Even money〜勝利への標〜
Brain VS Foutuneから続いているブラックジャック回です。ルールはBrain VS Foutuneに詳しく書いてあるので、そちらも是非!
一方、カジノの裏。
フェルディナンドは、ある噂を耳にした。カジノで大儲けしている奴がいるということを。
しかも、二組。赤髪の女と何やら怪しげな銃士のペアと、灰色のフードを被った青年。
フードを被った青年は、監視カメラで確認すると、何処か見覚えがある人影であった。
頼れるディーラーのアルとのギャンブルの際、画面を大きくして監視をする。すると、フードが少しズレて、少し緑がかった瑠璃色の瞳が見える。色が落ち着いているように見えるが、信念の籠った目の鋭さ。
リュウ・アレクセイに違いない。しかし、おかしい。彼奴は虹彩異色症のはずだ。右目は濃い褐色だったはずだ。なのに、何故、両目が綺麗な瑠璃色をしているのか。
目なんて、今はどうとどうでもいい。きっと、本物のアレクセイなら、この勝負を何事も無かったように乗り越えるはずだ。勝てば本物、勝たなければ本物ではない。その場合次第で動けばいいのだ。
リュウSIDE
ルシエとジンが黙って見ている。なんとなく近くに来ているのを、前々から勘づいてはいた。
しかし、ギャンブルから目が離せない状況がずっと続いている。15ゲームはしただろうか。
「これで、何回引き分けか。こんな勝負が出来るのは、フェルディナンド様と貴方以外にはまだ居ませんよ」
きっと10ゲーム連続引き分けという結果は簡単に超えているはずだ。
つまり、まだ5000コインを賭けた状態が続いている。
「それは有難い。ですが、そろそろ疲れて来ましたよ」
「私もです。さぁ、ネクストゲームに入りましょう」
二枚ずつ、カードがセットされる。リュウのはちゃんと二枚、アルのものは一枚がオープンされていた。初めての事が起こった。
配られた時点で、リュウの札はブラックジャックだった。最初の二枚でのブラックジャックは、ナチュラルブラックジャックとも呼ばれる。
だが、安心するのは早かった。
アルのカードは、K。もう一枚がAなら、負ける。それ以外なら、勝ち。普通ならば、そうなのだ。
しかし、忘れてはいない。Aが出た時にも対抗出来る策が一つだけあることを。
「イーブン、マネー」
アルは硬直した。
イーブンマネー。それは相手もナチュラルブラックジャックでも、勝ちは確定。しかし、倍率が低くなるというデメリットがある。
「イーブン、マネー。……予想外です。まさか、貴方がこの状況で、それを選択されるとは」
倍率は少しばかり低くなるが、引き分け続きの後の負け程、傷に塩を塗り込まれるようなものは無い。ならば、倍率は少し低くても、勝つのが的確だと、リュウは踏んだ。それだけだ。
アルが、もう一つのカードをアップする。
A。つまり、ブラックジャック。
イーブンマネーで無ければ、負けていたところだ。
「まさか、貴方は未来が見えるのでは?」
アルが微笑みながら言う。
「それは無いですよ」
「私の運に足を踏み入れて来たのは、フェルディナンド様さえ出来なかった。なのに、それを貴方は成した。面白い。ディーラーとして、貴方は尊敬に値する」
リュウは賭金5000コインの2倍配当、10000コインを手にした。これは小さな勝利の証だ。
そろそろリュウの元となった偉人のヒントは出尽くしたかのように思えます。じわじわと他の主要人物の元となった偉人も出していきたいと思ってます。