表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/64

26 〜戦い、終了〜

目の前には倒すべき敵が沢山いる…


「行くよ!フェル!ミーシャ!レイさん!」

「了解!」

「わかったにゃ!」

「承知」


私たちは固まったまま動く。



私は1号を構える。

フェル達は素手だ。



武器を使うのは単なる趣味で、本来は徒手格闘が一番得意なんだそうだ。


そりゃもともと犬や猫だからね…

最近忘れてたけど。



そして私達は全力で走りながら魔物の群れの左側に突っ込んでいった



ただ……私たちは手加減というものを忘れていた








私を先頭に左後ろにフェル右後ろにレイさんそして私の後ろにミーシャというフォーメーションで走る。



ただどうにも最近体を思いっきり動かす機会もなくちょっと体が鈍りそうだったので

私は久し振りに本気(・・)ではなく全力(・・)を出すことにした。





意識を変えると共に世界が変わる


時間が凄まじくゆっくりと流れるように感じる

だんだんと音が遠くなり聞こえなくなる

だんだんと世界から色彩が消えて白黒になる


舞い上がった枯れ草は空中でその動きを止め

進撃を続けるはずの魔物達の歩みも止まっている



これは私の脳内処理速度がとても早いためにこう感じるだけだ……多分。


うん、人間やめてるね




そして私が全力で走り始めた瞬間フェル達は私についてくることができなくなった。

……残念じゃないというと嘘になる。

一狩しようぜと誘える狩友が欲しい。



走る。

目の前の空気を左右に押しのけ進む。

ついでに日頃の鬱憤も晴らす。


あ、ストレスなんてなかったわ。




そして群れの元へと到着するが歩みは緩めない



一歩前へ踏み出すとともに刀を一閃



そして硬直している亡骸の間を通り抜けながら二閃、三閃



切られたはずの彼らの首は繋がっている。


まだ斬られたことに気づいていないのだ。


何体か魔物を倒して行くとだんだん楽しくなってきた


私は止まらない!



ヒャッハー!!



強者を求め前へ前へ



ゴブリンもコバルトもオークも変わらない



首、心臓…その他諸々の生物の弱点を切り捨て続ける



誰一人…いや一匹として私に気づかない…



面白くないが前へ進む。

誰か強いやつ出て来いやー!



取りこぼしはきっとフェル達が何とかしてくれるだろう。



私は空気の壁をどかしながら進んで行く



マネキンみたいに立ってる奴らを切る


切る切る切る


斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る



とにかく斬る

目の前の敵を切る

目の前にある敵全てを


斬り捨てる



それから何回も刃を振るうといきなり視界が開ける。

目の前に魔物がいなくなったのだ。



私は振り返って残心する。


すると世界が時間を、音を、色彩を取り戻した


それと同時に私の通った道が爆発する






ソニックウェーブというものを知っているだろうか



音より速く動く物体が空気を押しのけて進んだ結果起こる衝撃波のようなもののことだったと思う。



私が駆け抜けた衝撃波によって魔物達とそのバラバラ遺体が吹き飛ぶ



Oh……スプラッタァ



空中に飛び散る魔物だったもの達


ゴブリンの腕

オークの棍棒

ゴブリンアーチャーの弓

どこかで見た竜と豹のコンビ

生きたままのオークエンペラー


などなどそれは多岐に渡る



……オークエンペラー?



オークエンペラーは魔王種と呼ばれる凶悪で恐ろしく強い魔物らしい。

その強さは普通の魔物とは次元が違うらしくSランク案件だそうだ



なんだかワクワクしてきた。



最近私の戦闘民族化が激しいかもしれない。

でもそれと同じくらい魔法の研究に力を入れ始めたから問題ない。


体と頭を使う比率が1:1ならチャラだよね


決して脳筋ではない……はず


これでも頭脳派なんです。

ただ殴って解決するのが一番楽で確実なだけで



出し惜しみはしない


全力で戦うのはさぞ面白いんだろうなぁ


〈カクレバ〉を収納から出す


〈1号〉はしまう


なんで〈カミカゼ〉を使わないのかというと単純に身長が足りなくて使いづらかったから……


大丈夫…まだ5歳だし



さてオークエンペラー、殺り合おうじゃないか…



「ゴミモンス発見!」

フェル?

「ゴミモンス殺る!」

ミーシャ?

「[竜化]するまでもないか…つまらん…」

あぁレイさんはいつも通りだ


「ギギャ?クギャッ?!」


そしてオークエンペラーは爆散した


なんか興が削がれた

フェル達にやられる強さなら戦わなくていいや


〈カクレバ〉出しちゃったし残りの殲滅は私がやろう


ちょっと試したい魔法もあるし


「フェル…残りは私が全部やるよ?」

「っ!?申し訳ございません!」


急に謝られても困るんですけど

しかも土下座。

伝統的な謝罪方法である。


「既に始末した後なのです…」


……まじか




この殺る気はどうすればいいの?




