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サトリの友達  作者: 李雨
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フラグ立つ

危機を回避したはずだった。


・・・おかしい。

なぜ俺は、こいつの彼氏になってるんだろう?


昨日、帰り際に、「私のこと、ミナって呼んでいいから」と「呼べ」という命令を受けた。

友達から一歩進むのは、ちょっと嬉しかった。

「うん、わかった」


翌朝、クラスで顔を合わせたとたん、「おはよう、悟」と声をかけられた。

そのくらいでうろたえる年じゃない。

「おはよう、ミナ」と返したら、周りが何気に生ぬるい空気を発生させた。

こんな空気は初めてで、何が起こっているのかわからない。

戸惑いながら、午前中を過ごし、お昼ご飯のパンを買いに行こうとしたら、捕まった。


「じゃあ、ユキ、私たちは屋上に行ってくる」


・・・私達って誰ですか・・・?


そのまま、腕を引っ張られて、屋上に連れていかれる。

「ちょっ・・・ミナ、俺、お昼ご飯買いにいかないと」

そういう俺に、簡単に「作ってきた」という返事。


「はい」と差し出されながら、説明を聞いた。

川本におめでとうは言ったものの、まだ顔を見ているのは辛いこと。

川本は、無事に彼女になったので、そのアピールも兼ねて、相田と一緒にお昼を食べたい、というか、一緒にいたいらしい。

川本が何気に気を使うので、俺と付き合うことになったと言ってしまった、らしい。


「は?」


さすがの俺も固まった。

「好きなこができるまででいい」

そう彼女は言う。

「お弁当を毎日作ってくるから、バイト感覚でっ」

・・・つまり、また偽の関係・・・

「お願いっ」目の前には、好きだと自覚している女の子が必死で頼んでて。

もうクラス中に、俺たちが付き合ってるってことが広まってて。

今さら違うといっても通じないだろうことと、それでも違うというには、目の前で必死にお願いしている彼女の名誉を叩き落とすことになるわけで・・・。

溜息をついて、了解した。


昨日折りまくったフラグは、今朝、なお強固になって建っていた、そういうことだ。

そして、弁当を開けて、また溜息をつく。


「見事な炭のレパートリー・・・」


そう言うと彼女が赤くなった。

「い・・一応、全部私の手作りよっ」

そりゃ、他の人が手伝って、それでも炭だったら、手伝ってもらう必要ないだろう。

「ま・・毎日作ってたら上達すると思うの」

「毎日、炭を食べ続けるのか」

つい、そう言って苛めてしまった。

なぜか、彼女は苛めたくなる。


「きゅうりに塩をふったものと、卵焼きと、焼き鮭」

そういうと、「へ?」と言う。

「毎日、それでいいから」

バイトなのだ。リクエストくらいいいだろう。

それに、言った中で一番難しいのが卵焼きだ。

炭になる可能性は低いと思うし、何より、初歩からの練習になるだろう。


「帰りも一緒、ね?」

下から見上げるために、どうしても上目遣いになる。

その顔がかわいいと思いながら、バイトなんだ、と思う。

また、100年以上前の恋愛と同じになろうとしている自分の恋がなんだかすごく面倒だった。

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