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11 閑話〜王様と臣下と王子〜

「国王様っ」

「なんだ?」

「一億ギルは流石に多すぎると思います!」


男が国王と呼ばれる男に文句をつけている

国王と呼ばれる男の服装は華美であるが男の姿を引き立てている。


「あぁまたその話か、宰相。あれは必要経費だと言ったであろう。」

「しかし、あまりにも多すぎます。これは問題ですぞ。」


対して宰相と呼ばれる男は宝石を散りばめたネックレスに金製のアクセサリーを身につけ明らかに高価そうな生地の服を着ている


「では我らの騎士隊を派遣するのか?」


騎士隊を動かすためには大量の資金が必要だ。

死の森の大規模な調査のために騎士隊を使うとなれば騎士たちへの保証金、家族への賠償金、現地での食事のために食材も大量に買わなければならないし予備の武器なども必要だ。


つまり騎士隊を派遣することはできない


「いえ、そういうわけではなくてですね…」

「ではどういうわけなのだ。」

「…半額程度でよかったのではないかと」


国王はしばらく考えたのちに言った


「じゃあお前に5000万ギルをやろう。その代わりにお前の家臣を四人連れて死の森の奥深くを調査してこい」

「そ、そんな。無茶です」

「そうだな…期限は1ヶ月程度だな」

「私にはそんなことは出来ませんよ!」

「では幾らでも私兵を連れて行って良いから行け」

「それだと5000万では足りませぬ。最低でも2億は…」

「そうであろう?一億はこれでも破格なのだよ。宰相、さっきの冗談だから死の森行かなくていいぞ。魔物が攻め込んでくる危険性は限りなく少ないと冒険者ギルドから上がってきているからな」

「…はっ。ではこれにて失礼します」


宰相が部屋から出ていく。

ここは国王の仕事部屋であり国王が仕事をしている最中の来客であった。


その男クリス・マース・ノーヴェンは誰もいない部屋で仕事を再開する



ペンと紙の音だけが部屋の中に響く



カツカツと部屋の隅に飾ってある女神像から音が出る


「各大臣の動きはどうなっている?」


書類の山を手早く処理しながら国王クラスは声を出す


巻物が落ちてくるのを見越し手を出すとそこに巻物が落ちてきた。


「いつもご苦労。そのまま任務を続行せよ。」


国王は巻物を広げ中に書いてある内容を確認した後巻物を女神像の台座に空いている穴に入れる


そして彼は本棚の四段目の右端にある剣の置物を右に回す


そうすると本棚が動き通路が出てきた。


彼はそこを走っていく。


そして本棚は元の位置に戻り剣の置物は元の向きに戻った。




ーーー



「アーサー様流石に困りますよ〜」

「いいからはやく!」

「私が怒られるんですよ…」


竜舎前で幼い金髪の子供と黒色の髪の青年が喋っている。周りには人がいない。


「だいじょーぶ!だってクロムはたいちょーなんでしょ?」

「国王軍近衛騎士隊隊長兼竜騎士隊筆頭騎士クロム頑張らせていただきます!」


実は兼将軍でもあるがそれはアーサーの親から言わないようにと言われている


「なにいってるかわからなかったけどすごいねー」

「これでも偉いんですよ?」

「うそだー」

「これでもこの国で一番強いんですよ…」

「ちちうえのほうがつよいよ!」

「あぁ確かにそうですね…ボソ(権力的に…)」

「ほら、はやく!ドラゴンにのりたいの!」

「あーハイハイわかりましたよ」


クロムの内心

『国王様…どうかお許しを…私だってアーサー様を可愛いがりたいし甘やかしたいんですよ!大丈夫。俺なら守れる大丈夫だ。元SSランク冒険者だったし竜の一頭くらいならなんとかいや三頭までなら大丈夫なはず。竜に乗せるだけ。竜に乗せるだけ。大丈夫だ。なにもハプニングは起こらない。』



