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拗らせ陰キャの異世界自己防衛ライフ 〜イケメンに転生してもガチ陰キャ〜  作者: 玉盛 特温
第3章 学園2年編

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第78話 図書館での陰キャの駆け引き




 1年後半から2年になった今も図書館に通っているわけだが、最近、どうやら図書委員に新人が入ったようだ。


 何で気づいたかって、受付がいつもの人と違うからだ。新1年生だろうな。ずいぶん小柄で大人しく、まさに“文系女子”って感じのセミロング黒髪少女。肩は常に緊張しているのか上がっていて、視線が常におぼつかない。


 その受付の子は誰かに声をかけられると、俺のようにおどおどとしているところが見られる。これは、なんというか、ユリアとは違う可愛さと癒しを感じる。


 おどおどしてる男は男らしくないだの批判的意見が多いくせに、おどおどしてる女は可愛いという理不尽。ああクソ腹立つわ~。


 でも、小動物系のおどおどとした感じ、なんか、良いよね。守ってあげたくなる的な。まあ、話しかけるなんて絶対にないけどな。最悪、話しかけたら不審者扱いされるだろうし。いや、イケメンだから言うほど問題ないか?


 ああいう小動物系女子って、怯えリアクションが無駄に大きくて、男がいじめてるように見えやすいんだよな。下手に関わらないほうが良いんだよな。


 俺は本を借りたりするのはめんどいし、人と話したくないので、借りて持って帰らずに、図書館の中で読んでいる。試したい魔法だけメモして、寮でこっそり練習している。そして借りずに戻して帰る。これぞ陰キャ。知らんけど。


 だから俺が受付に行くことはまず無い。何より人と関わりたくない精神は未だに変わらない。でもさ、結局、部屋でダラダラ読めるのが、一番楽なんだよな……。でも人が嫌い。


 で、最近、本を読んでいると、なぜかあの図書委員がちらちらと俺のほうを見てくるようになった。めっちゃくちゃ腹立つ。言いたいことあんなら言えや、見られるの恥ずかしいんだよボケ。


 何よりめっちゃ気になる、俺なんか変な本読んでる?変な顔してる?よくわからない。よくわからんけど、視野は鍛えてるからな。あの文系少女は気づかれてないと思ってるっぽいけど、ばっちり見えてる。


 なんか、気が散る。冤罪だけは勘弁してくれよ……マジで。




 ---




 数十分、しばらく泳がせてみたが、ダメだ。相変わらずチラチラ見てくる。


 視線に敏感な俺はそろそろイライラしてきた。真面目に気になってしょうがないので、次の日、あえて本を借りて、俺は受付に行くことにした。


 そりゃ、普通にこっち見んなって言えれば楽さ。特に何か用があるわけでもないのに、「じろじろ視線気になるんですけど」なんて言ったら、俺の事を、自意識過剰の変な人だと思われるだろう。


 なので、本を借りるついでにそれを言えば、怪しまれることはない……よな?いや、どっちにしてもきもいか。まあ聞くこと自体ハードル高すぎるが。


 いや、俺も我慢したよ。1ヶ月くらいは。あの子も徐々に、俺に話しかけてみたいオーラも醸し出すし。あれは、人見知りの陰キャだな。俺たちと同類だ。ネクラ以外にも陰キャがいたとは。


 なんで一か月も我慢したかって?べ、別に話しかけるのが怖いとか、めんどいとか、そういうのじゃないんだからね!?


 ということで、あの魔法教本を持って俺は受付に行く。まあでも、借りることで、1週間はこの本を部屋でゴロゴロしながら読めるのは最高だ。


 俺は魔法教本を手に取って、一歩ずつ慎重に歩いて行って、ついに受付に着いた。緊張する……。せめて変態扱いはされないように、目を合わせずに俺はそっとその本を受付に出す。


「ひうっ!?」


 文系少女は明らかにビビっている。そのビビる文系少女に俺はビビって一瞬肩を震わせる。いや……そこまでビビらなくてもよくない?(※お前が言うな)


 フリーズしていた少女は数秒後に、やっと動きだして、おどおどしながら本を受け取る。その本に貸出票っぽいしおりを挟んで、記録し始める。一応仕事はちゃんとしてるな。


 にしても、この世界にレジでピッするようなものはない、原始的だよな。


 本題はここからだ。最近じろじろ見てくる件、ちゃんと弁明してもらおうか。あいつ根暗のくせに生意気だな、とか、あんな本読んでんのキッショ、とか、イケメン爆ぜろとか、どう思われているのかが分からない。


 俺は声をかけようとした瞬間、同時にその子も声をかけてきたようで、声がかぶる。


「あのっ」「あの……」


 おう……こんなシチュエーション、アニメでしか見たことねーぞ?俺もその子もびっくりしてフリーズ。……こうなると、どっちから切り出せばいいか分からん。


 陰キャ同士ってほんとめんどいな……(※お前が言うな)。うーん、始まらなさそうだし、先輩として俺から切り出すか。


「えっと、お先にどうぞ……」


 俺は切り出すだけで、俺から要件を言うとは言ってない。すると、少女はおどおどしながらも、話し始める。


「え? は、はい……。えっと……その本……お好きなんですか?」


 本?少女は俺の渡した魔法教本を恐る恐る指を指して伝える。この本を読んでいるのを気になっていたのか?この子は。


「え?あ、好きというか、わかりやすいもので」


 俺は答えると、少女は「え?」と声を漏らし、指先をもじもじさせ始める。


「そ、そうなんですか。えへへ……あ、その……ごめんなさい。……来週までに返却をお願いします」


「あ、はい」


 少女は急に真面目に受付モードに戻る。てか、案外この子は普通にしゃべれるっぽいな。俺の方がまともにしゃべれてなくね……?


 にしても、あの「えへへ」は何だったんだろうか。まあ可愛いからいいけど。俺はふと、その子の名札を見る。”シオリー”?……なんか聞いたことあるな。


 ……考え込んだ末、俺は今気づいた。この珍しい名前の正体。この魔法教本の著者だったことに。




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