「粗茶です…」


フェルがお茶をいれてくれ…


「あ、ありがとう」


いつのまにか用意されてるのはびっくりする


ハーブティーの香りが鼻を抜ける


それは粗茶じゃないぞ、と言いたくなるぐらいの出来だ


どうやら精神を落ち着かせる効果のあるハーブだったようでヤル気が落ち着いてきた





………恥ずかしい


振り返ってみると完璧に言動がバトルジャンキーのそれだ。


恥ずかしいので青色の毛並みが美しいミーシャのフサフサ尻尾を堪能する


おちつけーおちつくんだー


フサフサにスリスリしたりもふもふすると落ち着いてきた


「んんっ…あっ……あぅ…」


ミーシャが何やら熱っぽい声を出してるけど気にしない!


あぁ〜癒されるぅ


ちらっとフェル達を見る


まずフェル


変装用の皮鎧はほぼ汚れておらず右手にはポットを左手には急須を持っている……それ無駄じゃね?みんなお揃いの仮面は汚れておらず戦いの後とは思えない。

足回りもとても綺麗だ。

ただ綺麗な白髪になぜか血肉が付着しているのが気になる


ミーシャ


こちらもフェルと同様の格好をしている。

ただ足回りはスカートで靴が土まみれになっている。後で洗わないとなぁ

仮面は汚れていない。

そして何より尻尾がサイコー

でもちょっと臭うな



レイさんは……どうしてこうなった……


全身血まみれ肉まみれ。

仮面は血塗られた赤色。

鎧も赤色。肩に目玉が乗っていて怖い。

とても…グロテスクです


「レイさん…それどうしたの?」

声が震えているが気にしてはいけない。


さっき何百と魔獣を切り捨てたのは気にしないでください


「うん?ただ殴ったり蹴ったり千切ったり砕いたり潰したり投げたりしただけだぞ?まぁ殴ったら体を貫通するし蹴ったらその部分が消し飛んだが」


……



考えるんじゃない、感じるんだ



「ウォーターボール」

「うぉっ?主人?うぉっぷ……」

「まるごとお洗濯!」


レイさんの見た目がやばかったので急遽お洗濯する。

やり方は簡単。

水の球を出してその中に洗いたいものをぶち込んだ後水流を生み出すだけ。


レイさんがぐるぐると水の中を回っている


「緑茶です」

「ありがとう」


あぁ、緑茶がうまい


「ミーシャ…ちょっと臭うね」

「そんにゃ!…あ、本当にゃ『浄化プリファイ』」


レイさんが水球の中をぐるぐる回っている



……あれ?レイさんに使うの浄化プリファイの方がよかったような気がする。



ま、いっか。



緑茶をすする



「…ん?」


なんかねっとりとした嫌な視線を感じる


「どうかしましたか……視線ですか?」

どうやらフェルも気づいたらしい


「まぁ確かに目立つことをしたけどそれに向けられる視線じゃないにゃ……緑茶うまいにゃ」

ミーシャもわかっているっぽい。

緑茶はやっぱいいよね。


「ゴホッゴホッ……ふぅ。確かにそうだな。緑茶はいい…で視線のことだが普通は英雄みたいに見られると思ってたんだが強すぎて怪物みたいに見えてるのかもしれんな」

やはりレイさんもわかっているらしい


「んー怪物を見る目と言うよりはほとんどの人は何が起きたのかわかってないようにゃ、何が起きたのかわかった一部の人は英雄を見る目で見てるにゃ」

ミーシャの言う通り一人だけ異質なねっとりとした目を向けてきたのだ。

ロリコンかもしれない。


「へんな目つきで見ていた奴は一人だけだったしな。はぁ気持ち悪い」

レイさんはやれやれというポーズをとっている


「本当に…主人を舐め回すような視線はしただけませんね」

フェルの拳が震えている

怒り心頭なのだろうか


「一応街中でも警戒しておこっか。もう街に戻る?」


「そうしましょう。主人。」

「主人、主人!ちゃんと焼き払わないとゾンビになるにゃ!」

「主人……帰ったら……焼き鳥が食べたい」

「ゾンビになるのはまずいね…」


ゾンビになるのはまずい。

日光に弱いタイプならいいけど日光に強いタイプだと、もうどうにもならない。


異世界うぉーきんぐーでっとーは勘弁してほしい


あれ…苦手なんだよね。

肝試しとかもダメだ。

ヴァイオルゥハザードンとかのゾンビゲーなんて30分でやめて売りに行った。

夢に出てくるんだよ…怖い。



もうサクッと焼き払おう



マナを右手に


作るは禁忌、形持たぬ焔の大剣


マナを圧縮、限界を超えて圧縮する。


…属性変化、焔

…形状変化、剣

マナ安定率99%……オールグリーン

具現化式構築……構築完了、世界に介入します。


「顕現せよ『レーヴァ「私が!私がやるにゃ!」


ミーシャが突然名乗りを上げたので魔法を安全に霧散させる


正直そのまま一瞬で全部を灰にしようと

まぁせっかくの好意なので受け取ることにする



「ふぅ…助かったにゃ」


どうしたんだろう



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