』と言われた方が納得…できないな。
「あぁーここどこー!」
叫ぶも誰も反応しない
フェルもミーシャもレイさんもここにはいない
なぜか突然泣きたい衝動に駆られる
1人だと思った瞬間急に心細くなる
「あっそうだ、けいたい」
自分の携帯くらいどこかにないかと探すコタツの中を見ても自分の来ている白いワンピースのポケットにも…
「え?なにこれ?」
私はワンピースなんて着ていなかった。
白いワンピースなんて持ってもいなかった。
「どういうこと…」
そしてわけがわからなくなって私は泣き出してしまった。
「うわぁぁぁあああなんなのひっぐここどこひっぐどういうことひっぐフェル…うわぁぁぁあああ」
そして私は泣き疲れて寝た
ーーー
「ぐすっ」
私はよくわからないところにいるがとりあえず部屋の中だけでなく外にも出てみようと思う
ここは分からないことが多すぎる
「とりあえずべらんだにでよう」
独り言が増えた
「うぅおもい」
窓が重い。体重をかけてやっとの思いで窓を開けると
「ヒヒーン」
「うま?」
馬がいた。
しかも多分10メートルくらいの
私はなにも見なかったことにして窓を閉めた
え?なにここ?
牧場?競馬場?
もう一度見る
「ヒヒーン」
「うま…だね」
私は窓を閉めた
だが何か変なものを見た気がしたので立ち止まった
そして窓を開けた
「え?あしはっぽんある?」
=当然だ。儂はスレイプニルだからな。=
………
私は部屋の中に入り窓を閉めた
「ヒヒーン」
=おい!そこの可愛い娘よ。なぜ閉める。=
馬が喋るその事実に私は反射的に反対側へと進み外へ出るであろう扉を開いた。
「おおクライブ久しぶりだ…な………」
ヒゲを生やした私より少し大きいお爺さんに出会った
まず扉を開けた先にあったのは噴水のある広場だった
でそこのベンチに寝転がっているお爺さんに今声をかけられた
「わたしはくらいぶじゃありません。あずま ひかりです。はじめまして。」
そう言ってぺこりとお辞儀をした。
そうしてから顔を上げるとお爺さんはわなわなと手を震わせていた。
「た、大変じゃ…大変じゃー!みんなちょっと起きてこっち来い!クライブが女神を連れ込んだぞ!」
そうお爺さんが呼びかけるとガチャガチャと広場に面した扉が開いて人が集まって来た。
ムキムキのおじさんとかすらっとした金髪美人とかメガネかけたいかにもインテリですみたいなローブ着てる人とか母性溢れる素敵なお母さんみたいな人とか明らかに眠そうな男の子とか
でもとりあえず訂正しないといけない点が…
「わたしはめがみじゃないでしゅ!」
噛んだ!
うわぁ恥ずかしい。目線が痛い!
「うわっ何?この生き物!可愛いっ!ん?ここにいるってことは生きてる?まぁどうでもいいわ!うわっほっぺプニプニで気持ちいい!」
金髪美女が私のほっぺを引っ張る
こんなにほっぺって伸びたっけ…
「うぅいはいへふ(痛いです)」
「可愛いっ!!」
「全くかわいそうでしょ。ほらやめなさいノエル。ほらーリーブおねぇさんのほうがいいよねー」
母性を感じる人がまぁこの際オブラートに包まなくてもいいか。巨乳美女がノエルと呼ばれている金髪美女から救ってくれた。
「クライブもついに堕ちたか…
幼女に手を出しあまつさえ拉致し自室に閉じ込めるなど…」
筋肉マッチョが何か言っている…
「ゲイン。悲しいけどこれは現実だ。
部屋の中にはいなかったし愛馬もそのままだ。あいつは渡った可能性がある。」
そうインテリローブがいう
「それは本当!?マギナ!本当なら不味いわよ。そうなると…いやでもこの子の格はそういうレベルじゃないわよ…」
そう巨乳美女リーブがいう
幼女?
「ほら、とりあえずひかるちゃんこっちに来なさい」
「へぇガンテツはヒゲもじゃのくせに優しいね。その子ひかるちゃんって言うんだ。僕はティムよろしく」
誰が?
「「「ひかる…ちゃん?」」」
私が?
手を見る
いつもより小さい気がする
足は?
いつもより短い気がする
じゃあ胸は?
それなりにあったはずだけど今は幼稚園児並みだと思う
つまりそう言うことなのか?
でも現実はそうだとしか
確かめるしかないか
「すいません。かがみありませんか?」
「あるよ…えいっ」
マギナと呼ばれているインテリローブお姉さんが手をかざすとそこに水が集まってきて鏡になった
そしてその水鏡に映っていたのは銀髪幼女になっている私の姿だった
「ありがとうございました」
私は…転生したのだろうか…
「別にいいよ。それよりも大丈夫?」
なぜか心配された
「なにを心配しているんだ?」
確かに、なにを心配してるんだ?
「いや…なんでもない。少し揺らいだだけみたいだ。それにしてもすごいな…」
揺らいだ?なにが?なにがすごいの?
というか
「すいません。ねむたいのですが。」
「おいどうする?」←私以外の全員
普通に寝床を準備してもらえればいいんですよ?
とそんなことを思っていると
「「「ッ!」」」
突然筋肉ゲインインテリマギナ金髪ノエルの雰囲気が変わった。というかゲイン籠手をマギナは杖をノエルは弓を構えていた
「来やがったな」
「おい容疑者のご到着だ」
「盛大に歓迎してやれ」
そう言って全員が私の出てきた部屋の入り口に注目する
そして奴は現れた
「「クライブっお前!」」
その男の人はすでにボッコボコのフルボッコにされていた。
顔面は腫れ上がり右手は三角巾で固定してあって松葉杖をついている
「ごめんみんな…ドジやっちゃったかも…ガフッ………」
………ねむい。とりあえず最寄りの人を頼るか
「げいん。わたしねむたい。」
わたしは要求を伝えた
「そうか…よいしょっと」
ゲインはわたしを軽々と持ち上げて運んでくれた
「こいつ…どうする?」
「そいつはたぶん今やると消滅するぞ?」
「それは不味いな」←全員
「じゃあ復活次第ボコるってことで?」
「この子がどういう子かなんとなくわかってるだろ?緊急だぞ?」
「でも探してみたけどその子に合うウツワがないわよ?」
「そいつに作らせればいい。とびきりのをな」
「それはいいね!」
わたしはなんの会話をしているかわからなかったしついでに眠かったので寝た