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第4話 初対面の再開

エンジェル・イン・オンライン読んでました。

めっさ楽しいです、強制女装にネカマプレイ。


よし、新しいのはそっちで進めよう。

「う……」


 眩しさに手をかざして、ゆっくりと目を開ける。見慣れない天井、いつもとは違っていい香りがする空気、何よりフカフカのベッド、いやソファーか。ゆっくりと上体を起こして辺りを見渡すが、自分が普段暮らしている貧民街スラムとは違い、何やら高そうな調度品や家具が所狭しと置いてあった。ここは貴族の家なのだろうか?


「あ、目が覚めたかい?」


 声に反応して、その方向を見る。そこには茶髪とメガネと笑顔の似合わない男がいた。


「………………」

「ああ、警戒しなくていいよ。シスがあの店に金を払って、その場は収めたらしいから」


 シスというのが、俺が気を失う前に見た女の名前なのだろう。こいつが貴族なら、どうせあいつも貴族だ。気を使う必要はない。


「君をここに連れてきたのはシスの意思だから、俺がとやかく言う資格はないんだけどね。君を助けたのは偶然だ、二度とこんな奇跡があるとは思っちゃいけない。次は確実に死ぬと考えておくと良い」

「うるせえよ貴族サマ、お前らに俺たちの生き方をとやかく言われる筋合いは無いんだよ!」


 俺の怒鳴り散らす声に、この男はフッと笑った。何故か嫌な感じがしない、たまに俺たちを見る貴族たちの、嫌な雰囲気が感じられない。


「いいね、そういう反発心は大事だ」

「喧嘩うってるのか?」

「とんでもない、それに俺たちはそもそも貴族じゃない、冒険者だ。そして俺達クリムゾン・ドロップスは君たちを救う義務がある。よければ仕事をあげよう、どうだい?」


 男は相変わらず、似合わない笑顔でそんな事を言ってきた。冒険者というなら俺を奴隷として扱うつもりだろうか、最悪この男を殺してでも……そう考えていると、男の背後のドアから二人の女が出てきた。一人は見たことないが、もう一人は知っていた。いや、探していた。


「ラスティ!?」


 俺が大声を上げて彼女の名前を呼ぶ。ずっと探していた、銀髪に金の瞳を持つ少女の名前を。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「ラスティ? ナユタさん、そんな名前のキャラ持ってるんですか?」

「いえ、私はこのキャラだけですよ。ビジネスですので」

「こらこら君達、彼の前でメタ発言はやめなさい」


 少年は驚いた姿そのままで固まってしまった。僕は彼の前のテーブルに、グラスに注いだジュースを置いて下がる。少年の視線は終始僕の顔を不思議そうに見ていた。


「えっと、僕に何か?」

「僕……? ラスティ、何言ってるんだ。俺だよ、ミスティだよ!」


 ええー、知らないし。そんな真に迫った顔で言われても分からない。


「ご、ご免なさい。僕はカエデって名前なんだ。君の言うラスティって子とは、別人だと思うよ?」

「そんな、俺が見間違えるはず無い! 君はラスティだ、どうして俺を覚えてない!?」


 メディルさん達を見るが、僕らを見て何か考え込んでいるようだった。早く助けろ。


「ふむ、それほど似ているとなると、アバターデータはそこから……? いや、リアルでも同じ容姿だったって事は、逆説的に考えるべきか? いや、それにしても……」

「落ち着いてください、えっと、ミスティさん。本当に僕はラスティさんじゃ無いんだよ。そっくりだって言うなら、似ていただけなんじゃないかな?」

「そんな……やっと見つけたと思ったのに……」

「……えっと、詳しく話してくれるかな? もしかしたら力になれるかもしれない」


 少年は暫く間を置いた後、語り始めた。


「俺達は東の貧民街スラムで暮らしてる、親無しなんだ。子供たちだけでなんとか生きてる。その為には盗みもやるし、人を殺した奴だっている。そうでもしないと、生きれないんだ。俺だってもう少し大きくなれば、酒場で仕事クエストを受けられるんだけど……」


 確かに、この世界は冒険者至上主義だ。何かを売るには国、領主からの通商許可証を配布してもらわないといけない。そして、それには多額の金か、市民の証明書が必要となる。彼らはそのどちらも持っていなかった。だからこそ、彼ら力無き子供達は犯罪に走るしか道が無かったのだ。


「それで、この前ラスティと二人で獲物を狙ってたら、こっちを見てる二人組に気付いたんだ」

「二人組……?」

「ああ、見るからに悪そうな奴だったから、嫌に覚えてるんだけど。その次の日にラスティが襲われたって聞いたんだ」


 この姿と同じ人物が、二人組の男に襲われた? 僕は夢で見た記憶を手繰り寄せる。生憎と少女側の視点だったせいで、少女自身の容姿は分からないが、あの二人の男の顔は間近で見たため記憶に残っていた。


「でも、通りすがりの剣士が助けてくれたって、嬉しそうに話してたよ。俺は暫く外に出るなって言ったんだけど、お礼が言いたいって言って、次の日出ていったきり……」


 僕だ。その時助けたのは僕だ。状況からいって、もう忘れてしまっていたけど僕だ。


 じゃあ、この身体は? そのラスティって子の体なのか? しかしリアルの体にまで影響が出ているのはどういう事だ? 背筋に悪寒が走る。気味の悪い想像をしてしまった。


 この世界のNPCは、あまりにも人間に近い。それは僕達の行動パターンや言動ログを集積し、自らの成長に取り入れているからだ。そしてそれはウイルス進化にも似た、一つの異常が引き起こした結果だと聞く。


 このNPCは魂を持っていた。僕のリアルの肉体を支配する程に。


「有り得ないよ」


メディルさんが真剣な顔をして僕に告げる。彼もそこに行きついたのだ、しかしオカルトすぎる話である。彼ははっきりと否定した。


「その体がラスティさんの物とは限らない。偶然の一致かもしれない、いや、何か原因がある筈だ。もしかしたら、ラスティさんはプレイヤーだったのかもしれないし」

「そう、ですよね。僕が馬鹿でした……。すみません、今日はもう落ちて良いですか?」

「ああ、ちゃんと自室でね」


 了承をとると、僕はおぼつかない足取りで二階にある自分の部屋へと向かう。未だに初期状態の部屋なので、明日は気分転換にインテリアをいじくろう。そんな現実逃避をしながら、僕は自室を目指した。


「待ってくれよカエデ! 俺は納得できてな」

「やめるんだ」

「何するんだオッサン、もしかしたら姉妹かもしれないだろ!?」

「やめるんだ、もう一度彼女を失うつもりか?」

「どういう事だよ……?」




 その日僕の耳に残ったのは、二人のこの会話が最後だった。


憑依合体、ラスティ!!


的なノリですね。いや、あれ体変わらんけど。

さーて、この後どうやって落とし前つけようか。

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