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Ⅳ.中庭
傘から滴るそのしずく
落ちるたびに
自然の拍子が
辺りを静かで賑やかにする
私は傘の下
濡れない場所で
周りを眺める
目の前には
潤う芝生と少し曲った古いベンチ
雨粒が音を立てて姿を消す
それによく似た私の感情
近くで誰かが傘をたたむ
名前も知らない誰かが
なんだかいいと感じられた
ポケットのスマホは
通知を鳴らす
スマホの振動は
雨とともにどこかへ流れる
まだ止まない空
私もまだここにいることにした
何も発さずに
ただ傘の下で立ち尽くす