1 〜私の日常〜
本編!
私の日常はうるさい目覚まし時計の音で始まる。
私は東 光。
明日で30を迎えるしがないOLである!
ちなみに私には夫がいない。
というか彼氏もいたことがない。
いや、いいな〜って想う人はいるよ?いるんだけどさぁ…だいたい他の女の子とできてるみたいなんだよね…
しかもなんか男達はジロジロと汚いようなものを見るような視線をぶつけてくるし女の子達からはハブられるし…
大丈夫…洗顔と化粧水をつけてお手入れはしてる
とりあえずベット横の目覚まし時計のアラームを止める。時計の針は5:30を指している
「ふぁぁああ」
あくびが出るのは仕方ない
カーテンを開け日光を浴びる。
外の空気が気持ちいいと言いたいところだがお世辞にもいい空気とは言えないため窓は開けない。
洗面台で歯磨きと肌のお手入れをして髪を櫛で梳く
台所に行くついでに電気ポットでお湯を沸かす。
朝ごはんはフレンチトーストにしよう
土曜日の朝はフレンチトーストといつからか私の中では決まっていた。
といっても味はそれなりに美味しい程度だ
ポットのお湯をマグカップに注ぎコーヒーを作る。無論インスタント。砂糖は大さじ一杯半。牛乳多め。甘党だからね。
もうコーヒー牛乳と化したコーヒーとフレンチトーストをテレビを見ながら食べる。
今日は一日晴れらしい。
家を出る前にペットの豆柴のフェルと三毛猫のミーシャあと、我が家の守り主であるヤモリのレイさんに餌をあげてから家を出る。
フェルは白い豆柴で可愛い。
ミーシャは三毛猫で可愛い。
レイさんには感謝。ヤモリは家の守り主という迷信を私は信じるよ!
少し早めに家を出る
乾いたアスファルトの上を少し早めに歩く。
そうすると見慣れた光景に出会ってしまうんだ。
「おばあさん大丈夫ですか?」
「いつもごめんね〜。じゃいつものように頼むよ。」
このおばあさんは私が就職して初めての給料日からの知り合いだ。
なぜか土曜日の朝、いつも山盛りのりんごを運んでいる。
そんなおばあさんを私は放って置けなくていつも運ぶのを助けてしまう。
「ありがとうね〜。はいどうぞ。」
「いつも貰ってすいません…」
「いいの、お互い様だよ〜」
おばあさんはそう言って微笑んでくれる。
感謝の言葉が心に染みる。
それといつもりんごを一つくれるのだがこのりんご…黄色い。けど普通に美味しいりんごだった。
ただ種が無いというのはおかしいと思ったが12年も見ているとそうでもない気がしてきた。
そのまま出社していつもの如く雑務をこなす。
「仕事早いですね、東さん」
「いえ、それほどでも」
お昼休憩にりんごを食べる
このりんごは私のものだ!誰にも渡さん!
ささやかな独占欲をここで使う。
私の周りには男が1人もいない…男運どうこうじゃなくてそもそも話す機会がない。
ここはチャレンジすべきか…いや無理だな。
独身を拗らせてしまった私には無理な話だ。
「今度食事でもどうですか?」
「じゃあ明日みんなでどっか行こっか」
「化粧どんな風にしてるんですか?」
「何もしてないよ。肌のお手入れはしてるけどね」「「嘘〜」」
私の周りには女子ばかり集まってくる
まるで私を守るかの如く。
変な男が寄ってこないか心配なのか?いらない心配だが、後輩たちよ、ありがとう。
ちなみに私はこの道15年ほどのベテランである。
バイト戦士からバイトリーダーになりやっと正社員になった。
そんな激務を終え帰宅する
クレーム処理は大変だよ。
ほんと。
そういえば醤油がなくなりかけていたのでコンビニに寄る。
最近のコンビニって便利だよね!
夜も更けてきたので早く帰ろうと思い手早く、調味料をカゴに入れてレジに並ぼうとすると、そこには黒いニット帽にサングラスそれに加えてマスクと完璧に怪しい男がいた。
「またか…」
つい口に出てしまう。
それも仕方のない話だろう。
なぜなら幼い頃からハプニングに巻き込まれやすい体質だったからだ。
死んでないのは奇跡だとしか言いようがないと思う。
「おい!金を出せ!さっさとしろ!殺すぞ!」
男はナイフを店員に向ける。
こういう時主人公と呼ばれる人たちは立ち向かって行くのだろう。
でも私はそうはしない。
多少の心得はあるけどそれだって逃げるための護身術だ。
そんなわけで私は商品棚の陰に隠れて警察に連絡する。
ーーー
通報完了
でいま状況はどんな感じかな?
