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UnLimited KNights   作者: 刹那翼
第2章 銃の街 アプエスタール カジノ編
12/46

賭ける価値

 ジンが話を聞きたいというので、取り敢えず店に入る。

 ジンは椅子に座ろうとすると、体をぶつけた。

「風起きてねえと分かんねーな」

 ジンが何を言っているのか、ルシエには全くわからなかった。

「さて、ジン……が聞きたい事はなんだ?」

「勿論、この手の紋章の事だ」

「「英雄の証ー」」

 双子が同時に言うと、リュウは頷いた。

「アルカディアを倒す者に宿る紋章だ」

「あの、アルカディアを……ねえ。

 確かに俺はアルカディアを良くは思っちゃいねえ。むしろ悪だとさえ思っている。

 だから俺はあんたらに加勢したいのは山々だ。だが、本当にお前達が信頼に値するのか。アルカディアに太刀打ちできる実力、勇気、頭脳があるかどうか、だ。

 だが、あんたらは多分若い。到底、あんたらがアルカディアを負かす存在だとは思えねえ。自分の命を捧げるだけ無駄だ」

 リュウはその言葉を待っていたと言わんばかりに、不敵な笑みを浮かべる。

「その通りだ。ジンを誘うつもりも無い。

 だが、きっと運命がジンをそうさせる。この運命には逆らえない。時間の流れに逆らえないように」

 ジンもその笑みにつられて、口角を上げる。

「へえ、面白いこと言うね、兄《あん》ちゃん。だが、英雄に選ばれる、強い力にはそれ相応の責任が必要だ。その責任をお前達に負えるか?」

「……目が、見えてないんだろ? なぜわかる」

 リュウは思ってもいない、突飛なことを言い出した。これには双子も驚いている。

「目が見えていない? でも、私達の性別を話す前から分かっているし、銃で何メートルも離れた相手三人を一発で……。そんなの目が見えなきゃできないよ」

 やっとジンはそこで脱帽し、首を少し振る。長いウェーブがかった黒髪が首の動きに合わせて揺れる。

「やれやれ、リュウ、といったか。君の洞察は凄いねえ。初めて俺が盲目だと当てられたよ」

「目に……」「傷跡……」

 帽子で隠れていた目。そう、その両目は開いていない。銃弾か斬撃かはわからないが、痛々しい傷によって目が開かないようになっている。

 ジンはその目を隠すように、帽子をかぶり直す。

「俺は、風の動きで人の場所や物の場所を判別しているんだ。視覚が無くなって、他の感覚の機能が向上したもんでな」

 それにしては出来過ぎな話だとルシエは思う。

 以後、リュウは彼の事を口にすると、存在してはならない、有り得ない脅威と決まって言うことになる。リュウが最も敵にしたくないのは、ジンの他には居ないと。

「でも、よく性別がわかったね」

「あぁ、それはルシエのお淑やかな胸がぶつかったときに」

 ルシエはジンの肩を本気で殴る。

「イッテ! おいおい、全盲の人にすることか!?」

「あなた、わ、わざとぶつかったの!? 次したら、その首に、ガイアを糸にしてぐるぐる巻きにして締め付けて、窒息死する寸前に首を跳ね飛ばすわ!」

 これにはリュウと双子も怯えた。

「「「……ルシエには手出ししないで置こう……」」」

「いや、あくまでジンがふしだらな行為をしたからだから」

「いや、本当お淑やか過ぎて、風だけじゃ判別つかな」

「それ以上言ったら、本当に斬るよ?」

「へいへい」

 ジンは冗談っぽく、両手を上げて降参をジェスチャーで表現する。

「ジン、お前の目の傷は、魔法で治せる。……お前自身も、治せるんじゃないのか?」

「……ああ、その通りだとも。

 だが、これは罪の傷跡だ。俺が白になるまでは、この傷は消せない」

 リュウは黙り込んだ。ルシエも何とも言えない気持ちになった。

「……なら、俺達と一緒に来て、白になろう」

「……は?」

 ジンは呆然としていた。

「いや、待て。確かに、あんたらは面白い連中だ。だが、賭ける価値が今は無い」

「賭ける、価値ねぇ。それは自分で見定めてくれないか。ジンの心の目で確かめるんだ。今から俺達は世界に俺達を知らしめる賭けに出るから」

「まさか、あんたら……」

 リュウは不敵に頷く。

「カシーノ・スエールテで、フェルディナンドに勝負を仕掛ける」

「おい、馬鹿が。フェルディナンドの本拠地だぞ、あそこは。金が無くなりゃ、殺されるか、武器工場で永遠に働く奴隷だぞ?」

「だからだよ。何が問題ある?」

 ジンは呆気に取られる。しかし、数秒後、嘲笑うように鼻で笑う。

「……良いねえ、その度胸。面白え。

 だが、俺はお前らを見定めるだけだ。良いな?」

 双子の幼子を各地にいるリュウの臣下に預け、三人でフェルディナンドが経営するカシーノ・スエールテに向かうことにした。

NGシーン

ティエリ・ティーゼル「目に傷!?」

ジン「そうだが?」

ティエリ・ティーゼル「よし!ペンで目を書こう!」

ジン「馬鹿!」

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