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Ⅰ.目覚め
雨音で目を覚ます
カーテンと雨雲越しの光は
ガラスの瓶の水のように
ゆらゆらとまだ夢と現実の境
人形の布団は
形を変えるまで
時間が少しばかりかかる
天井は薄暗くそれでいて曇っていて
どこか遠い水底のよう
世界は静かで
湿り気を持ってる
いつもの服に腕を通す
水中で服を着ているような感覚
ゆっくりと
いつもの自分に戻していく
でも 本当はまだ
昨日の終わりの中にいるような気がして
洗面台の鏡に映るその映る顔も
すこしぼやけて見えたのです