アーサーの内心

『ドラゴンの上から見える世界はどんな風なんだろう… 見てみたい』


国王クリスの内心

『あぁアーサーは凛々しくてカッコよくて可愛いなぁ。私の唯一の癒しだ。クロム…怪我なんかさせるんじゃないぞ。でも息子を竜に乗せてあげたい!いや…一緒に乗りたい!』


「あんたいつからそこにいたんですか…」

「あれ?バレちゃった?」


クリスは生垣の裏に一人で隠れていた


「もうちょっと自分の身分をわきまえやがってくださいよ」

「はい…で、相談なんだけど」

「自分もアーサー様と竜に乗る、というの以外でお願いします」


少し間が空く


そして国王はあるお願いを思いついた


「死の森の奥地まで一人で調査してよ」

「頼みというのはなんでしょうか?」


一応今までの死の森ならばできないこともなかっただろうが、クロムは好き好んで近衛に入るような人物だ。単独任務なんてもってのほか。できれば楽をしたいと思っている。そんな人物が死の森の調査を断るのは当たり前だった。


「俺をアーサーと一緒に竜に乗らせて?」

「断るというのは?」

「王権を行使する」

「ははは、安い王権だなぁ…はぁ、いいですよ」

「よし!我が愛しの息子よー竜に乗れるぞー」

「後で有給を要求します…」

「もう三日ほど前借りしてるだろうが」

「ぐっ…ではそれを無しに」

「よかろう」

「ありがとうございます、じゃちょっと連れてくるのに時間がかかるんでそこで待っててください」


クロムは竜舎に向かって歩いていく


「ちちうえ!」

「なんだい?アーサー」

「ちちうえはドラゴンにのったことあるの?」

「あぁ結構な回数な」


国王であるため国外での暗殺やら襲撃に遭うのは当たり前で31歳だというのに髪の毛の大半は白くなっている。

その度にクロムに助けられ時には国外から竜で逃亡しているのでそれなりの回数乗ることになってしまっている。クロム最大の出世の理由である。


「どんなかんじなの?」


そう聞かれると困ってしまう

いつも景色を楽しむ余裕はなかったからだ。

理由は色々。


「うーん。それは自分で感じた方がいいぞ」


国王は誤魔化した


「じゃあドラゴンってひをふくの?」

「ブレスの事か?」

「うん。どんな感じなの?」


ブレスというといい思い出がない。

大半が自分に向けられたものだったからだ。


「後で見せてもらおうか」

「そうだねちちうえ!」


親子の会話が弾んでいるとクロムがドラゴンを連れてやってきた。


「リルさん。報酬はそれだけですからね!りんご1個足りとも余分にはあげませんからね。あ、準備出来たんで乗ってください」


緑色の鱗を持ったドラゴンの上に3人は乗る


「3人用の鞍なんて探すの苦労したんですよー」

「へぇー」

「そうなんですよ」

「へぇー」

「そうなんですよ」

「ふーん」

「でお願いなんですが」

「却下」

「このドラゴンの餌も」

「却下」

「えぇ〜」


ドラゴンは3人を乗せて青空に飛び立った



「でルートとしては南から回って東に行って北に行って西に行って帰ってきます。」

「だいぶ適当だが大丈夫なのか?」

「南に行ってすぐ帰って来れますけど」

「そのままのプランで頼む」



彼らは空の上で談笑を続ける


「それにしてもだいぶ区画が適当だったな…後で最新の地図を作らせるか…」

「うわーきれー」

「そうでしょうアーサー様。竜騎士になれば毎日とは言いませんがこの景色が見れるんですよ」

「ダメだ!アーサーは俺の跡を継ぐんだ」

「りゅうきしカッコイイー」

「では剣や槍などの鍛錬もしなくてはなりませんね」

「それは頼んだ。必要だからな。」

「ではご一緒に?」

「お前がなんとかしてくれ…」

「了解」

「ちちうえ!うみがきれーだよ」

「そうだな」





その後東へドラゴンは向かう


「かぜがきもちいいね、ちちうえ。」

「あっそうだな」

「お腹減ったりしてませんか?」

「なんか持ってきてるのか?」

「実はサンドイッチを」

「さすが俺の守護者!」

「では休暇を…」

「それはちょっと」

