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彼女はただの友達なんだ  作者: ノーネアユミ


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1/3

1 ただの友達とおっしゃいますが

 キャラ名は考えるのが面倒くさかったので、別作のを使いまわししました。


 わたくしはポピー・ヘプバン。公爵家の長女でこの国の王太子の婚約者。


 最近、わたくしが通う魔法学園で、婚約者であるカーク殿下の様子がおかしく感じます。

 平民出身の子爵令嬢と妙に仲がよろしいとか。



「わたくし以外の女性と親しくなりすぎないで欲しいわ」


 軽くすねてみたけれど、殿下には伝わらなかったようね。



「彼女はただの友達なんだよ」


 だから友達と一緒に遊んだり勉強したりするのは普通のことなんですって。




 わたくしに内緒のままお忍びで町を散策しているのを、知らないとでも?

 公爵家の手を使ったら情報なんて筒抜けですのよ。


 あなたが令嬢と親し気にあいさつをするのも、同じ食べ物を分け合ったことも、全力でハグしたことも。


 そしてそんなカーク様をいさめもせず、側近たちまで彼女と(たわむ)れていることも。



 全部知っていますのよ。



 彼らの親密なつき合いはエスカレートし、今では学園内で噂になるほど。



「ポピー様、このままではいけませんわ。あの子爵令嬢に、はっきり忠告なさった方がよろしくてよ」


 お茶をしながら話しかけてきたのは宰相候補セゾン令息の婚約者。

 殿下の取り巻全員が同じ女性とねんごろでは、それぞれの婚約者が不満を持つのも当然よ。


「そうね」


 このまま放置しては悪い結果しかもたらしません。

 わたくしは学園のサロンに、(くだん)の令嬢を呼び出すことにいたしました。





「席におかけになって」


 ウェイオー子爵家のアイラ様は、とても緊張しているようです。


「ご忠告差し上げますわ。ただちにカーク様や高位貴族の殿方と距離を置きなさい」


「も、申しわけありません」


 わたくしの小言にも素直に謝罪しています。



 この方、考えがたりないだけで悪い方ではないようね。

 自分の置かれている状況を理解していないだけなのでしょう。



 ガタン、とサロンの扉が開きました。


「ポピー・ヘプバン嬢、何をやっている」


 あらサロンに殿下たちが割って入ってきますわ。

 ドカドカと音を立てていますわよ。無作法な。


 まあ、ここではっきりさせた方がよろしいかしら。



「ポピー、アイラ嬢はただの友達なんだ。変な勘ぐりはよしてくれ」

「分かっていますわ。しかし、異性へのみだりな接触は目に余りますことよ」


 殿下たちの目が泳ぎます。

 心当たりがあるからですわね? どっさりと。



「だがそれは友人としての行動で‥ 浮気とかではないんだよ、信じてくれ」

「そうですよ、ヘプバン嬢。僕たちにとってアイラは男友達と同じなんだ」

「殿下の行動にやましい所はございません」


 彼らは口々に反論します。

 でも、



「はあ‥ やはりあなたたちは分かっていなかったのですね」



 問題は浮気の疑惑ではありませんの。



「そもそも、その友人扱いが問題なのです!」


 わたくしが怒っているのは別の部分ですわ。




「ご存じですか? アイラさんは女性なんですよ」


 わたくしはため息をついてアイラ嬢へ向きを戻します。




「ウェイオー嬢はお気づきでしょうか。殿下たちがあなたのことを、こっぽっちも『女性』として扱っていないことを!」



「へ?」



 アイラ嬢は知らなかったみたいですわ。



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 アイラはどっちの作品でも友達どまり‥

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