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閑話 それぞれの三日

長い間放置ですみませんでした!


色々読んでたら楽しくなって、ついでに影響されまくってました。濁ったとか超面白かったです。


何はともあれ、新章の前に閑話を一つ。事後処理のようなものです。

「なんなんだ、これは・・・・・・」


 リリス・プロジェクト研究所襲撃から既に三日が経過した昼間。オルトこと織原優斗は現実(リアル)でPC画面と睨めっこをしていた。

 それというのも、リリス・プロジェクト研究所から押収した研究資料が異常の一言に尽きたからだった。


「俺が想像していたよりも、よっぽど酷い事になっているじゃないか」


 俺が想像していたのは、せいぜいゲームのNPCを軍事利用する事だとばかり思っていた。いや、事実その研究所もあったのだから、間違いではないだろう。押収した資料の中にも、関係を示唆する箇所がいくつかある。


 だというのに、そんな隠れ蓑にくるまっていた内容が【来たるべき世界の終末に備えた新種の母胎】だというのだから、驚きを隠せない。

 しかも、リリス・プロジェクトが隠れ蓑にしていた計画は、脳の移植に近い記憶の上書きだった。最も金持ちが望みそうな内容の部署で、金の廻りも良かったのだろう。普通なら大きなビルにいくつもの部所が密集しているだけだろうに、彼ら【メモリー・インストール】の部所は独立した建造物を持たされていた。


 一番隠しておきたかった大切な部所だったのかもしれないが、それ故にリリス・プロジェクトに目を付けられ、内部から利用されるに至った。


 その結晶の一つが、カエデに施された強化手術だ。


 あの時、カエデの体に幾筋ものラインが光っていたは、とある特殊金属が発光していたせいだという。


【オリハルコン】・・・・・・いや、冗談じゃなくて。資料(レポート)にはそう書いてあるんだ、実際どうなのかなんて知らない。でもオリハルコンだって書いてあるのは本当だから、そう呼ぶことにしている。


 そのオリハルコンを、特殊繊維として加工して、皮膚と筋肉の間を這うように設置されており、それは脳幹にまで続いている。カエデも全身で、オリハルコンの無い場所なんてないだろう。それ程に広く、そして肉体に沁みついている。


 この金属がオリハルコンだと呼ばれている所以は、硬度や粘度、希少さも理由の一つらしいが、何より一番の理由は【精神感応物質】である事だそうだ。


 それってサイコ○レームじゃないか? いや、何も言うまい。


 いや、そんな事はどうでもいいか。問題は、こんな”加工”を施した責任者を取り逃がしている事だ。


 この技術を提供し、所長という座についていた男。【鷺澤英司】俺達が数年前に見失った、ファンタジースクール・オンラインをデスゲームに仕立て上げた犯罪者(ハッカー)。どうやら、このオリハルコン加工技術も何処からかハッキングしてきたようだ。米軍で無いことを祈るが、独軍ならやりそうで困る。


 しかし、これでまた一つ深い所に食い込んだ訳だ。怖ろしくもあるが、あいつを殺した原因を探るにはこれが一番近道だ。さて、もう少し詳しく読み進めていきますか。




 それにしても、あの金色に光る剣は、いったい・・・・・・?




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「はぁ~・・・・・・」


 あの襲撃から三日、未だにゾンビに対して生理的嫌悪感を拭えずにいるけれど、それ以上に私を助けてくれたあの白い騎士様・・・・・・。


 彼は一体何処の誰なんだろう。


 アプリコットという名前でプレイしている、岩澤杏子。普段はアプリって呼ばせているせいで、名前のミスリードが多くて楽しくもあり、さびしくもあり。


 仕事は趣味でネトゲ内の情報屋をやっている時に、オルトさんに見込まれてクリムゾン・ドロップスに入れて貰った。ここでの仕事内容は情報収集と暗殺。最初は暗殺もやったんだけど、殺した女の人が物凄く人間臭くて、何よりも騙され利用された案件だった事もあって、私は暗殺からは外してもらった。今では専ら潜入調査と情報収集だ。


 そんな、あからさまに裏の仕事をしている私にも、ようやく春が来たようだ。明らかにプレイヤーの青年は、ゾンビに襲われている私を颯爽と助け、風の様に去って行った。


 ああ、もう一度会いたい。もう一度と言わず、お近づきになりたい。というか、ぶっちゃけ付き合いたい。ああもう、どうしてフレンド登録すらしなかったかな、私。


 そういえば、特徴を言った時に微妙な顔をしていたカエデとドラクスは何か知っているのかな? 今度会ったらさりげなく聞いてみよう。さりげなく。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 暗い、暗い闇の中で、僕はただ漂っている。ここは何処なのだろう? 気が付いた時には既に此処にいたから、いつから此処にいるのかは分からない。


 寒い。まだ冬でもないのに、酷く寒い。何か温まるものはないだろうか?


