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拗らせ陰キャの異世界自己防衛ライフ 〜イケメンに転生してもガチ陰キャ〜  作者: 玉盛 特温
第2章 学園1年編

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第57話 初めてのおサボり

 仮病を使っても、魔素が見えるユリアには通じない。つまり、ユリアに嘘はつけない。でも、どうにかしてこの学園祭とかいうリア充イベントを回避しなければ。


「ネクラ」


「はい、なんすか師匠」


「サボろう」


「え、は、はい?」


「ネクラも嫌ですよね?このイベント」


「……な、仲間がいた……さすが師匠っす……はい、俺もサボるっス」


 よし。共犯者ができた。それに、暗殺技術のあるネクラはこういう逃げ隠れするのにちょうどいいんだよ。あと、ユリアの部屋をすり抜けたあの能力は便利そうだから、それも教えてほしい。


「ネクラの壁をすり抜ける技術、俺にもできるんすか?」


「あれっすか、ヒキコーモリ家に代々伝わる秘術っすから。他人には使えないんすよね、残念ながら」


 何だその選ばれたものしか使えないチート能力みたいなのは。でも使えないんじゃなあ。


「マジですか……なんかいい方法ないっすかね」


「そうっすねえ……もう普通に明日から不登校になればいいんじゃないすか?」


「それが良いんすけど、ユリアに絶対無理やり行かされる……」


「大変っすねえ、師匠も」


 大変だよ、クソ真面目な人がいるせいで。まあ、ユリアのおかげで今何事もなく生きていけてるんだから、あんまり悪く言うのもあれなんだが。


「じゃあもう、昼休み終わっても、学園終わるまで屋上に居座りますか」


「いっすねえ。楽しみっすねえ、サボるのも青春っすねえ」


 サボるのも青春、ネクラもいい事言うじゃん。そうだよ、サボるのも青春だ。ネクラという陰キャ仲間ができて良かった。


 ちなみに、ブサにも声をかけたが、「サボるとか怖すぎて……ていうか俺成績も悪いし……」と断られた。


「でもサボりたいんでしょ?」と追い打ちをかけると「当たり前じゃん!?誰がこんなリア充が蔓延りそうなイベント出たいと思うんだ!?どうせ俺はリア充共のためにパシリに使われるんだよ……弱そうだし、実際舐められるしな!」と逆ギレされた。どこまでも俺と似ているなあ。




