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25 閑話〜神界にて1〜

地上からは遠く次元の壁をいくつも超えた場所に存在する場所



神界



その最上部には最高神達がいる。




「かわいいーのぉ」


髭を蓄えた老人が下界の様子を見ながら呟く。

この爺、かなりデレた顔をしている。


「ガンテツ……気持ちはわかるが仕事しろよ。」

そんな最高神爺に口を出すはムキムキマッチョ。


「そういうゲインもサボっておろうに…」

「加護を与えるに値しない奴ばかりだからだよ!そういうジジイもここ何年か加護与えてないだろ!」

「いいや!ちゃんと光ちゃんに加護与えたもんねー!」

「俺だって加護与えたよ!……はぁ」

「はぁ……」

「「光ちゃんにあいたいな…」」


この爺とマッチョ、ここ数年こんな調子なのである。


「全く…光ちゃんにうつつを抜かしすぎなんじゃない?」


そんなことを言うのはノエルことパツキンエルフだ。

そんな彼女が一番下界を見る水晶玉にひっついているのだが


「あぁ…光ちゃんがいた時間は本当に短かった…」

マギナが呟く


「光ちゃんがいないとこんなに時間を長く感じるのだな…」

ガンテツも呟く


「早く神界に来て欲しいものだね…」

クライブも呟く。


「あの2年だったか3年だったか忘れたが、光ちゃんがいた時は充実してたよ…」

ゲインも呟く


「光ちゃん……」

リーブは物思いにふけっている


「「「「「「はぁー」」」」」」


神々はため息をつく




「ちょっと!ため息とかつかないでもらえますっ?あぁぁぁあああ!下界で大嵐がががががが。

この処理するの私たちなんですよ!ねぇ!ねぇ!この苦労わかります?」



そこには天使がいた。



比喩ではない。背中に翼が生えている天使だ。


ただその容姿は髪はボサボサ、目の下にはひどい隈、鎧を着ているがその鎧には血がこびりついており、大剣を持っている。

天使である証の背中の翼も艶がなく純白の翼には所々漆黒の羽がついている。

目は死んだ魚のような濁った目をしておりその姿は痛々しい…



つまり過労死寸前の社畜のような姿だ




そんな社畜の愚痴は止まらない



「だいたいステータスシステムはまだ分かりますよ…えぇ!わかりますとも!人間は弱いですから!


でもわざわざ私たちが更新にいちいち向かうのは面倒なんですよ!さっさと自動化しろ!

何で何百万人の人のステータスの更新に天使使うんですか!

毎日毎日毎日毎日ステータス更新ステータス更新。


嫌になるってんですよ!あぁん?


それに加えてスキルシステムだぁ?

仕事増やしてくれるんじゃねぇよ!

だいたい肉体強化するだけで十分なのに何で技まで授けようとするのかな!

そんなのだから人間が怠けんだよ!」


「いや…それはね…」


「だいたい何でそれに加えてジョブシステムまで作ってんですかね?」


「いや、だってさ……ゲームにはそういうのあるよ?」


「フザケンナヨ?

ステータスにスキルに人じゃ狩れないようなヤバイ魔獣の駆除に綻びの修正にジョブシステム?


天使使いが荒すぎんだよっ!


はぁはぁ…



だいたい何でいつもいつも怠けてばかりの奴らが最高神やってんですかね……


魔法システムって本来魔法神たるマギナ様の管轄だし…


「うぐっ…」


ステータスは生命神リーブ様の管轄だし…


「ヒューヒュー(吹けない口笛の音)」


スキルは各神々が受け持つはずだったのに…


ジョブシステムは何とか下級神と中級神で持たせてますし魔法システムは精霊達と下級神、中級神それに加えて私たち天使が何とかしてます……



けどね!



邪神からこの世界を守る結界まで手が回るわけねぇだろボケェ!




