表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/64

21 〜男の子、返却します〜

えっと…こういう時はどうすればいいのかな?


私は今助けた男の子を保護しているわけなんだが……これって私たちが誘拐したみたいに見えるかも。


男の子はずっと「抜け出してごめんなさい。抜け出してごめんなさい。」と声を詰まらせながら泣いていた。


今は泣き疲れたのかレイさんの背中で寝てしまっている。


「主人…どうすればいい?」


レイさんも困っているようだ。


どうやらどこからか抜け出してきた貴族様の子供みたいだしそうなると壁越えないといけないしなぁ。


別に壁を飛び越えるくらい普通にできるんだけど見られると嫌だしなぁ……




見られなかったらいいんだよね。




「とりあえず貴族街にでも行こっか、あっフェル、1号()2号(脇差)返して。」


フェルに1号と2号を返してもらった。

そして無限収納にぽいっ。

ちょっとフェルが物足りなさそうだったのでまた貸してあげよう。

鍛錬とかするときにいいかもしれない。


「主人ー。見られたらまずいんじゃないのかにゃ?」


ミーシャが軽い口調で聞いてくる。

しかぁし!わたしには考えがあるんですよ。


その名も


「ステルス迷彩!」


ちょっと適当にこの魔法作ったから少しだけ歪んで見えるかもしれないけどね。


効果はいたって簡単。周りの光を無理やり捻じ曲げるだけ。



「主人が消えたにゃ……あれ?匂いはそこにあるにゃ…」


おおー、ミーシャが驚いている。


「主人…少し見えづらくなったな。人には見えなくなってるのか」


レイさんには見えてるらしい…

まさか赤外線が見えるの?

それとも紫外線?


念のために消臭の魔法とステルス迷彩の曲げる光の幅を広げる。


…やるなら徹底的にということでわたしから出る音も消す


「…主人?……主人様が消えてしまったにゃ」

「一応マナの残痕があるからギリギリわかるが…マナの残痕の隠し方も巧妙だな…流石主人。勉強になる。」


そう言ってレイさんも消えた。

わたしと同じように光を捻じ曲げているらしい。


ところでさっきからフェルが動かない。


「主人様……流石です。…執事は存在に気づかれてはいけないですから。だいたいこんな感じでしょうか?」


フェルの周りに風が集まってきてフェルを覆うと少し景色が歪んではいるが、フェルの姿が消えた。

それにしてもフェルが目指す執事とは一体…


で、フェルの使った魔法はどうやら風の壁を重ねて景色を歪める、というものなのだが理屈がさっぱりわからない。

まぁ魔法だからってことで納得した。


「にゃっ?取り残されてしまったにゃ!ミーシャも……火と水と氷じゃできないにゃ…」


蜃気楼とかあるでしょ?

まぁミーシャはレイさんがどうにかしてくれたようで綺麗に消えた。


全員透明になったところで壁を飛び越えることにする。

飛び越えちゃいけないなんてどこにも書いてないからね!


「行くよ!」「了解」「承知」「わかったにゃ」


みんなが一斉に壁を越える。


着地の時に音が鳴らないように気をつけた。


透明化をみんなが解除する。


「んっ…ここは…」

「起きたようだな」


男の子が起きたのでここら辺でお別れかな?

