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UnLimited KNights   作者: 刹那翼
第2章 銃の街 アプエスタール カジノ編
15/45

今こそ反撃の刃を

詳しいルールはWheel Of Fortuneに記載(こちらでも出来る限りの説明はしています)。

所持:現在48コイン(ベット除く)

 ルーレットには、こういう有名な言葉がある。

 ディーラーが余所見をしている時に、そこから金を奪わない限り勝つことなど出来ない、という言葉が。勝てると思うのが、第一間違いなのかもしれない。

 ルシエは大胆にも、1コインずつルーレットウィール上の並びで言うと、三つ連続する28、12、35に賭けた。ストレート・アップ(一つの数字に賭けること)に打って出た。これがもし当たれば、36倍。つまり、2枚のコインは外れるが、34コインの収益になる。

 転がる音がまだ止まらない。

 カタンッという音が響いた。

「…………」

 沈黙が場を襲う。

「どうだったんだ」

「……惜しいけど、三つ隣の3」

「勘だったんだろ?」

 肩をすくめるだけで、ルシエは答えない。まさか、本気だったとでも。

「……お願い、本当に危なくなるまで私、貴方に何も喋らないから貴方も私に喋らないで」

 何だろう、この不思議な感じは。信念のこもった声。彼女はまだ諦めていない。

「ジン。賭けなきゃ、何も得られない。失いもせず、得もしない。

 それを学びに来たんじゃない。私達はそれ以上にやることがある。世界を変えるんだ」



ルシエSIDE

 ルーレットは以下の三つの項目を制すれば、きっと勝てる。球を投げ込むよう位置、球の速さ、あとは運。仕切りの上に乗ったボールはどちらに落ちるかは知っている者がいれば、それは神かペテン師か。残念ながらルシエはそのどちらでもない。

 なら、残り48枚のコインのうちにそれらを見定めなければならない。

 リュウに私の愛剣、ガイアを見えないほど細くして、レールを作るのはどうか訊いてみた。すると、『それはディーラー側から見ても、球が不自然な動きをしている時点で何らかのイカサマをしているとバレる』という返事が返ってきた。

 なら、何故リュウはガイアを持っていれば、イカサマ出来ると言ったのか。。

 三項目をどうにかする方法を考えつかないと。三項目を思い通りに出来るわけが、ない……はずなのだ。

 いや、もしかすると、可能かもしれない。

「プレイスユアベッツ(賭金を置け)」

 取り敢えず、黒に賭ける。

 武器の持ち込みは危なく思われると思い、実は胴体に巻き付けていた。少し腹部を触り、ガイアを扱えるようにする。

 この1コインは捨てた。その先の利益を優先する。

「ラストコール(もうすぐ賭金の移動の終了という合図)……ノーモアベッツ(賭金の移動の終了)」

 7のポケットに入った。

「先の賭けが今なら良かったですな。二分の一でも外してしまった。どうやら貴女は天から見放されたようですな」

「それを断定できるのは天だけよ」

 この案はぶっつけ本番。正直、上手くいくかわからない。そして、ある程度は自分で見定めもしなければならない。

 賭ける価値がある、反撃の刃。この刃が、運命をも切り裂く確実無比なものになれば、間違いなく勝てるのだから。

「プレイスユアベッツ」

 コインを黒に置く。

 ディーラーはボールを入れる。これまでと同じ速さだ。

 ルシエは投げ入れる位置と投げ入れる強さ、その軌道の先に入るポケットをこれまでの経験から推測する。

 きっと17〜13の間だ。

 だが、今回は当てるためなんかじゃない。勝利への道の確立の為に、この勝負を捨てる。

6に黒に賭けたコインを置く。

「ラストコール……ノーモアベッツ」

 無情にも、思いついた策を試すと、6とは真逆の18に入る。

「完全なる運の尽きですな」

 煽られるな。ディーラーはただ怒りを沸かせて、ベットや勝負をを誘っているだけだ。

「いえ、月のように満ちていってるの」

 ルシエは出来るだけ、相手を恐怖させるように笑った。

 焦る必要はないのだ。反撃の刃はゆっくりと錬成されていくのだから。

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