「ですよねー、じゃあ死の森前のキャンプ地で昼食にしましょうか」




そしてドラゴンは北に向かいキャンプ地に降り立った。


しかしそこにいるはずの兵士たちは一人残らずいなくなっていた。


国王は問う

「どういう事だ?」

臣下は答える

「わかりません。調べてみます。」


臣下は詰所に入り30分ほど調べ物をしたのち報告に戻ってきた。


「国王陛下…」

「なんだ、もぐもぐ」

「あのサンドイッチ…」

「おいしかったぞ!クロム!」


サンドイッチは非情にも無くなっていた。


「食べ盛りを甘くみたな」

「陛下が食べ盛りなんですか?」

「どう考えても違うだろ。で報告」

「陛下が拉致されたので至急東西南北の兵士たちは包囲陣を形成するようにと…」

「ん?誰が?」

「陛下ですね」

「どこの国の?」

「我らがマース王国の陛下ですね」

「なんていう名前?」

「クリス・マース・ノーヴェン、あんたですね」

「そうですねぇ」

「出かけると誰かに伝えたんですよね?勿論」

「い、いいえ」

「書き置きくらいは…」

「してません」

「そうですか…」

「そ、それにしても普通何人か兵士を残すよな?」

「急に話を変えましたね…。ここの兵士に関しては全員で移動することが義務づけられています。数人残ったところで何かあれば死ぬのが目に見えてるので」

「まじか…じゃあ無事って伝えといて」

「それが残念ながら受信用の魔道具はあるのですが…」

「経費カットしたのがまずかったかなぁ」

「警報機能でも使います?」

「それやったらもっと混乱が起きるでしょ」


楽しく3人の少し遅めの昼食が終わった時異変は訪れた


ガサッガサッパキンッバサッバサッ


「なんの音だ?」

クリスはクロムに話しかけるがクロムがやけに焦っている

「リルさん⁈ちょっと置いてかないでくださいよぉ!え?ここが危険だから逃げる?何言ってるんですかあなたドラゴンでしょおおおお。はぁはぁ、すいません陛下。あのーなんといえばいいかわからないのですが、ドラゴンが逃げちゃいました。」

「え?それマジ?」

「マジです」

「よし警報機能使おう」

「さっき混乱が起きるって言ったのあなたでしょ?」

「むぅ」


そんな時アーサーが言った


「ちちうえ!あの空にたくさん浮いてる黒い点って何?」

「え?今日は一日晴れだと思うんだけどなぁ…ぁぁあああ」

「どうしたクロム」


突然クロムが震えだした。


「たしかにここは危険だよ…」

「どうしたんだ」


クロムは西の空を指す


「あの黒い点は全部竜です。およそ100はいるかと…あとこれも信じたくはないのですが…」


「何なのだ…言ってくれ」


「邪竜かと、私が8歳の時に感じたマナと同じものを感じるので…」


「邪竜だと⁉︎あの邪竜か?」

「はい、おそらく。陛下早く隠れましょう!アーサー様も早く」

「え?うん、わかった」


邪竜とは8年前に国一つを滅ぼした災厄ともいわれる生命体である


「え?どうしたの?」

「いや…隠れるのはやめよう。」

「陛下?お気をたしかに!」

「いいじゃないか、隠れててもどうせ死ぬんだどうせなら私は空の下で死にたい。」

「陛下…私がいます!助かった私が!」

「それだって多重結界を重ねに重ねた施設の最奥だったんだろ?じゃあ無理だよ」

「陛下助かる望みはどこかにあるのです!」

「助かったら有給100日あげちゃうよ。あーもーおうちかえりたーい」

「有給なんていりませんから!隠れますよ!」

「いやでーす。俺は隠れませーん」


国王は幼児退行を起こした


「ちちうえ?どうしたの?」

「いやなんでもないよ(キリッ)」


王様モードに戻った


「陛下?」


こういう場合いつもクリスは無茶なお願いをする


「よし!王国の懐刀クロムに命ずる!あのドラゴン達を殲滅せよ!」

「んな無茶な!生きて帰れたら休暇1年くださいよ!」


彼らはやけくそになっていた。

なので警報機能のことも忘れていた。


「うわードラゴンがいっぱいだー!」


ひとりの無知な少年を除いて


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