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UnLimited KNights   作者: 刹那翼
第2章 銃の街 アプエスタール カジノ編
26/45

一縷の希望

ジンSIDE

現在:10万コイン

残り:1回

 この国の王に喧嘩を吹っ掛けた、と見ていいリュウの行動。それはカジノを騒然とさせている。

 七つの基本魔法の一つ、伝導によって、リュウはナイフを体内で待機させ、それを瞬時に右手に移し、それをデッキに突き刺したのだ。

 リュウを暗殺しようとする兵も出てきている。ジンは念の為に銃を構える。ルシエもそれに気付いたようで、魔法で糸にしていたガイアを剣の状態に戻していた。

『貴様……』

『観客の皆さん、落ち着いてください。俺に殺意は無い』

 スピーカー越しに二人のプレイヤーの声が聴こえる。リュウは両手を挙げて、攻撃の意志がない事を証明している。

『よく、このデッキを見てください』

 場がやっと静まってきた。

『俺がナイフを刺したのは、他でもない。よく、見てください。上から取るはずのカードが二枚目になってませんか?』

 確かに、一番上のカードは全くずれてはいない。しかし、デッキからはみ出ているのは、上から数枚目以降のカード。

 カードを配る技術の一つ、セカンドディールか。セカンドディールは一枚目を取っているかのように見せ、実は二枚目を引くという技術。それをあのスピードで行うなんて。それを見極めるリュウも範疇はんちゅうを超えている。

『この事を証明するには、これが的確だった、というだけです。危害は加えるつもりはないです。

 いや、これが始まりじゃない。貴方のイカサマは、最初のカードの確認から始まった。とても信じられないが、あのスピードでカードの位置を全て記憶し、シャッフルも自分の思い通りになるように混ぜた。そうですよね?』

『まさか、見破られるとはな。

 私がしていたのは、セカンドディールだけじゃなく、サードディールもしていた事以外何も違いはない。お前の勝ちだ』

 サードディール。上から三枚目のドロー。イカサマをしていたとはいえ、このレベルまでくると、感嘆の声を上げたくなる。

 フェルディナンドは握手を迫る。

『まだ勝ってません。タネを見破っただけだ。言ったでしょう。"ブラックジャックで"一度でも勝てば、条件を飲むと』

 やっぱり、彼奴あいつらは面白い。最後まで諦めないルシエ。忠義を忘れないリュウ。彼奴らなら世界を変えられるかもしれない。いや、絶対変えられる。



リュウSIDE

「さぁ、続ける時のルールだが、一度君がシャッフルして、デッキを扇型にして一枚ずつ自由に引くというのは、どうだ?」

「……ふむ。面白い。良いでしょう」

 リュウは貫かれたデッキを持つ。変に破れているので、混ぜにくい。10回ほどシャッフルしたところで、扇状に開く。

「では、此方から二枚取らせて頂きます」

 リュウは躊躇ためらいなく、真ん中の方から二枚引く。しかし、まだカードは表向きにしない。

「……アル、代わりに引いてくれ」

「私がですか。リュウさん、宜しいのですか」

 運がとりわけ良いアルが引く事に対し、リュウは多少不快に思ったが、それを承諾する。

「その代わりに、ディーラー側も今回だけ両方アップカードにしてもらえますか?」

 フェルディナンドは頷く。

 両者同時に、全てのカードを表向ける。

 リュウのカードは、5と9で合計は14。

 フェルディナンドのカードは、両方共、キング

 14対20。

 つまり、リュウは6か7を出さなければ、完全敗北。

「……参ったな」

 絶望の深淵に立たされた、リュウ。もう、為す術はない。

「リュウ、諦めないで。大丈夫。きっと当てられる」

 リュウの真っ暗になった心に、一縷いちるの光が射し込む。紛れもない、勝利の女神の微笑みだった。

ボヤキー

ジン「あれ、俺の出番来たと思ったのに、たったの700文字だけかよ……」

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