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UnLimited KNights   作者: 刹那翼
第2章 銃の街 アプエスタール カジノ編
17/45

Casino breakers〜幕間〜

第14〜16部のルーレット回の種明かしとなります。読んでない方は是非、そちらから読んでみてください!

「少し休んだら、楽になった。ありがとう」

 休憩室レストルームなるものがあったので、そこでルシエを休ませていた。

「魔法で風を起こしたから、このカジノの中の数名はそれで影響出てるかもな〜。まぁ、緊急事態だから使ったんだけどな」

 リュウと約束事で、目が見えないからといって、風を起こさないとしていたので、あまり気が進まなかったが、これに限っては仕方が無いことだ。

「色々質問していいか?」

「うん、この際だしね」

「どういう技を使ったんだ?あの間に何をした?」

「まずは入れるタイミングと入る場所を大体で当ててたの。でも、二回目の賭けで、百発百中にはならないなってわかった。だから、やり方を変えた」

 たった一回で修正する能力。それは彼女が持つ長所に相違無い。

「で、どんな技を使ったんだい?」

「私の剣ガイアは、形を自在に変えられるの。それでレールを作った、とかじゃなくて、別の使い方をしたの」

「ほう、それは?」

「魔法を伝導する媒介として使ったの」

「まさか、君は糸状にして、その糸に魔法を使って!?」

 そう、余程の魔導師でなければ、難しい技だ。慎重に、素早く行わなければならないのだ。

「そう、双子の兄の方のティーゼルが"回転"する球を地面にぶつけて、その反響を感じ取って、敵の位置を把握したのを思い出してね」

「なるほど、それを逆の使い方をしたってわけか」

 魔法の七定石の一つ、回転。ジンの技の一つ、流転のように、回転エネルギーを別のものに移したのだ。要は、ディーラーがわからない程度の回転を付加して、摩擦の増加なのか、回転により軌道が変わったのかは知らないが、それによって入る位置が予測出来るということだ。

「よくもまあ、俺の技の流転を真似ようとしたもんだ。それに、あんな長い時間体の化学エネルギーを使ってやってたのか……よく頑張ったな。本当マジに肝が座ってるよ。俺もお手上げさ」

「えへへ」

 会話をしているうちに、質問を忘れてしまう。思考を巡らせる。ああ、思い出した。

「あと、何故、黒にしか賭けなかった?別に狙ってなかったんなら、何処でも良かったんじゃ?」

 その質問が終えた時、突然休憩室に来訪者が来る。

「ルシエ、大丈夫か!」

「大丈夫よー」

 単独行動をしていたリュウだった。

「赤髪の女性が倒れたという噂が、耳に入ってね。本当に無事で良かった」

「心配してくれてありがとう。

 ジン、そういうことよ。私の髪が赤髪だからなの」

「……赤髪、きっと似合ってると思うぜ。ルシエみたいなお転婆娘には、赤のような明るい色はぴったりだと俺は思う。それに、生まれ持った性質を侮辱するのは、本人にも、その血統にも失礼だ」

 ルシエはまた黙り込んだ。

「私は侮辱されるべき、血統だもの。……私の父は、昔、裏で有名な暗殺者アサシンだったと聞いた事がある。指名手配犯には、ならなかった。それは大量殺人犯だけを狙って殺していたらしいから、寧ろ色んな政府が暗殺して欲しい者がいる時に頼られるような暗殺者だったとか。でも、私が生まれると、途端に暗殺業も辞めた。自分のようになって欲しくなかったんだって。私を穏やかな地で育ててくれて、良い親だったんだけどね」

「……ジャンク家、アサシン。何処かで聞いた事があるような……」

 リュウが口を開いた。これはリュウも初めて聞いた事なのだろうか。

「俺は聞いた事がない。まず、殺し屋が有名だったら、殺し屋じゃねーだろうよ」

「まあ、そうなんだが、殺し屋としてじゃなく、また別のところで聞いた事があるんだ。思い出せない……」

「気のせいじゃない?」

「そうかも、しれないな。

 しかし、問題はこれからなんだ。ルシエが倒れたからには、次のブラックジャックは俺が出なければならない。悪いね、ルシエ。叩き込んだブラックジャックのルールもう君には必要ない」

「良いのよ。もう少し休んだら、リュウのゲーム見に行くから」

 下手なゲーム出来ないな、とリュウははにかむ。

「そういや、リュウは今まで何してたんだ?女遊びか?」

 ジンはジョークで聞く。

「そんなわけあるか。んー……ざっと50程稼いできたよ」

「たった50コインか?」

 ジンは思わず笑ってしまう。ルシエに対して、偉そうに言ってたくせに。リュウは顔をしかめる。

「何言ってるんだ、50万だ」

 嘲笑がすぐさま苦笑いに変わる。ルシエがストレート・アップ三連続をして稼いだ14万の3倍近くもあるのだ。しかし、リュウはルシエの健闘を甘くは見ていなかった。寧ろ、称賛したのだ。

「頑張ったな。ルシエなら使い切って、俺に泣きつくもんだと思ってた」

 ルシエはその言葉を聞いて、頬を膨らませる。リュウはその姿を見て笑う。

「ごめんごめん。冗談だよ。後は、俺に任せてくれ」

 リュウは、ルシエの額にそっと手を当てる。きっと、治癒の魔法を使ったのだろう。

「んじゃ、行ってきます」

 リュウの背中は、ジンより若いくせに、大きく見えた。

 まるで、ジンの死んだ兄のように。

NGシーン

A「おい、赤髪の女の子が倒れたってよ!」

B「あの、ストレート・アップ決めてた子か?」

まさか、ルシエの事か!スロット回してる場合じゃねえええええ!



リュウ「という拍子で、コイン全部忘れてきて、努力が水の泡かなー……?」

ルシエ・ジン「「おい」」

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