なんでこんなに冷静かというとコンビニ強盗にあった回数がこれで12回目だからだ。
ちなみに銀行強盗には2回
通り魔の現場に4回鉢合わせている。
不運としか言いようがないというか治安が悪い。
閑話休題!
どうやらレジの女の子は抵抗を続けているらしい。これは極論かもしれなけど金で助かる命なら全財産捨ててでも命を買うべきだと思う。
とうとう痺れを切らしたのか男が動いた。
それと同時に私も動いてしまった。
「やめなさい!」
男が振り向く
「なんだテメェ!殺されたいのか!」
正直いうとすごく怖い。
殺されるかもしれない。
刺されるかもしれない。
でも助けたい。
自分も助かりたい。
これは強欲なのたろうか。
「け、警察を呼びました!」
「はぁ?警察?くそ!ふざけんな!」
こっちに向かってきそうだったので味噌を投げつける
男のサングラスが外れたついでにマスクも外れて顔が露わになった
「テメェ…顔を見たな…」
その顔は、朝テレビで見た連続殺人の容疑者の顔そっくりだった。いや同一人物だと思う。
男はゆっくりと近づいてくる。
がその顔は醜悪な笑みを浮かべていた
殺される!
やっぱ今までが奇跡だったんだ…
嫌だ!怖い!誰か助けて!
それでも私の目にはレジの子が逃げていくのが見える。見えてしまう。
見捨てられた、という気持ちより逃げてくれてよかった、と思った。なぜかそう思えてしまった。
神さまどうかお助けください。
私は反撃をすることにした
食酢を男に向かって投げる
蓋を開けて
「くそ!いてぇ!」
目に浸みたらしい
更に醤油を床にぶちまけ周りのものを手当たり次第に投げる
男は走ろうとして足元のアイスを踏んで転んだ。
どうやら頭を打って脳震盪かなにかを起こしたのか動かない
その隙に私は逃げ出すことが出来た。
コンビニのドアを開け全力で逃げる
今回も運が良かった
そのままタクシーを捕まえて帰った
私は一刻でも早く帰りたかったから
そして私はヘトヘトになって帰ってきた
「あぁ私の癒しは君たちだけだよぉ〜」
フェルとミーシャをもふもふする
「わふわふ」「ゴロゴロ」
「あー幸せだなぁ」
そんな私の癒しをもふもふしながらテレビをつけると速報と出ていたが迷わずゲームを始める。
突然だが私はRPGとかの育成ゲームも好きだがFPSや格ゲーも少々嗜んでいる
今日は老舗のオンラインRPGをしたい気分だった
が
「サービス終了かー」
つい3日前にサービスが終了していた。
その代わりに明日新作が出るらしい。
こういうのは何か感慨深いものがあると思う。
限界まで上げたステータス。
限界まで強化した武器や防具。
自分専用のプレイヤーハウスをデコったり、
農場を作って見たり。
レアドロップを求めてひたすら周回したり。
仲間と協力してダンジョンを突破したり。
ソロで挑んでギリギリの戦いをしたり。
色々な思い出が詰まってたんだけどなぁ
冷蔵庫から缶ビールを取り出して飲む
私はお酒は基本飲まないのだが今日みたいな日はいいだろう。
仕方ないのでFPSをしようと思ったのだが
「サーバーメンテかよ!」
メンテである。しかも緊急メンテ。
詫び石が欲しいがガチャ機能などない。
ちなみにこちらもそれなりに老舗ではあるのだがマップの配信や新武器の登場、大会の開催などによって未だに新参から古参までのプレイヤーからの人気が根強い。
「格ゲーかぁ」
私はス○ファーやらス○ブラをやり続ける。
格ゲーは負ければ新たな発見があるし勝っても改善点が見つけられる。
そこを直せば強くなれる。これがいい。
RPGみたいに数字が上がるのを見てニタニタするのも好きだけどね!
そうやって私がゲームに没頭して2時を過ぎたあたりだろうか、
私はコタツの中でうとうとしていた。
そして私の視界は黒く染まった。
何か浮遊感を感じたが眠気とコタツのぬくぬくという魔力に比べれば些細なことなので無視をして眠ることにした。
「わふわふ!!」「シャァァアアッ!!」
「私は幸せだぁ」
この浮遊感は慣れない酒を飲んだせいだろう。