焔を纏う劔
もう意識が朦朧として、体力も限界に近い。もう一発別の動物に変化を使えるかどうかの体力だ。しかも、変化して終わりだろう。
しかし、ルシエとジンだけに任せて勝てる奴らじゃない。
「さぁ、へばってないで来いよ。ウェドニアの執念を見せてみろ」
「ダメだよ。レイオス。まずは、僕の美しい世界を見せるんだよ」
「なら、どうぞ、アルフレッドも好きにして良いんだし?」
アルフレッドが小さい球のような物体を投げてくる。
「リュウ、伏せろ!」
後ろからジンの声が聞こえる。言われたように、地面に伏せる。
ジンは盲目ながらも、その小さい球にピンポイントで銃弾を当てることに成功。
しかし、爆破が起こる。そうか、あれは爆弾。爆風がリュウを襲う。
「ぐっ……」
レイオスはリュウに近づいて笑う。
「この爆破による光で、お前の影を踏む事が出来たよ。御愁傷様」
アルフレッドだけに集中していた自分を恥じると共に、この二人の連携を見るに、相性が良いタッグだという事に気付く。気付いた時点では、もう遅い。なんとかこの状況を打破するしかない。
しかし、方法が思い付かない。このヴェロキラプトルの状態でも、影を叩き続けなければいつかやられる。しかも、自ら光を放つ生き物に変化しても、その後は戦闘に参加出来ない。
つまり、どちらを取ってもデメリットしかない。
「リュウ、私がいる。リュウだけじゃないよ」
今まで、ずっと黙っていたルシエが、もうすぐ隣まで来ていた。ジンよりも遠くで陣取っていたルシエが、たった一瞬でここまで。初めて、ルシエの身体能力の高さに気付く。素早さは尋常ではない。そう言えば、逃げる時にも、男子二人の走行速度に着いてくるだけでなく、息切れ一つしていなかった。
「キミハ、イッタイ……」
「私わかったのよ。アルフレッドだっけ。そいつは私に任せて。ジンはレイオスだけに集中して」
ルシエは何を考えているのか。確かに、愛剣ガイアの高防御を持っていれば、アルフレッドが扱う爆弾は何とか出来る。しかし、爆弾と言っても、色んな種類がある。フラッシュ、スモークだけでなく、催涙もある。ルシエが最も注意すべきなのは毒ガス弾。それは如何にも太刀打ち出来ない。
「よく言うじゃないの。そこの醜い娘。良いだろう。僕の本気でお前をギタギタにしてやる。
爆弾の世界」
「ジン!今よ!」
「死んでも、知らねーぞ!!!
一連・散乱弾湧水燃焼型流星!」
ジンの荒ぶる銃弾は、一直線にルシエの体に向かって突き進む。そして、彼女の体に当たろうとしたその時、彼女を焔が包む。
「燃えろ劔!!!」
ルシエの剣、ガイアはその焔を纏い、アルフレッドが放った爆弾を、一薙ぎで全て燃やし尽くした。
「紫電・焔の叢雨」
NGシーン(?)
リュウ「その技名、いつ考えたんだ?ぶっつけ本番だろ?」
ルシエ「走ってきてるとき?」
リュウ(ルシエには、厨二病の資質が……!?……ジンもだけど)