実力
「さて後はこいつを楽しく料理するか」
ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべたカインが三匹の最後の〝ラルゴル・ドラゴン〟に近づいていく。気丈にカインを睨んでいるのはドラゴンとしての意地なのかいなかそれは定かではない。
タコ殴りで片づけた四人は茫然としているアユムとツボミの元へ歩いてくる。ドレンとフィフィの盾とナイフもモンスターが消えると共に持ち主の手に戻る設定だ。
「どうでしたかお二人共。私達の戦いは?」
「凄かったです! 皆さんの力にも圧倒されましたが何より隙のないあの連携は驚嘆しました‼」
両の手を握り締めて興奮したアユムが褒めちぎる。
「褒めろ褒めろ~」
カインが胸を張って調子づいている。
「アユムさんあまりカインを褒めないでください。調子に乗りますので」
「ドレンさん‼」
「は、はい!?」
いつものアユムにはない迫力に驚いたドレンは少し声を上擦りながら返事する。
「僕に先程の連撃を教えて貰えないでしょうか‼」
ドラゴンのHPを全損させたドレンの連撃。アユムはその威力、手数の多さ、そんな物には興味なくその技の美しさに心底惚れていた。
「あれはたぶんアユム君には合わないと思いますよ」
「出来ないではなく合わないですか?」
高度過ぎて出来ないというなら分かり易いだろうが合わないとはどういう事かアユムは分からなかった。
「アユム君の獲物は刀ですよね。強度も切れ味も高い分重い。ですが私が使う三日月刀は軽さと鋭さを手に入れる為に強度に難があるのです。私のあの連撃は武器が最も負荷なく敵を斬れるように放っているので一撃一撃では威力が低い。そのために連続して攻撃しているに過ぎません。攻撃力が高い刀を使っているアユム君に威力の低さをカバーするための技など意味をなさないと思うのです。アユム君が目指す技としてはカインみたいなパワーファイターの技を覚えるべきでは?」
「…………」
ドレンの言葉をしっかり頭の中で噛み砕き理解し、そこからドレンに教えを請う理由をちゃんと(・・・・)説明するための方法を導きだす。
「そうですよね。僕のスタイルを見せてないのに技を教えてくれっというのも不躾ですよね。ツボミさんお願いしてもいいですか?」
その言葉だけで意思の疎通を完了したツボミは腰に佩いている直剣を抜き放ち、頷いた。
「今から僕の戦い方をお見せします。それを見られてから教えるか教えないか決めて貰ってもいいですか?」
「それは構いませんが?」
「ありがとうございます。アンさん魔法の発動が終わったら一匹呼んでもらっても?」
「了解」
矢筒から一本矢を引き抜き息を吐きながら番える。
ふぅ~肩から無駄な力を抜き、装備から刃無き刀と愛刀を構え始める。
「行きます」
旋律は鐘のように単調ながらも飽きさせず人々に笑顔が自然と浮かぶような明るい曲、ずっとソロで活動してきたアユムだ。こんな風に仲間に見守られながら奏でるのも初めてだろう。嬉しい気持ちが溢れるのも仕方ない。
読んでくださった方ありがとうございます。




