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MUSIQUE OF MAGIE ONLINE  作者: 皇 欠
第一章~風の少年と水の少女~
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領土戦

今回から2章突入です。

第二章~戦場を駆ける風~


 ダンジョンから帰ってマスターの仕切りで宴会を開いて盛り上がり二人が更に幾つものダンジョンを攻略し、自らを高めつつもいくつものお宝をゲットしたころいつもの店でのんびりしてる所にマスターが会話に参加してきた。


「そういえば二人は今度の領土戦には参加するのかい?」

「もう前回の領土戦から一月経ちましたか」

「領土戦か……先月は負けたのよね」


 こんな世界になっても国はそこに生活する国民の為に色々と手は打っている。ただ政権を握ってるのは選挙など生ぬるい方法で選ばれたおじさんおばさんではなく、上位ランカーから名乗りを上げた者が政治を取り仕切っている。現在国のリーダーと言われるのはランカー二位に名を連ねる〝驟雨(しゅうう)の槍〟の二つ名を持つ槍使いフィリアンという女性だ。その細身から繰り出される剛槍の連続突きは目に見えない程のスピードで繰り出され立ちはだかる敵を突き砕くと言われている。

 領土戦とは国同士が行う戦争の事であり、領土戦に勝った国は自国の領土を新たに広げることができ、それに伴い国を運営する金が増額される。プレイヤーにも恩恵があり勝っても負けても戦果を上げた者にはそれ相応の褒美が与えられるため参加するプレイヤーの数は少なくない。また国も参加するプレイヤーすなわち戦力となるため参加するだけで報酬としてお金がもらえるようになっている。


「ええ。先月はフィリアン嬢が戦場に立たれませんでしたしね。彼女に付いている護衛の高プレイヤーも出なかったのでそれが敗因の一つだと思われます」

「私もフィリアンが戦う姿を見たこと……いや感じた事があるんだけど。正しく一騎当千って呼ぶに相応しい強さだったよ」

「やはりランカーは強いですよね」

「それで二人は出るのかい?」

「そう言うマスターはどうするんです?」

「私も今回は久々に出てみようかと思っているのだよ。店の経営があるからダンジョン攻略とかは出来ないが、領土戦だったらそこまで時間を取られる事はないからね」


 マスターは今でこそ裏通りの喫茶店なんて経営しているが昔はランカーとして名を馳せたプレイヤーだ。ただ昔からの夢だった喫茶店を開店してからは前線からは退いた。だがまだ彼を頼ってくるプレイヤーも多く、また昔取った杵柄と言う事で情報が集まってくる為喫茶店兼情報屋をしている。ただこの事を知ってるのはアユムを含めてほんの一握りのプレイヤーしか知らない。


「マスターが前線に出るとは珍しいですね」

「いや、体は適度に動かしとかないといざって時に困るだろう?」

「そうですね」

「マスターって強いの?」


 至極当然の疑問を口にしたツボミ。


「そこそこに強いと自負しておりますよ」


 マスターはフフフと笑いながら言い追加情報を口にした。


「それに今回はフィリアン嬢も参加するみたいだから前みたいに負ける事もないでしょう」

「マスターが参加されるなら僕達もどうですか?」


 ツボミに問いかけるアユム。それに頷いて答えるツボミ。


「そうね。ダンジョン攻略も結構こなしてきたし、領土戦に参加するのもいいかもね」


 ツボミもマスターの淹れたコーヒーを口にしながら答えた。


「決まりですね。それでマスター今回の敵はどこです?」

「お隣のアメリカだそうだよ。向こうも前回中国に負けてるからね。必死こいてメンバーを揃えてくるんじゃないかな」


 国は連敗する事を最も恐れる。領土が手に入らない事もあるが国民の不評を買い信用を失う事になるからだ。そのため一度負けた国はその次の領土戦に全ての力を注いでくる。


「アユムは領土戦の時、どこのポジションで戦ってたの?」


 領土戦は互いの拠点を奪い合う陣取り合戦みたいなものだ。拠点を積極的に取りに行く〝スペード〟、拠点に何人か配置され防衛する〝ダイヤ〟、遊撃として攻撃も防御も行う〝クラブ〟、回復や補助を専門にこなす〝ハート〟と四つの役割に分かれている。プレイヤーがパニックを起こさないようにという配慮だ。臨機応変に動かないといけない場合もあるが大体はこの役割で動く事になっている。


「基本はスペードとして突っ込んでいましたね。数回ダイヤとクラブもしましたが、ダイヤだと乱戦に巻き込まれてうまく回避できずに戦死、クラブでもほとんどスペードと同じ事してました」


「なら今回もスペードで行く? アユムがそうするなら私もスペードで行くけど?」

「付き合ってもらっても構いませんか?」

「任せといて。ハートは私が付かないといけないかもだけど、援護なんてあまり向いてないんだよね」


 苦笑いを浮かべながら頬を掻くツボミ。

「それじゃ鍛錬しようかアユム。マスターいつものように地下室貸してくれる?」

「もちろん。それにしても二人とも飽きないね~」

「マスターだって今でも店を閉めてから稽古してるんでしょ」

「さぁどうだろうね」


 そらとぼけたマスターを尻目に二人は地下に続く階段を下りていく。

二人は最初のダンジョンをクリアした後、アユムがツボミに言いだしたのがこの鍛錬の最初だった。





読んでくださった方ありがとうございます。

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