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Ⅸ.夜空
眠れぬ夜に
ベランダに出る
空は鈍色の雲
夜は濁った海
そこから見える街の明かりは
夜にきらめき沈みゆく
それを見ているだけで
私も沈むよう
誰もいないこの静かが
空気になっていって
私というものを柔らかくほぐしてくれる
ぼんやりとした意識で息を吐いてみる
ベランダの手すりは冷たくて
それ以外何もわからない
部屋の明かりは灯るまま
虚無が生まれてくる
この空のどこかには
私のような誰かいるのだろうか
ふとそう思う夜
どこかにうれしみを持って