表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
UnLimited KNights   作者: 刹那翼
第2章 銃の街 アプエスタール カジノ編
22/45

神算鬼謀の為政者達

今回はフェルディナンド戦の前置きです。こちらもブラックジャックとなっているので、ルールはBrain VS Foutuneにて詳しく記載しています。

 カシーノ・スエールテに入ると、少し離れた前方に長い階段がある。そして、それを登り切った先にあるのは、閉ざされた扉。

 今、遂にそれが開かれる。

「満を持しての登場か」

 彼からは皇帝としての威光を感じる。王たるリュウでも、それを感じずにはいられなかった。百戦錬磨のフェルディナンドは、若い長であるリュウにとって目上と言っていい。国柄などは全く関係ない。戦は経験と発想。それ以外、何でもない。

「フェルディナンド陛下……。申し訳ございません。負けてしまいました」

 アルは席を立ち、フェルディナンドに譲る。そして、側に控える。

「知っとるよ。まあ負けるのも無理もない。この若造は、あの『神算鬼謀のアレクセイ』なのだから。寧ろ、今まで黙って傍観してた余も悪い」

「神算鬼謀のアレクセイ……もしかして、翡翠の策士のあの、リュウ・アレクセイですか」

「なんか、俺、色んな呼称があるな……」

 リュウがそう呟いていると、フェルディナンドの目が此方に向く。

「カジノに、一国の王が一興しに来ても何も言わんが、カジノ潰しは頂けんな。特に、何を考えてるか分からん若造にはな」

「その言葉、お返ししますよ。カジノで一国の稼ぎを得ているならば、何を考えてるのか全く分からない。それは国の為だとでも」

「若造が抜かしおって。国の統治を投げて、欧州の西端まで興じる王が余の顔に泥を塗るとは、全く嘆かわしい話だ」

「くどい。貴方も、国の統治をせず、このカシーノ・スエールテに居座り続けているではないか。偽善も大概にしたら如何いかがでしょう」

 アルという見事な家臣が国王の鏡なのだろうと思っていたが、飛んだ思い違いだ。今まで出会ってきた為政者の中で最も気に食わない。あのアルカディアを治める者の方が幾分か筋が通っている。認める気は全くないが。

「此処は何処か分かって、そのような生意気な言動をしているなら、何も言う事はないが、迂闊うかつな事を言えば、我が軍が主を殺しに来るが、それでもいか」

「ほう。来賓らいひんにあの世への餞別せんべつとはお怖い。更に顔に泥を塗られたいのなら、お好きにして下されば、結構ですが。王は常に死を覚悟し、世界を股にかけるのですから」

 フェルディナンドは高らかに笑った。

「全く気が抜けん奴だ。思っていたより、骨のある奴で安心した。噂より劣るならば、今此処で首を切り落としていた。さて、お主たる者、何か用があって此処におもむいたのであろう」

 フェルディナンドの対応が変わった。きっとリュウを試していたのだ。リュウとて、それに気付かなかった。相手は歴戦の殿しんがりなのだ。油断大敵。

「条件提示だ。余にこのブラックジャックで勝利を収められるなら、主の条件を飲もう」

「……貴方からの条件は?」

「無い。主に賭ける価値があるかどうかを見定めるだけだ」

 フェルディナンドやジンといい、どうしてこの国の住民は賭ける価値にこだわるのだろう。

「なら、勝てたら条件を飲んでもらえると」

「ああ、だが、一度この余っているデッキを見せてくれないか。勿論主にも見せる」

 リュウは頷く。その瞬間、デッキを持ち上げ、リフルシャッフルのようにトランプの角を持ち、バラララララという音を鳴らしながら、カードを一枚ずつ、脳で認識出来るか否かのスピードでめくり始める。

「ふむ。では、始めようか」

 すると、欧米で主流なオーバーハンドシャッフル(横向きにシャッフルすること)、東洋のヒンズーシャッフル(日本で主流の縦向きにシャッフルすること)、更には八枚の山に分けたショットガンシャッフル(分けた山に一枚ずつ数が均等になるように混ぜるシャッフル)を織り交ぜてカードを切る。

 シャッフルを見る限り、手捌きが半端ではない。やはり、アルが言うように、尋常な敵では無いのだ。

 フェルディナンドはトランプを切り終わり、トランプをテーブルの上に置く。

「主のコインは今何枚だ」

「ざっと70万コイン」

「なら、10万コインで勝負というのはどうだ。但し、他のルールを使う時に金はいらん」

 リュウは頭の中でメリットとデメリットを秤にかける。

「……良いでしょう」

 7回のうちに決着をつければいいだけの話だ。メリットしか無い。

スエールテはどちらに傾くか」

 フェルディナンドは不敵に笑った。

フェルディナンドやアルが運のルビにスエールテという単語を使っていますが、スペイン語で運を表す単語らしいです。

ちなみにカシーノも賭博場ということで、カシーノ・スエールテというカジノ場ということです。

あと、アルの名前の由来はアルカポネです。賭博業でも有名なギャングですね。作中ではアメリカ生まれでもないし綺麗な性格をしていますが、転生だと思っていただければ幸いです。

作者の無駄コラムでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