Hell & Heaven〜煉獄の魔術〜
ブラックジャックの詳しいルールはBrain VS Foutuneにて記載しています。
現在:70万コイン
残り:7回
フェルディナンドとリュウのゲームだということで、特別なテーブルが作られる。
カシーノ・スエールテには、二台の大きなモニターがある。そのモニターに、テーブルの上にアップされたカードがカジノの客全員に見えるように、という配慮のためらしい。リュウの周りには、カメラが3台ほど設置されるが気にしない。
「では、まず10万コインを」
フェルディナンドはリュウに10万コインを置くように指示する。
リュウは指摘の通り、10万コインをテーブルの上に置いた。
すると、瞬く間にフェルディナンドはカードを配り終えていた。ちゃんとリュウの二枚とフェルディナンドの一方はアップカード。 アルよりも数段速い。目に見えない疾風迅雷の手。
リュウのカードは6、6。フェルディナンドは7。
何か違和感がある。何か嫌な事でも起こるような感じが。
「取り敢えず、ヒット(カードを一枚引くこと)」
また、目に捉えられないフェルディナンドの手つき。駄目だ。人間としての視覚の限界を感じる。
出た数は、6。
カジノの中が騒がしくなる。
「スリーシックスとは、アルに勝ったことで、疫病神に憑かれた可能性も否めないですな」
「……スタンド(カードをこれ以上引かないという宣言)」
取り敢えず18なのだ。様子見として、スタンドするべきだ。
そして、フェルディナンドは隠されたもう一方の札を露わにする。
7。まさか……。フェルディナンドはもう一枚カードを引く。
「トリプルセブン。これが、雲泥の差だ。理解したかね」
歓声がドッと湧き上がるカジノ。その音は、地震のように地面を揺らす。
忌み嫌われる666。そして、願い求める777。付け加えて言うと、フェルディナンドはブラックジャック。
「……次のゲームを」
リュウはコインを出しながら言う。
油断していた。またカードが配られる瞬間を逃した。
そしてカードは10、Jというペアで、ヒットしようにも出来ない数。フェルディナンドのアップカードはK。
「……スタンド」
フェルディナンドは頷き、もう片方のカードを表向きにする。
「……A、ということは、二連続ブラックジャック……」
「今日は運が頗る良い。主に勝ちはあり得んよ」
リュウはふと気付く。自分自身はいつの間にか、フェルディナンドの自家薬籠中の物と化していたのではないかと。そして、フェルディナンドの別称を。『煉獄のフェルディナンド』と呼ばれていた事をふと思い出したのだ。そのように完全に思い通りにしか動いていない。何か裏があるのではないのか。煉獄の魔術の中に嵌ってしまったのではないか。
……カードの配り方を注視すべきか。しかし、普段の目では見れないな。
「やはり、本物のリュウ・アレクセイだな。虹彩異色症の」
この右目は、普段使わないように、半球睡眠状態にしてあるのだ。半球睡眠はイルカが行う睡眠方法。イルカは外敵から身を守るために、ずっと起き続ける必要がある。それ故に、右脳と左脳を交互に睡眠を取っている。右脳を休ませる時は、左眼を閉じ、左脳の時は、右目を閉じる。
リュウの両目を使った状態にすると、脳の情報処理能力が追いつかない。嘗て、かの有名なアレクサンダー大王(アレクサンドロス3世、イスカンダルとも呼ばれる)も虹彩異色症で、それぞれの目は、夜の暗闇と空の青を抱くと言われたように、見え過ぎる。
しかし、この状況だ。使わずには居られない。あの高速配分を見極める為に。
「……さぁ、次のゲームを」
フェルディナンドは不敵に笑った。
ボヤキの会
ルシエ「なんで、私達、主人公なのにここ最近、存在すら出てきてないんだろ」
ジン「いや、それ言ったらティエリとティーゼルの方が……」
ルシエ「それは年齢制限もだし……」
ジン「なんでNGシーンの最大のネタ扱いされてるリュウの出番が多いんだよ。なんか不満」
ルシエ&ジン「はぁ……」