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UnLimited KNights   作者: 刹那翼
第2章 銃の街 アプエスタール カジノ編
18/45

Brain or Fortune

リュウSIDE

 どうしても、ジャンク家について気掛かりだ。何処かで、それに関連する人物に会った気がするのだ。それも遠い昔に。

 しかし、ルシエに直接訊くとなると、あれはわざと避けているようだった。話を逸らしていた。リュウの好奇心のために、安易に触れて良い話題ではない。

 旅は長い。きっとそのうちルシエから話してくれるだろう。

 今は目の前のことに集中だ。

「……お手合わせ、良いですか?カシーノ・スエールテ、最高のディーラー、アル・マドル」

「先程、スロットで話題になった方かな?是非とも。私めも気に掛かっていたもので。手合わせ出来て、嬉しいものです」

「リエル・アレックスと申します」

「ほう、珍しい名ですな。リエル様、どうぞ、席へ」

 リュウ・アレクセイでは、名が知れ渡っている。暴露たら、此処から追放されるに違いない。偽名で名乗っておくのが、手だと踏み、咄嗟の偽名を名乗る。

「取り敢えず、賭金ベットは3000コインで」

「お手並み拝見、というところですな」

「えぇ」

 アルは電光石火のスピードで、カードを二枚ずつ配る。既に、アルのカードのうち一枚は、アップカードとなっている。注意して見ないと、見えないスピード。一時も油断は出来ない事を改めて思い知る。

 さて、ブラックジャックのルールを取り敢えず脳内で確認しておく。

 トランプを六デッキ使用する。つまり、それぞれの数字のカードが24枚ずつだ。全ての枚数は、312枚。

 ディーラーはまず、プレイヤーとディーラー自身に二枚ずつ配る。プレイヤーのカードは全てフェイスアップ(表にして配る)で、ディーラーのカードは一枚だけ。

 全てのカードを合計して、21になれば、ブラックジャックとなる。エースは他のカードが合計で10以下なら、11として扱い、10より大きいなら1として扱う。どちらもブラックジャックで無い場合、全ての数の合計が多い方が、勝ち。同点なら、引き分け。しかし、ルシエに説明した通り、ディーラーにはデメリットがある。ディーラーは必ず17以上でスタンドしなければならない。そして、21を超えると、バストとなり、負けてしまうのだ。つまり、ディーラーがスタンド出来るのは、17、18、19、20、21の5通りしか無いのだ。しかし、プレイヤーがバストしてしまうと、その時点でプレイヤーの負けなのだが。

 カードが配られた時点で、プレイヤーのみがAと10かジャッククイーンキングのいずれかなら、ブラックジャックとなり、賭金の2.5倍の配当となる。

 ヒットはカードを一枚引く。テーブルをトントンと叩くと、ディーラーからカードが配られる。

 スタンドはカードを引かない。その時点までで、配られたカードで勝負するというもの。手を下に向けて、テーブルと水平にして振るのが合図。

 ダブルダウンは二枚のカードを見てから、賭金を2倍にして、カードをもう一枚だけ引くという変則ルール。しかし、もう一度は引けないという点を持つ。

 インシュアランス(保険という意味)は相手のアップカード(最初に配られたディーラーのカードのうち、表向きの一枚)を見て、それがAの時にだけ使えるルール。最初の賭金ベットの半分を支払い(どうやら此処では割り切れなかった場合は繰り上げらしい)、両方を表にした時、ブラックジャックの場合にのみ効果を発揮し、保険としたコインの2倍を払い戻しにするというもの。これは半分の金額を最初に賭けたコインの隣に置いたと指差せば、それでいい。

 スプリットは、アップカードが同じ数字(10、J、Q、Kも同じ数字と見なす)の時に使える特殊ルール。賭金をもう一度支払うことで、二つを分けることが出来るというルール。但し、Aの場合だけは一枚しかヒットすることができない。これの合図は、賭金を最初のコインの横に置き、人差し指と中指を伸ばして、開くのが合図となる。

 そして、イーブンマネー。これはプレイヤー自身がブラックジャックなら、ディーラーがブラックジャックでも配当を貰えるというルール。ちなみに、ディーラーが最初の二枚の時点でブラックジャックなら、此方の負けになる。相手がブラックジャックの可能性があるなら、イーブンマネーの価値は充分にある。

 最後にサレンダー。これはプレイヤーの出目が悪かった時に行うもの。賭金の半分を支払う事で、そのゲームは降りることが出来る。負けた場合は、全て奪われるので、これも使いどころが重要だ。

 これでルールは以上。

 リュウのアップカードは、3と8。アルは、9。取り敢えず、マニュアル通りに、ダブルダウンで攻める。

 3コインの横に、コインを2枚置き、後者を指差す。

「ダブルダウンですね。良い選択ですな」

 出た数は、8。合計で19だ。

「スタンド」

 リュウは無難なプレイしかしてないが、功を奏する為には、手段は選ぶべきでは無い。手のひらをテーブルと水平にし、振りながらそう告げる。

「が、しかし、それは運を持ち合わせていない者に対して取るもの。私は生憎、運が強いものでね」

 ディーラーは両方をアップカードにする。9と2。もう一度引くと、2が出る。まだ17になっていない。再度引く。8。

 全てを足すと……21ジャストだと!?

「私は、確かに一人のディーラーです。しかし、他のディーラーよりも運がとりわけ良い。だから、今もなお此の場所で、此の仕事が出来ている、というわけです。リエルさん、貴方、覚悟が無いなら、此の台から立ち去って、他のディーラーと勝負すべきだと、私は思いますよ」

「……俺が、たった一回で怖気付くような奴だと見なされたなら、それは本当に残念だ」

 アルは首を振る。

「そうでは有りませんよ。逆に実力があるからこそ、そう言ったのです。此処はカジノ。スエールテが無いものは、淘汰とうたされる運命にある。しかし、その運を頭脳で乗り越える者は、私自身応援したくなる。しかし、頭脳戦でも勝てないものも、また運なのです。私の運には、勝てないのです。今までのプレイヤーもそうであったように」

「……俺は強欲なんですよ。このカジノ最強、いや、全世界最強のディーラーを打ちのめす。それが今の目標なのです」

 アルは笑った。

「ほう。久々に、手応えのある敵となりそうです。しかし、私は世界最強では有りませんよ」

「……え?どういうことだ」

「このカジノを治める、フェルディナンド様が最強で無ければ、このカジノの運営は、出来ていないのでは?」

 アルの上を行く、フェルディナンド。面白い。いつ振りだろう。こんなに心が燃えるのは。

 予言に示された、軍師として、此処で最強にならなければ、アルカディアを倒すなんて、夢のまた夢。

 リュウは英雄であり、挑戦者チャレンジャーなのだから。目の前の敵を、征服する。それが征服王、リュウ・アレクセイの役目なのだ。

NGシーン

リュウ「電光石火の速さで配られている!?」

アル「あ、手が滑った」

サクッ。

リュウ「頭にカードが……」

アル「ごめんなさい、わざとじゃないんです!」

リュウ「……いえ、気にしないでください。よくあることですから」

アル「ねえよ」

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