 ------




 とりあえず、午前の決め事は終わり、昼休みにいつも通り飯をみんなで食う。そして食い終わると、レッドが立ち上がった。


「よし、じゃあ戻るか」


「うん。行こ?チー君」


 ここからが本番だ。


「あ、その、ネクラと話あるので、先に教室戻っててください。えっと、後から行くんで」


「分かったよ。じゃあ、先に戻ろっか、レッド君」


「おう。じゃあチー、ネクラ、また明日な」


 そしてユリアとレッドは屋上の扉を開けて校内に戻っていく。そしてバタンと扉が閉まる……ヨシ!俺は速攻扉の鍵に土魔法で土を詰めて、扉が開かないよう細工を施した。


 ミッション、コンプリート。


「よっしゃ!」


「やりましたね!師匠!」


 ユリアも何も疑いなく信じてくれたな。そもそも、俺は常時どもって挙動不審なので、嘘つくときに目を逸らしたりどもっても、嘘とバレにくいのもある。最強じゃん。


 こういう時だけ妙にテンション上がる陰キャ二人。でもすぐにテンションが下がる二人。


「……」


「……」


 ……特に話すことがないからである。あ、そうだ。


「ね、ネクラ」


「はい、師匠」


「前言ってた、魔法、えっと、教えましょうか?」


「まじすか?お願いします」


 これで何とか学園終了までの時間を暇にならずに過ごせるというわけだ。まあ後はユリアが俺を必死に見つけたりしてくるのを阻止するだけ。


 別に学園祭は成績に入らんからな。教師も特に荒捜しすることは無いだろうさ。この勝負、俺の勝ちだ……。いや別になんも勝負もしてないけど。




 ------




 俺はとりあえずしばらく魔法を教えたりして時間を潰した後、放課後にネクラと一緒に屋上から、寮へと戻る。


 俺の部屋を開けると、そこには、俺の部屋なのに、すでにユリアがソファに座って頬を膨らませて待っていた。俺のプライバシーは?まあいいや、エロ本も何も隠してねえし。


「……」


 俺は部屋に誰もいないかのようにユリアをスルーし、無言でベッドに潜る。


「チー君!!!無視しないでよ!なんでサボったの!?」


「え、いや、ネクラと大切な話を……」


「大切な話ってなにさ。何時間もかかるくらい大事なの?」


「はい。これからのことについて。ネクラの事情もあるので、詳しくは言えません」


 ネクラにも家庭の事情が……とか言っとけばなんかそれっぽくなるだろ。俺は笑いを堪えながら、真剣な目でユリアを見る。が、すぐに目を逸らす。顔なんて見れるわけない。


「わ、分かったよ……そんなに大事なら。しょうがないよね。ご飯作ってくるね」


「あ、はい」


 チョロすぎるぞ。これは学祭期間中ずっとサボれるかもしれん。ユリアはキッチンでカチャカチャと料理道具を準備していると、急に俺の方を振り向いた。笑顔だけど、目は笑っていなかった。


「今年はもうチー君とネクラ君抜きで学祭進めることになったから。残念だったね、チー君」


「なっ……!?」


 ま、マジか……そんなことって……最高じゃん!俺とネクラでサボり許容されたみたいなもんじゃねえか!成績には響かないし、これは、勝ち確!!!俺は小さくガッツポーズを決めた。


「いやなんで嬉しそうなの!?……もう。そんなに出たくない理由があるんだろうから、適当な理由付けてあげたけど。来年は絶対出てよ?」


 ユリアは天使だった。俺とネクラのために……。来年?そんなの気分だ。多分サボる。リア充イベントはいるだけで吐き気が出る。楽しいと思ったことがない。ゲームしてた方がマシだったからな。


 明日からが楽しみだ。


 準備が1週間、学祭が4日間あるから、約10日間はサボれるってわけだ!まあ、学祭中のレッドの剣技大会くらいは見に行ってやるよ。その間に、魔法とか色々上達させよう。単純に楽しい。風魔法を駆使して空も飛んでみたいな。


 今日は久しぶりに、ぐっすり眠れそうだ。




 ---




 その日の夜。


 ベッドに潜りながら、考え事をしていた。村にいた時に作った、杖を剣に埋め込んだ魔法剣のことだ。


 よく考えれば、魔法剣ってのは、相手に向けながら発射するわけで、その間は剣を振れなくなるのだ。まあ当たり前なんだが、剣を杖代わりにしているのだから当然だろう。


 俺は最近ユリアからもらった手袋を見る。素手で魔法打てたらいいよな。別に特大魔法を撃てなくていいから、戦いで器用に扱えれば、きっと役に立つ。


 相手の足止め程度の魔法を打てるだけでいいから、剣を振りながら魔法を撃てるなにか。片手に杖を持ちながら、ってのもやはり見栄え的にも使いやすさ的にも厳しい。じーっと、ユリアがくれた手袋見つめていた。


 ……そうか。良いこと思いついた。俺は以前、道端で拾ったマリョクセキの欠片を見る。これをはめ込んだ手袋を作ればいいんじゃねえか?


 あ、さすがにユリアの手袋を改造はしないぞ?そこまでクズではない。これはユリアの愛情が込められている……なんてな。寒さ用だ。


 なにか、皮素材で作った、剣も握りやすい設計の、指出し型の、薄い手袋、って言えばいいのか?そういうの、どこかに売ってるんじゃないか?


 魔素を通すものなら何でも埋め込めば魔素通して魔法発動できるんじゃね?明日の休みにウインドウショッピングとやらに行ってみるか。


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