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拗らせ陰キャの異世界自己防衛ライフ 〜イケメンに転生してもガチ陰キャ〜  作者: 玉盛 特温
第2章 学園1年編

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第56話 地獄のイベントが始まるので逃げたい




 始業式を終え、一旦寮に戻る。夏休みだったとは言え、少しずつ肌寒くなってきた頃合いだ。嫌だった蒸し暑さも和らいできて、ほんの少し涼しい風が体を包み込むようで心地が良い。


 これ位が快適で良い。俺は冬が一番嫌いでその次に夏、春と秋が一番好きだ。快適だからねえ……。


 暑いとイライラしない?汗は止まらん、動けば余計に暑い、集中力が途切れる。しかも、冬は着こめばいいが、夏は脱いでも全裸になったとしても暑い。ほんと夏は嫌いだ。冬は冬で嫌いだけど。春か秋くらいがちょうどいい。


 てなわけで夏も終わり、俺は部屋のベッドで手足を伸ばしてくつろいでいた。ユリアは俺の部屋で昼食の準備をしながら、俺に聞いてきた。


「そう言えば、チー君は剣技大会には出るの?」


「え?あ、その、なんですかそれ」


 剣技大会。まあ聞いたことはある。でも一応聞いておく。


「え、知らないの?毎年学園で開催される剣士の強さを決める大会だよ。実力を考慮して1年、2年、3年のグループで別れているっぽいし、チー君なら優勝できる――」


「嫌です」


「即答……え~、なんで?」


 冗談じゃない。俺はそんな全校生徒の前で戦いたくない。恥ずかしさが勝る。観客の視線で俺は手足がガタガタ震えて止まらなくなる。結論、無理。


 ていうか、優勝?まさか。俺より強い奴は大勢いるだろうよ。多分、ブルーも出るだろうな。次に戦っても、あいつに勝てる気がしない。


 どうせやるなら勝ち抜きたいし、でも初戦の方で敗退もメンタルに来る上恥ずかしい。


「目立ちたくない、ブルーに勝てる気がしない。以上です」


「う~ん、まあチー君らしいけど、つまんないの」


 わかってんじゃん。これが俺だ。もし強制されたらガキみたいに駄々こねてでも絶対拒否してやるところだった。いや恥ずかしいから駄々はこねないけど。


 あ、それと剣技大会ってことは、剣のみの戦いってことなんだろうか。


「ちなみに、魔法の使用はOKなんすか?」


「禁止だと思う。”剣技”大会だからね。まあ、チー君みたいに剣と魔法を同時にこなす人は稀だし。あくまで個人の剣技を競うものだからね」


 魔法はだめか。まあそうだよな。剣技大会なんだから、己の剣術のみで戦う、ってのが当たり前だろう。


「ちょっと残念。私の騎士様はすごいって見せつけられたのに」


「勘弁してください」


 待て待てユリアさん、試合出てほしいみたいにきらきらした視線を向けないでくれ。


 俺の気持ちにもなってみてくれ。俺は誰の視線も気にせず、陰で、静かに、普通に暮らしたいだけなんだ。前世ではできなかった、普通の人生を歩みたいだけなんだ。俺はユリアの期待の視線から逃げるようにすぐにベッドにもぐりこんだ。




 ---




 翌日の登校。


 朝の陽ざし、グループを作って歩く生徒たち。でもなぜか、久しぶりの登校風景なのに懐かしい気がしない。ルーティンのように、ユリアとレッドの3人で歩いていた。


「チー、お前も剣技大会出るだろ?」


「え、いや出ません」


「は?」


 レッドにも昨日のユリアと同じことを聞かれたので、即答した。「お前も」ってことはレッドは出るんだろう。まあ、絶対出るだろうなとは思ってた。


「なんでだよ!」


「目立ちたくないから。視線が怖いから」


「……つまんね。チーと戦ってみたかったんだけどな」


「えっと、俺と戦いたいんなら、剣技大会じゃなくても、いつでも言ってください」


「いや、そういう問題じゃないんだけど、こういう公式の場で堂々と戦ってみたいじゃん」


「嫌です」


「ちぇ」


 仕方ないだろ。レッドはふてくされたようにその辺に落ちてた小石を軽く蹴り飛ばす。そんなつまんなそうな顔すんなよ。


 てか、俺、嫌われた?怖い。せっかくできた友達が……。レッドの顔が一瞬曇った気がして、心臓がズキッとした。それは嫌だ。俺はレッドに頭を下げる。


「すいませんした」


「え?いやいやなんでそんなに真面目に頭下げて謝ってんだよ!」


「え、あ、嫌われたと思って」


「そんなことくらいで嫌わねえよ!安心しろって。参加の意思なんて人それぞれだろ?まあ、お前の気が向けば来年参加してほしいけどな」


 良かった……。嫌われたわけではなかった。いや、でも内心は本当につまんない奴とでも思ってるんだろう。


 まあ、そういうのとかは、互いに気遣い合いながら、だよな。友達でも結婚でもなんでも。まあ、レッドのちょっとつまらなさそうな顔をしたままだったが。




 ------




「師匠は剣技大会に出ないんすか?」


「嫌です」


「さすが師匠っすね。あえて出ないという選択肢を取るとは……これが強者の余裕ってやつっすね……」


 今日もいつものように教室の隅っこの席で、ネクラにも同じことを聞かれた。でも、レッドとは真逆のリアクションだった。


 いや、あえて出ないとかじゃないんだけどね?恥ずかしいだけだからね?なんかいい方向に勘違いしてるけど、違うからね?


 てか、俺期待され過ぎじゃね?友人全員に出場可否聞かれたんだが?


 しばらくして、リーファが教室に入ってきた。


「よし。知ってると思うが、明日からは学園祭の準備に入っていく」


 は?


「なので、今日は何の出し物にするか、色々決めていきたいと思う。いいな?意見ある奴はいるか?」


 が、学園祭?そんなの聞いてねえぞ?俺は絶対に出ないぞ。あんな陽キャやリア充しか得をしない行事なんて。


 みんな一斉に相談などで、ざわざわし始める。どうしよう、ここは寝たふりを……。


「チー君?寝た振りしてないでさ、なんかない?」


「……」


 俺は寝たふりを貫いたのだが、ユリアに横腹をツンとつつかれる。


「うひ!?」


「ねえ、なにやりたい?」


 くそ、この女……。人がせっかく気持ちよく寝たふりをしているというのに……。


 やりたいこと?ないに決まってんだろ。地獄だったぜ、前世の学祭。クラスの知らん奴に無理やり手伝わされ、発表でも陽キャどものただ躍ってるダンスを強制的に見せられ、周りはカップルだらけでルッキズムの現実を見せられ……。


 なにがなんでもサボってやる。


「あ、ゆ、ゆり、あ……」


「どしたの?」


「は、腹が、痛くて……ぐ……」


「……特に魔素も乱れてないし、嘘だよね。サボりたいんだよね」


 クソが!



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