それにしても貴族街と言われて少し期待してたけどちょっと小綺麗な感じで、あとは家のサイズがとても大きくなっただけのようだ。


でもマジで家デカイ。

半端ない。


男の子は周りを見渡すと自分がどこにいるか理解したようだ。

やっぱり貴族の人らしい


「ねぇ…ここにどうやって来たの?」


ちょっとおどおどしながら聞いてくる。


「いや、普通に飛び越えただけだよ。」

「えぇ⁉︎うそぉおっ?!壁の上に登ったらすぐに衛兵隊がくるんだよ!それにずっと見張りがいるし」


どうやら壁を登って来たと思われたらしい。


いやぁ、普通に飛び越えただけで壁の上には触れてもいないし。透明になってたから見張りも意味ないしなぁ。


「まぁ大丈夫だから。ところで家の場所わかる?」


とりあえず送ってあげないとかわいそうだしね


「わかるけどっ!でもそれだと貴方達が僕のせいで捕まってしまいます…」


男の子は急にしょぼんとしてしまった。


「一人で帰れる?」


見つかったら逮捕されるようなので一人で帰ってもらうことにしよう。

その後に孤児院にでも行くか。


「帰れる…けど帰ったら怒られる…どうしよう」


あぁそういえば抜け出して来たんだったね。

でも襲われた後に怒られる心配をするなんてなかなか凄いな。


「また襲われるかもしれないんだから早く帰」

「スラッシュ!」


後ろから20代くらいの男が斬りかかってきたが、フェルが(0号)で止めた。


それにしても男が『スラッシュ』って叫んだ時に剣の威力が上がった気がする。


まさか…必殺技か?必殺技なのか!


やばい、カッコいい!

わたしもやりたい!

今こそアニメの技を再現する時!


「主人…落ち着け」


レイさんに諭されました。


…恥ずかしい。


すると男が殺意の込もった気迫を放ちながら声を出した


「そのお方を離せ!貴様ら何をしたかわかっているんだろうな…」


おお!


なかなかのイケボじゃないか!


その剣を片手でこちらに向けるその佇まいも素敵!

しかもイケメン!

ちょっと細いけど、もやしだけど

完璧な騎士様じゃないか!


私は惚れたぞ!


「主人…落ち着け…」

「イテッ」


レイさんからチョップを頂いてしまいました。

チョップはそんなに痛くなかったけど。


まぁ惚れたとまでは言わないけど目の保養にはなりました。

それにしてもなんか強者の出す雰囲気を漂わせてるなぁ。


くっ、刀が疼く


一度言ってみたかっただけです。


それにしてもいきなり犯人扱いってのはなかなか心に……あんまりくることもなかったから対話(おはなし)で解決しよう。

私は器が大きいからね。


「迷子を連れて来ただけですよ」


正確には人攫いから救ったけどね。

まぁ身内の人を安心させる為の優しい嘘ってことで。


「嘘を言うな!人攫いだろう!」


なななな、なぜバレたし。


「主人…口に出ているぞ…」


「マジで?嘘ぉ」


あまりのショックに動揺して口に出ていたらしい。


「その方を早く離せ!」


ん?人質を取られてるみたいな言い方されると傷つくかもしれない。


いや、全然傷ついてない。ちょっと☆ムカッ☆としたけど。


全然怒ってないよ?


とりあえず男の子の保護者の関係者っぽいから男の子に行くように伝えよう。


「ほらお迎えが来たよ」


言っておいでと言うジェスチャーを男の子に出す


「やだっ…怒られる…それにもうちょっと探検したい。」


向こうには聞こえないくらいの声で怯えたように喋った。


どんだけ親怖いんだよ…


「くそっ衛兵はまだ来ないのか…教育し直さないとな…」


騎士様は小声で呟いているけど私の耳はその声をキャッチした。

どうやら兵士を鍛える立場にある人らしい。


とりあえず引き取ってもらわないと困るんだよなぁ


「あー、めんどくさいのでさっさと引き取ってもらえませんか?ほらっお迎えが来たよ!」


私は男の子の背中を騎士様の方に向かって押す


とそれと入れ替わるように高速で騎士様が抜刀して切り掛かってきた。



流石の私もそれにはイラっときたよ


私は言う




「全く礼儀がなってないね。ちょっと武力解決(☆おはなし☆)しようか?」



私は聖女じゃないから怒るときは怒るよ?





騎士様は上段から剣を振り下ろしてきた。



それにしてもどの武器使おう?

