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【完結】拗らせ陰キャの異世界自己防衛ライフ 〜イケメンに転生してもガチ陰キャ〜  作者: 玉盛 特温
第3章 学園2年編

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第88話 暇つぶしの王都探検的な? 2




 服屋を出て、俺はあたりを見回す。


 まあ、異世界にしてはいろんな店があるよなあ。八百屋とか、飲食店、この服屋とか。


「チー君?何見てるの?」


「え、あ、いや、別に」


「ふ~ん?」


 ただ街中を見てるだけなのだが。へえ、カジノっぽい施設もあるんだなあ。ギャンブルはどの世界でもあるんだなあ。


 カジノ店の隣には、なにやら装飾やらで目立つ店がある。ほう、あれは……。


「ち、チー君見ちゃダメ!」


「うお」


 急にユリアが俺の目を両手で隠してきた。なんなんだこいつは。俺は慌てているユリアに問いかける。


「え、なんですか?何を見ちゃダメって」


「あ、ああいうお店は見ちゃダメ!」


 ……あ、なるほど。カジノ店の隣の風俗店か。“えっちなのはメ!”的なノリか?別にいいじゃん。モテない男の唯一の救いの場だぞ。てか、どこの世界も性を商品にするんだな。


「別に見るくらいよくないっすか? いろんな店が視界に入るだけだし。なんでダメなんすか」


「え、いや、ダメじゃないんだけど……なんで、だろう。チー君がああいうの見るの、嫌っていうか……な、なんでもない!」


 ……なんなんだ?可愛いけどマジでめんどいな。




 ------




 その後も色々と見ていたのだが、ちょっと見たことのある道まで来ていた。ここら辺って、確かリングを買った魔道具店があったよな。


 そういえば、あの魔道具店の怖そうな店主、「俺の店を紹介してくれよ?」とか言ってたし、ちょうどいいから、ユリアを連れてってみるか。


「ユリア、ちょっといいすか」


「ん?どうしたの?」


「ユリアに紹介したい店があるんすけど」


「え?なになに?気になるな~」


 しばらく俺が先頭で歩く。道は何となく覚えているからな。一回行った店とかは、何となくの記憶を頼りにすぐ覚えられる。ということで迷わずに着いた。


「ここです」


「……魔道具店?」


 ユリアは意外そうに店に入っていく。中は以前来たときと、ほとんど変わっていなかった。客もいまだに少ない……というかいない。よく潰れないな。店主が俺たちを見て、にやりと挨拶をする。


「いらっしゃい。おお、お前か。彼女いたんだな」


「違います」


 俺は速攻否定する。ぐ、やっぱ二人でいるから勘違いされやすいな。ユリアも、いつも通り否定してくれよ。ていうか、街中でクラスメイトとでもすれ違ってたらどうしよう!夏休み明けに俺とユリアが一緒に歩いてるなんて噂が広まったら……それはまずい!目立ちたくない!


 恥ずかしさで顔が赤くなってきたと思ったら、その後のことを考えて一気に血の気も引いていく。


「……お、おい、どうした、お前。めっちゃ顔青白いが」


「……あ、いえ、なんでもないです。えと、約束通り、その、知り合い連れてきました」


 俺はすぐに正気を戻して店主と話す。


「切替速いな……にしても、嬉しいね。お前の事ちょっと信用無かったが、ほんとにひいきにしてくれるとはな。リングもお前に預けた甲斐があるってもんよ」


 店主は嬉しそうに笑っている。まあ、普段ちょっと怖いけど、悪い奴じゃないしな。あと、ついでだよついで。ちょうど魔法師がいるから連れて来ただけ。厳密に言えば治癒師だが……。


 ユリアはぐるぐると魔道具を見て回っていたが、感心してつぶやく。


「す、すごいね。このお店の商品、全部質が良い。チー君すごいお店見つけたんだね」


「人通りの少ない場所へと進んでいったら、たまたま見つけただけです」


「あ、あはは、そうなんだあ……チー君らしいや」


 ユリアが苦笑しながら、一つの杖に目を付けた。


「じゃあ、この杖ください」


「おうよ。10万ウェンだ……お前の知り合いはみんな金持ってるんだな」


 学生なのに、そんな大金を平然と出すユリアにちょっと引いている店主。まあ、元王族だし、帰省中もメイドからけっこうもらってたっぽいから。あ、護衛代メイドから強奪するの忘れてた。


 ちなみにユリアが買ったのは、迷宮の中層で取れると言われる純マリョクコウ100%で作られた質の良い杖だった。マリョクコウは、ミスリルに次ぐ魔素伝導率を誇る。


 ユリアはちゃんとそういうのも判断して買ったようだ。魔法の才のあるユリアにはちょうどいいだろうな。


「じゃあ、また頼むよ」


「ありがとうございました。じゃあ行こ?チー君」


 ユリアに手を引かれたそのとき、店主が“待った”をかける。


「待った、お嬢ちゃん、ちょっとそいつ借りていいか?」


「え?はい、じゃあ先に外で待ってるね」


 そう言ってユリアは店の外に出る。……めちゃくちゃ怖いんだけど……。何言われるん?俺なんかした?俺は冷や汗をかいて、どんどん鼓動が速くなる。


「おい待て待て、なんでそんなにビビってるんだ、ちょっと一言いいたいだけなのに」


 店主が俺の様子を見て心配そうになだめてくる。なんの話だ?


「えっと、なんでしょうか」


「ずいぶんと珍しい客を連れて来たなと……」


「え?どういうことです?」


「治癒師だろ」


「え、なんでわかって……」


「それに俺は魔道具店のプロだぞ?金髪と碧眼を魔道具で変えてることくらい何となくわかる。ずいぶん珍しい魔道具を持ってたんだな」


 なるほどな。それでユリアが治癒師だとバレたのか。う~む、これだといつユリアが王族だと学園でもバレて、神声教団に襲われるか分からんな。面倒なことになりそうだ。


 店主はカウンターのものを整理しながら、また俺に話しかけてくる。


「ああ、それと、あの嬢ちゃんの事、大事にするんだぞ」


「……え、あ、なんで?」


「なんでって……その顔、まさかお前、あの嬢ちゃんの好意に……はあ。まあいいや、とりあえず頑張れよ」


「あ、はい」


「……」


「……あ、終わりですか?」


「ああ。それだけだ。引き留めて悪かったな。……はあ」


 店主は手をひょいと振りながら店の奥へと姿を消した。何だったんだ……?




 ------




 その後、ユリアと一緒に、斜め後ろをキープしながら寮へと帰っていった。ユリアは俺に振り返る。


「今日はありがと。チー君の紹介してくれたお店で買ったこの杖、大事にするね!」


「え、あ、はい」


 まあ、高い金出したんだし大事にしないともったいないわ。


「この杖に、名前つけてあげようかな〜」


 なんでやねん。杖は杖やろがい。まあ、ユリアはいつも以上に楽しそうだしええわ。俺もまあ、暇も潰せたし、ちょっとは楽しかったかもな。





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