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何でも屋のお仕事  作者: 夏みかん
1/3

面倒な依頼 1

生温かい目でご覧ください。

王都リシュードの醜い部分を集めた場所、そのさらに深い場所に何でも屋はいる。

彼曰く

「こんなとこにわざわざ来るような奴は、大概、切羽詰まったやつか、表立ったところに依頼できないような案件を抱えた貴族共だけさ」と。

まあ、その真意は分かったところではないが、そんな場所にいてもまとも?な生活ができているのだから彼の腕は確かだということだ。

      ・

これはそんな彼こと何でも屋、[グリスト]の物語である。




深夜を少し回った頃、俺の仕事場の方の戸が叩かれる音が聞こえた。

内心あと少しで営業時間は終わりだったのにと愚痴をこぼしながら、叩かれた戸を押し開いた。


「やぁ、君が名高き何でも屋かね?」


んだぁ、こいつはぁ、見たところ高価な物はつけてねぇが、戦前の傭兵にみたいなギンギンした目をしてやがるぜ。


「あんたは?」


「おっと、すまない最近歳のせいか孫くらいの年齢の子に警戒心を抱かなくなってしまってね。

申し遅れたが、私の名は[モーリス・グリュート]、君にはちょっとした依頼をしたく、ここに来させてもらったよ。」


「グリュート、、、あんたこの国の宰相か、なるほどなら後ろのお連れさん方の戦闘能力にもうなずけるな。」


「ほぅ、彼らに気が付くならまだしもその強さにまできずかれるとは、、、もう、甘く見れないな。」


「最初からそうしな、その方が依頼の達成度にかかわるぜ?」


「そうさせてもらうとするよ。」


「んで、話し相手になることが依頼じゃぁないんだろ?

入んなよ。」


「ああ、もちろんだよ、では失礼して早速依頼するとするよ。唐突だが君には先ほど孫と同じくらいといったね?」


確信した。

今の足の運び方は戦場を知っている奴のそれだ。

こいつ自身たぶん後ろのやつらより強い、あいつらが俺の口調で突っかかってこないのもこれが理由か。

まぁ、かかってきたとしても問題はないんだがな。


「ああ、言われたな、もっとも孫の年齢が5歳だとかいうんなら、俺はこれから自分で変身魔法を発動しながら仕事をしなきゃなくなるがな。」


「はっはははは!

いや失敬君と話しているといやに気を張らなくて気が済むよ。」


「そりゃどーも、まさかこんなところで国のナンバー3に褒められるとはなぁ、思ってもみなかったよ。」


「フフフ、話を戻すとしよう。さっきの質問の続きなんだが、君の実年齢を教えて欲しいんだ。」


あんま気は乗らねぇが依頼に不可欠ってとこか。


「今年で16だ。それ以上は教えんぜ。」


「いや、結構君の年齢が16なら話が早い君には私の孫の護衛を頼みたい。」


年齢、孫、護衛なるほどな、自由都市か、また面倒な依頼だなこりゃ。


「気が付いたようだね、そうなんだ、依頼は自由都市にある魔法学園に通う孫の護衛だよ。」


「しかし、なんでまたこの時期なんだ?

入学からもう3ヶ月は過ぎてるぜ?

そもそもあそこは各国のお偉いさん方の子供が集まるばしょだろ?

学園側の護衛もいるはずだし、どうせあんた自身も護衛をつけさせたんだろ?」


「、、、、、孫の護衛が一瞬間前ほどに殺された。」


「おいおい、殺人かよ。」


こんな声を出してみるが、まぁそんなことだろうと思ったぜ。

どうせ、この依頼護衛だけじゃすまないんだろうな。


「あんたは護衛だけじゃ済まさないんだろ?

現に自分がもっと若ければ自分でケリをつけるッて顔してんぜ?」


「これはまいったな、なんでもお見通しか、その通りだよ孫に危害を加える害虫は駆除しなければ。」


「とりあえずは分かった、その依頼受けるぜ。」


「君には後々学園編入のカードと護衛書類を送らせてもらうよ。

それがあれば入学の際は困らないはずだ、君ならね。

あぁ、それともう一つくれぐれも害虫にはならないでくれよ。」


「何でも屋は依頼には忠実なんだぜ?」


「そうか、それならいいんだが。」


「おっさんよぉ、信じようとする心にこそ人間の美しさがあるんだぜ?

まぁ、何でもかんでも信じろってわけじゃねぇけどよぉ。」


「フ、ハハフフフハーッハフ!

そうだな、悪かったもう言わないよ。

やはり君はおもしろいどうだね私のところに来ないかね?

見たところ鋭い洞察力を持っているようだしな、どうせまだ隠してることがあるんだろ?」


こいつマジでやり手だ、少しずつ俺の事を調べていきやがる。

でもまぁ、依頼は受けたし今日はこのまま帰ってもらいますかね。


「おっさん、それ以上は言わない約束だし、もうお帰りの時間だぜ?

俺が送って行ってやるよ。」


「ほぅ、見たところ馬車は持っていないようだが。」


「あー!もううるせい!!黙って護衛呼んで外でな!」


「フフフ、君のことだ何んかあるんだろ?

分かった、外に行くよ。」


俺は外の空き地に出ると先に待っていた護衛とモーリスを前に高位異次元魔法[ワープホール]を発動して見せた。


「驚いたもはやこれほどとは、さっきの言葉を本気にしてみたくなってきたよ。」


「俺の性格の鱗片でもつかめてんなら答えは分かってんだろ?」


「それもそうか、今回はあきらめるよ。」


今回ってこいつ本気言ってないだろ?

、、、いやあの目は孫の話をしてる時の目だ。


「嫌そうな顔をするでない」


まいったな、顔に出ちゃってたかぁ。


「そんな話は置いといて報酬のことだが、依頼達成時にこちらから聞きたい事があるから頼むぜ。」


「?分かった。」


「モーリス様そろそろ。」


なんか、完全に空気だった護衛がおっさんを催促し始めたよ。

つか君喋れたのね。


「むぅ、では失礼するよ、新しき友よ。」


「友になった覚えはないな。」


「ハハハハ・・・・、、、、」


うるさそうだから俺はワープホールに入るのを確認すると速攻で閉じた。

だって近所迷惑なんだもん。

俺えらくね?

近所付き合い大切にしてんだよ?

周り野犬とかアル中ばっかだけど。


「ま、今日も今日とて依頼が来たわけだ!

張り切らずいきますかねぇ。」


そうして俺は準備をするため仕事場の戸を開いた。

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