はぁはぁ……えっとこっから報告…


もとより期待はできなかったけど次元の壁はもう超えられてるし時空結界だって時空龍神たるティム様が何とか維持してくださってます…


ただ8つの聖樹からなる聖樹結界のうち西の聖樹の守護者が邪神の手によってやられました。


これがどう言うことか分かってんのか?


管理しっかりしろや!




はぁ…はぁ…………以上です。



あぁティム様しかまともな神はいないんだ……



あとクライブ…


テメェがお遊びで創造(・・)したもんは破壊(・・)するなり何なりして責任取れよ?




というか最近神界の時間の流れが異様に早かったお陰でなかなか報告するのに手間がかかったんですけど………クライブ…あれやったのテメェーだよな?」


「申し訳ございません。光ちゃんといっぱい遊びたくて時間の流れを千倍にしておりました…」


「うわっ……この世界の主神無能だ……」


「それ結構心にくるよ?ガラスのハート柄木っ端微塵だよ?」


「「「「「「どうかそのまま粉々でいてください」」」」」」


「ひどいね!自分はこれでもすごく有能だと思うんだけど!」


「ではそんな有能な最高神であり主神のクライブ様に溜め込んだ過去127年分の仕事と書類が届いております。5日で終わらせてください。では5日後。」



そう言って堕天しかけている社畜天使はどこかに消えた。


「うわぁぁぁあああ!ミーュースのツアーがぁぁぁあああ!」


神界に残ったのは大量の書類とクライブの悲鳴だけだった。




「叫ばないでください!あぁあああああああああ!山が崩れたじゃないですかぁぁぁあああ!どうしてくれんですかぁぁああ!」




ーーーー





「それにしても光ちゃんのおかげで何とかなりそうだね」

結界を構築しなおしているマギナが言う


「いやー神樹育てたり地脈整えたり本当に助かるね……ってなんかやばい武器作ってない?」


こんなことを言っているのはノエルだ


「おおおおおお!」


突如ガンテツが叫ぶ


「どうしたジジイ!腰でもやったか?」


「違うわ!あの神器……リーブの釘バットより恐ろしいぞ……。こうしてはおれん!わしは武器をつくるぞぉおおお! おおっ?!……おおぉぉぉぉ………」



鍛冶場へ走り出そうと体をひねった体制でガンテツが止まった。



「あちゃー、腰やっちゃったかー」

ノエルが額に手を当てている


「ぅ…ぁぁ……ぅぁぁぁぁ」

ガンテツは脂汗を痛みに歪んだ顔に滲ませ、弱々しいうめき声をあげている

しかしガンテツには1ミクロンたりとも動くことは許されない。許されないのだ。


「無理すんな、爺さん」

ゲインこと、筋肉ダルマがガンテツの肩をバシバシと叩く。

ゲインは苦痛に歪んでいたガンテツの顔がどんどん青白くなっていることに気づかない


「ぉぉぉお……お、男に、はやらね、ばなら、ぬ時があるん、じゃ…まだだ…まだ終わ「ドクターストーップ!」「ゴフゥァ⁈」


ガンテツに容赦ないリーブのドクターストップ(物理)が繰り出される。

もちろんこれがトドメになったことは言うまでもないことである


「ク、ソ…このクソバ、バァが……」

「動いちゃダメでしょう?」


グキッ!


「ッッッッッ!!!!!」


ガンテツから脂汗が滝のように流れ出る。

顔の色はもう青色を通り越して灰色になっている



「「うわぁぁ……」」





これからしばらくの間下界では鍛冶場の炉の調子が悪くなったり腕利きの鍛冶師達が一斉に体調を崩した。





「よし、神樹を結界に組み込んでっと。ふぅ、ようやく聖樹結界の修復終わったよ…ってあれ?みんなどうしたの?」


マギナは一仕事を終え周りを見渡しつつ聞く


「「「リーブさんは怒らせないほうがいいねっていう話をしてただけだよ」」」


マギナは一瞬にして状況を理解する


「何当たり前のこと言ってるの?」


それが元常識人のマギナの考えだった



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