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UnLimited KNights   作者: 刹那翼
第2章 銃の街 アプエスタール カジノ編
14/45

Wheel Of Fortune〜運命は廻る〜

ここからがカジノ回です!

ルーレットのルール説明は中盤辺りにあります!

ジンSIDE

 カシーノ・スエールテ。何故リュウがこの場所を選んだのかは知っている。この国を治める者、フェルディナンドが居るからだ。ずっとカジノに居座り、何も行動を起こそうとしない為、国民から反感を買っているのも確かだ。カシーノ・スエールテがヨーロッパ随一のカジノで無ければ、皇帝の座から引きずり降ろされているところだ。ヨーロッパ中のギャンブラーがここに集まるのだ。それが故にカジノには猛者しかいない。その猛者でもピンキリハッキリ。大儲けするか、落ちぶれるか。

 初心者には難し過ぎる。特にルシエのように、嘘のつけなさそうな女性レディーには。このカジノの名前のように、余程のスエールテを持っているか、それとも自分にそれ相応の技術があるかどうかだ。勝つとしたら、このどちらかだ。

 まさかイカサマをするつもりなら、このカジノのディーラーは殆どが手練れだ。世界のギャンブルに関する猛者が集まる時点で、ディーラーも熟練ではないと到底やっていけない。そんな愚かな真似はとてもじゃないが、あの冷静沈着なリュウが許すわけがないだろう。

「おい、ルシエ。どうした」

 カジノに入ってから、ルシエの動きがどうもおかしい。歩いたり止まったりを繰り返している。

「このカジノ、十八歳入れるよね?」

 声が震えている。これは先程も確認されたことだ。さっきは三人の中で一番年下、しかもジンとリュウは一応二十歳を超えているということで聞いたのだろうと思っていた。しかし、彼女の手は震えていた。室内で微弱な風しか流れていないため、ルシエの手を握っているからわかった。彼女は失敗が許されないから緊張しているのだ。

「ルシエ、一度深呼吸をするんだ。

 はい、吸って〜、吐いて〜」

 ルシエはジンの言う通りにした。

 ジンはルシエの強張った肩をトントンと叩く。

「そんな緊張しなくて良いんじゃないか?負けてもあのニヒルな野郎が勝ってくれるさ」

「そ、そうよね。私、頑張るよ」

 風は微弱だが、ルシエがルーレット台に向かうのが、最低限わかった。

「ごめんあそばせ。私も、宜しいかしら?」

 ルシエがらしくない喋り方をして、笑いが込み上げて来るがなんとか耐える。カジノをなんだと思っているのだろうか。

「勿論。そこの男性も、ご一緒ですか?」

 ディーラーはどうやら男性だ。渋い声で、勝負事なのに燃え盛るような熱は無く、おっとりとした感じが残る声だった。

「いや、俺は結構です」

「そうですか」

 どうやら、ディーラーはルーレット台を磨いていたようだ。何も仕込んで無いと良いのだが。

「ヨーロピアンタイプ、アメリカンタイプどっちにしますかな。それとも、メキシカンですかな」

「ヨーロピアンで」

「妥当ですな。では、其処に座ってください。お連れ様もどうぞ、お座り下さい」

 言われた通りに席に座る。椅子の座り心地は柔らかい。騒々しいカジノの中の椅子とは思えなかった。

 ここで、ディーラーは始まりの合図のベルを鳴らす。

「では、プレイスユアベッツ」

「まずは黒に1コイン」

「かなり慎重ですな。良いでしょう」

 ルーレットを右手で回してから、ボールを入れながら言う。

「ラストコール……ノーモアベッツ」

 十回程回った時だっただろうか。ディーラーはそう言いながら、机を撫でる。ルシエは賭け金の移動はしなかった。

 ルシエはいつ勝負に出るつもりなんだ。ずっと倍率が低いアウトサイドベットでやっていくつもりなのだろうか。

 ガラガラと音を立てながら回る。ゆっくりゆっくりポケットに近づいていく。

 コロンとポケットに入る。

「黒ですな。お見事」

 これは見切っていたのか、そうでないのか。まだ一回目だから分かりやしない。

 ここで少し、ルールを確認してみようと思う。

 ヨーロピアンタイプのウィールにあるポケットの数は0〜36の37区分。ちなみに、これに00が加わり、38区分。メキシカンは000を更に加えるらしい。

 並びは0から右回りで順番に、0ー32ー15ー19ー4ー21ー2ー25ー17ー34ー6ー27ー13ー36ー11ー30ー8ー23ー10ー5ー24ー16ー33ー1ー20ー14ー31ー9ー22ー18ー29ー7ー28ー12ー35ー3ー26という順番だ。