 あの襲撃の翌日から記憶が曖昧だ。いったいどれだけの時間が経っているのか見当もつかない。一日か、一週間か、一ヶ月か、一年間。さっぱりだ。


 それでも、これだけ真っ暗なのだからあと数時間も起きていれば日が昇る筈だ。そうすれば分かる。此処がどこで、何故・・・・・・僕の体が動かないかも。きっと。


 何故。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「ねぇ宗吾、あれから暁はどうなったの?」

「まだ三日しか経ってないからな。詳しい事は解らないけど、公安の連中が引き取って行ったからメディルさんでも行方は解らないそうだ」


 三日前の研究所襲撃後、事態の収拾に出て来た警察が見聞している最中に公安が乗り出して来て、資料を根こそぎ回収して行った。その中には、死体となってうずたかく積まれた私達イヴの成れの果て。それらも含まれていた。


 彼らが何を求めて資料を持って行ったのか、それは解らない。けれど、その中には本来の楓である暁も含まれていた。連行されたという方が正しいだろうか。


「あの連中が、あれだけの資料を持って行ったのが、ただ事件解決に必要な証拠だって言うならそれでも良いけど……」

「けど?」

「もしかしなくても、公安の連中も張っていたのかも知れない」

「そっか、そう言えば確かに警察が入ってくるのも早かったよね。割と山の方だったし、煙が上がっていた訳でもないから現場に向かうにしても誰かが通報したとしか考えられない。だけど、早過ぎた」


 僕たちが襲撃を終えてから、三十分と経たずに警察は現れて、そして公安という巨大な組織まで動いていた。まるで糸を引いて獲物を待っていたかの様に、早過ぎる対応だった。


「まぁ、偶然にもテレポート持ちのイヴが居た事が救いだったよな。イヴ達しか転移出来ないとしても、お前も逃げられた訳だし」

「まさかテレポートのTがそのまま名前になってるなんて思わなかったよね。名前としてはトリシアだったけど」

「ああ、しかも能力を封じる手段が有った事も驚きだ。そもそも超能力が存在する事の方が驚きなんだけどな」

「でも、それも僕が壊したからね」

「俺的にはソコが一番びっくりだったよ。そもそもカエデ、お前の身体が光ってたのは何なんだよ、あと光ってた剣も」

「さぁ……?」


 本気で解らないのだから仕方が無い。一応僕に関しての資料はオルトさんが回収したし、残留データも消したって言ってたけど……。どれだけの欠片が残っているかも解らないし、油断は出来ないだろう。


「まぁいいけどよ……とりあえず、男の楓が帰って来ない事には何も始まらないだろうし」

「……そうだね」


 彼にはまだ聞きたい事が沢山有る。僕の記憶には多分に存在する欠落を埋める為に、そして彼が何をしようとしたのか、その真髄を。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「まさかこんな事になっているなんて、予想もつかなかったよ」

「そうですか? 私は一目見たときからこうなる事は予想出来ていましたよ」


 メディルこと俺、日比野翔は元後輩にして元戦友、そして現同僚のナユタこと野之原奈美が経営するメイド喫茶に顔を出していた。

 というのも、三日前の襲撃後に回収した大量の幼女をどうするのかという問題について、全権を主張したのがナユタだったのだ。こいつ、本気で銀髪幼女メイド喫茶を考えているらしい。


「トリシアはテレポートで物資を運ぶ役目、他にも超能力を生かして仕事が出来る人達はやってもらいます。それと、元調理師の方は厨房へ。接客業経験者はこっちに来て下さい、メニューを覚えてもらいます。それと事務仕事経験者は上の階で先輩が待っていますのでお願いします。近々別のお店をオープンする予定ですので、志願者は店長予定の御手洗さんの所で指導を受けて下さい」


 怒濤の勢いで役割を捲し立てるナユタだが、それに対応して動く銀髪幼女がわらわらと。俺のロリ魂が震える。まるで幼稚園てんごくじゃないか。


「メディルさんは、何人か戦闘用と諜報用に必要なんですよね?」

「ああ、オルトにも付ける予定だしな。それなりの能力を持った人間が好ましいんだが……いるのか? 中身は一般人だろ?」

「ですけど、元探偵とか居ましたし、問題ないんじゃないでしょうか」

「元探偵なんて居たのか……俺らにはぴったりだな」

「ええ、探偵なんてコソドロの様に情報を盗む外道の仕事だと思っていましたが、こんな可愛い娘がやるなら問題ないですね。むしろ盗まれる事を後衛に思って欲しいくらいです」

「いや、流石にそれは無い」


 ナユタよ、普段暴走しがちな俺をこっぴどく叩きのめすくせに、自分が暴走するのは問題なんだな。いや、当然だろうけどさ。


 それにしても、元探偵だけじゃなく元警察や、元ハッカー、元忍者なんてのも居たらしい。いや、なんだよ忍者って。忍者村で仕事でもしてたのかよ。


「まぁ、彼女らがどう生きるのかは彼女達次第だから何も言わないが、ちゃんと命令には従う様にしてくれよ」

「問題有りません、この三日で既に調教済みですから」

「ああ、さっきの無駄の無い動きはそのせいか……」


 元一般人のイヴ達よ、強く生きろ……。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 あれから三日。


 私がゼノヴィアに負けてから、三日も経っている。


 銀の髪に金の瞳だった私の特徴は、既に黒髪と茶色の瞳に変わっている。


 【供喰】も失っては居なかった。けれど、その力は大きく崩れてしまった。


 噛み付くだけで洗脳出来ていた力が、今や体液の取得が条件となってしまっている。


 それは、私が小児性愛者ヘンタイどもにレイプされた事で判明した。


 セックスをした相手、キスをした相手、私にぶっかけたクソ共。


 その全てが、私の支配下になった。


 この力は、もう供喰なんて力じゃない。既に【支配】という力に変わっている。


 さあ、クズ共。まずはこの国から手に入れよう。


 政治家の子供を攫ってこい。


 首相とセックスだ。


 あの大国の大統領も犯してしまえ。


 この世の全てが私の支配下になる。


 それでようやく、私は本当に自由になるんだ。










 だから、その銃を降ろせ。ソニア。


クリムゾン・ドロップスに欠員は無し。


暁な楓は政府に回収され、今後の扱いは不明。


幾人ものイヴ達はメイド喫茶の経営や、メディルさん達のお手伝い。


そして、黒髪となったイヴは………………。


自由を求めてソニアという少女に銃を向けられています。はたして死んだのか、それとも生きているのか。

その運命は作者の気分次第!!

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