カミカゼとカクレバはまずいしなぁ。そうだな。木剣でいいか。


右足を引いて振り下ろしを躱し、剣が止まった瞬間を狙って剣先を踏みつける。

この時に私は『重力増加グラビライズ』を使う。

こうでもしないと私の体は軽すぎる。


「なにっ!」


騎士様は驚いているようだ。

騎士様はそれなりに動きもいいし何より久しぶりのいい感じの相手なので鍛錬の相手にちょうどいいかも…


「ちょっと鍛錬に付き合ってもらうよ」


これでさっきの犯人扱いに対する私のイラつきはチャラにしよう。

フェル達の剣術はちょっと物足りないからちょうどいいね。


「ふざけるなっ!」


騎士様は剣を片手に持ち替えて蹴りを放ってきた。

どうやら剣だけじゃなくて徒手空拳もできるらしい。


「いいねぇ」


私は顔面にきた蹴りを片手で受ける。

普通なら吹き飛ばされるような威力があるけど私はその衝撃を5割ほど地面に流しているので問題ない。

やっぱ片足だと5割が限界かぁ。


でもちょっと踏みつけが甘くなってたらしく剣を自由にしてしまった。


騎士様は自由になった剣を振るう。


振り下ろしを右に躱せば

薙ぎ払いがくる。

薙ぎ払いを後ろに下がって躱すと突き。


私が躱し騎士様が剣を振るう。

当たれば痛いじゃ済まないだろうけど楽しい!


あーこれはもうアドレナリンどばどばですわ。


そんな感じで結構な時間かわし続けた。

10分?30分?よくわからないけどとにかくかわし続けた。


そしてちょっとノッてきてしまった私は踏み込みの甘い時に足払いをかけるようになり、

さらにノった私は騎士様の甘いところを木剣で叩いて矯正するようになっていた。

だんだんと鋭くなってくる騎士様の剣。


教えるのもなかなか面白いなぁ。


そうしてガードの練習も始めてしばらくすると騎士様は切り上げを急に放った。不意打ち的な騎士様渾身の切り上げを木剣でガードすると私の身体は浮いた。

木剣が切れないのは神様製なので当たり前だが、一応『重力増加』かけた上で私を弾き飛ばすんだからなかなかの剛力だ。


そして浮いた私に対して騎士様は剣を真っ直ぐに突き出してくる


突き、だ


うん、人攫いの突きより鋭いね。


狙いは体の中心か…


私は木剣を地面に突き刺しその反動で棒高跳びのように飛んだ。


そして『重力増加』を解除して突き出された剣の上に立って木剣を騎士様の首元に添える



一回剣の上に乗ってみたかったんだよね。

なんかかっこよくない?


「いいセンスだ、でもまだまだだね」


私がそう言うと騎士様はゼェゼェと息をして膝をついた。


「えぇ……膝をつくのは騎士としてどうなの?鍛え方が足りないんじゃない?」


思わず口に出てしまった。


いや、実際騎士様はもやし、とまではいかないけどもうちょっと筋肉あってもいいと思うんだよね。

筋肉ダルマよりはましだけど。えぇ、全然ましですけれども。


そして私は周りを見渡す。


なんかざわざわしてたからだ。

気づくと周りには人が集まっていた。

騎士って感じの鎧着た人が集まって今の戦いを見ていたらしい。

鎧を着た騎士達はなんか熱気に包まれている。

素振りとかしてる人もいるし。

どうやら見世物になってたらしいね。



そろそろ退散しようと思う。

一応偽名で呼んだ方がいいよね?人がたくさんいるし。


「じゃあロウガ(フェル)行きましょうか。リュウヤ《レイさん》も」

「ミー…私も行くにゃ!」

「わかった。イーストライト(ライカ)

「了解しました」

ミーシャが危なかったけどなんとかごまかせた。

冒険者として動くときは敬語はなしって言ったんだけどフェルは敬語が抜けないらしい。


「では私達は怪しくない者なので、これにて失礼します」



そして私たちは透明になって壁を越える。





いやぁ!それにしてもいい運動になった!



それから街の外に出てフェル達ともやったんだけど物足りなかった。



イメージトレーニングでゲインさんとやるのもいいけどやっぱり生身の人とやるのが一番だよね。


教えるときはなんか自分の動きもどこが悪いのかわかって成長できるし。


そのあと孤児院の場所を確認した。

結構綺麗で子供の数も施設の大きさに見合った人数だった。

何より子供が生き生きしていたのをみて私は安心した。


宿に帰って私は寝ることにした。


あぁお風呂に入りたい。



お風呂ぉぉおおお。




「『転移(テレポート)』」




やっぱお風呂サイコーだわ

誤字脱字ありましたら教えていただけるとありがたいです。


それから『極振りで始まるVR 〜この楽しみ方は間違ってない』というのも書いているので、そちらの方も気が向いたら読んでいただけると嬉しいです。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