 またここから0を除き、32から一つ飛びで進んで行くのが、赤。15から一つ飛びに進んで行くのが、黒。

 そして、ルシエが賭けた赤か黒の属するアウトサイドベットについてから。アウトサイドベットは低倍率だが、高確率で当たるという点を持つ。

 まず赤か黒の配当は2倍。そして、奇数偶数も2倍。1〜18の前半、19〜36の後半に賭けるものも2倍となる。また、1〜12の小、13〜24の中、25〜36の大はそれぞれ3倍。3で割って1余るもの、3で割って2余るもの、3で割って余りが出ないものが縦1列で並んでいて、それに賭けるものも3倍となる。ただし、0だけはどのグループにも属さないのが注意点だ。

 これがアウトサイドベットだ。

 次に、インサイドベット。ここで0の概念を戻す。これは当たりにくいが、その代わりに高倍率を狙える。これは一発千金も夢では無いが、一発で夢が砕け散る危険性もある。

 ストレート・アップ、一つの数字に賭けるものは36倍。まあこれはルシエは使わないだろう。それぐらい確率が低い。

 スプリット、二つの隣り合う数字(3の倍数の余りの数で縦に分けた時、列の上下に来るものも隣として扱う)に賭けるものは18倍。0と1、0と2、0と3も可能(表にすると、1〜3を覆うように0が位置しているため)。

 ストリート、これは表で見て横に位置するもの(1〜3、4〜6と順番に並べて、三つずつに分けたもの)と0と1と2、0と2と3という例外を含めたものだ。これの配当は12倍。

 コーナー、今まで説明した表で隣り合う四つの数(7、8、10、11など)。これは9倍。これは0を含めたものを作れない。

 最後にライン、表で見て横2列(1〜6など)のこと。これは6倍という計算だ。

 配当は、自分が賭けたコインにその配当の倍率を掛けたものだ。

 最後にディーラーがプレイスユアベッツと言ってゲームが始まる。ノーモアベッツと宣言する(机を撫でるようなジェスチャーを含めた)までは賭金ベットの移動、追加が出来る。ラストコールはノーモアベッツの予鈴のようなものだ。

 これでルールは以上。

「では、プレイスユアベッツ」

 ルシエは次は黒に1コイン賭けた。

 そして、ディーラーはボールを入れる。

 すると、ルシエはそのコインに2コイン加え、28、12、35の部分にそれぞれ一枚ずつ置いた(と耳打ちで聞く)。流石のジンも驚いた。

「……ギャンブルは確かに娯楽だ。しかし遊びではないのですぞ。それで良いのかね、お嬢さん」

 ルシエは返事をせずにいた。

「ラスト、コール…………」

 コールの間が長い。ルシエの様子を伺っているに違いない。このディーラーはその選択を変えるべきだ、と言わんとしているようだ。

「ディーラーである以上、この子の身を案じるようなことはすべきじゃないですよ」

 ジンは忠告する。ルシエは間違いなく、正々堂々の試合を望んでいるだろう。それに応えての忠告でもあった。

 もしかすると、ルシエは運がいいのかもしれない。手練のディーラーなら、きっとプレイヤーを案ずるようなことは言わないはずだ。

「そうですな。ノーモアベッツ」

 まるで大きな扉の閉まる音のような低い声で、ディーラーは賭金の移動を閉め切った。

インサイドベット、アウトサイドベットの説明は一応書いてはあるのですが、表の説明が超下手でイマイチ!という方は是非画像を調べてみてください……。説明下手で申し訳ないです……。

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