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冬空


 芽が、光ってた。




『冬芽』



ハラハラと舞う粉雪。


触れては溶けて、自分と雪の体温の違いが、よく分かる。


息を吐く度、フワッ、と白い靄が広がった。


空気は相変わらず冷めざめしていて、身震いする。


抱き締める温もりは腕の中になく、手を伸ばしても、届かない距離。


見上げれば曇り空。ただ無情に雪が降り、額を、頬を、瞼を、僕の全てを冷やしていく。


しばらくそれに浸っていたが、クシャミひとつで現実へと戻された。


ドラマの1シーンになっていただろう構図が、いとも簡単に崩れる。


(せっかく絵になっていたのに…。って僕自己陶酔者?恥ずっ)


話しかける人も居ないから、一人ノリツッコミ。


…哀れかもしれない。


ハァー、と盛大なため息をつくと、比例したかの様にあらわれる白い靄。



君と離れてから、まだ二ヶ月程度。


最後に言った、『サヨナラ』の言葉は、君に届いた?


なんであんな伝え方したのか、自分でも分からない。あんな、ごまかす様な…。


(未練なのかな?)


はっきり別れれば良かった?それとも、待ってて、とでも言えば良かったの?


今でも僕は、考える。


お互いが幸せになるには、何が一番最善だったのだろう。


あれから君の声を聞いてない。

姿も見てない。触れてもない。


でも、僕の中に君の存在は確かにあって。

それが、とてつもなく切ないんだ。



じわり

僕についていた雪が、溶ける。少しずつ、降る雪の量が減っていく。


わずかに雲の隙間から、陽の光がさした。


(…綺麗)


男は現実主義者、なんて言われるけど、それは逆だと思う。本当は、ずっとロマンチストだ。


だって僕は、運命なんか信じてるから。


君は、今どうしてる?突き放した僕を、まだ想ってくれてる?


それとも、もう僕の事は、過去になっている?


肯定とも、否定とも取れる別れをして、君はどっちを選んだんだろう。



はらり、はらり


もう最後とでもいう様な、儚い降り方。

舞う純白は、僕の肌を優しく撫でる。


太陽はほとんど顔を出して、積もった雪は、それに反射してキラキラと光っていた。


ふと、足もとを見ると、白銀の中に小さな緑を見つけた。


なんとなく気になって、近付いてみると、それはまだ幼い芽だった。


(…寒くないのかな)


そんなロマンチックな事を思う。

雪に埋もれた芽。一体どんな花を咲かすのだろう。



僕等が今も想い合ってるなんて、それは僕の


エゴ

我儘

希望

願い


それでも信じる僕は、愚か?


家に帰ったら、真っ先に電話するよ。


気恥ずかしいけど、手紙も書きたい。


そして、春になったら、君に会いに行こう。



愚かな僕の、淡い期待。


叶わなかったら、後悔と一緒に涙を流そう。


でも、もし、期待通りになったら、そのときは君を、痛いくらい抱き締める。



雪が溶けたら、それは春の訪れの合図。




 とける雪

 キラリと光った

 緑の芽

 遠くの君が

 恋しくなった



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