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拗らせ陰キャの異世界自己防衛ライフ 〜イケメンに転生してもガチ陰キャ〜  作者: 玉盛 特温
第2章 学園1年編

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第46話 親近感がわいてほっとけなかった




 ライの暗殺事件から数日が経った。


 後から知ったのだが、ライは治安隊もギルドも、捕まえるのにずっとてこずっていた殺し屋らしい。


 相手が誰であろうと、まるで善人のように関係性を築いて仲良くなり、相手を完全に油断させて暗殺をするようだ。


 それに色々な”顔”を持っているために、誰もその素顔を知らず、特定すら難しかったようだ。おそらく、毒を飲ませてそのまますぐばれずにその様々な”顔”で逃げていたのかもしれんな。


 戦闘能力はないが、手先の器用さと巧みな話術や行動だけで、人をだまし、そして殺してきたらしい。


 ネクラも俺に観察してほしいと言われるまでは、ただのポジティブすぎるうざい陽キャとしか思っていなかったらしく、疑っていなかったそうだ。


 俺の人間不信が、ユリアを救ったのかもしれん。複雑だなあ。


 ライの本当の名前も、顔も、依頼のたびに変えるため、誰も知らないようだ。ライという名前すら、本名か不明だ。


 そもそも、顔を変えるって、どういうことだよ。殺した人の顔でも剥いでかぶってんのか?うえ、気持ち悪……。


 まあとりあえず解決して良かった。これでもうヤンキの嫌がらせの警戒を解いて普通に過ごせる。とは言え、人を疑うことも決して怠りはしないが。


---


 てなわけで、今日も授業が終わり、飯食って、寝る前にいつものルーティンである剣技の自主練をすべく、基本誰もいない寮の裏側に、窓から飛び降りた。


 ふう、夜風が顔を程よくなでて、気持ちが良い。この時間は人も少ないし、自然も気持ちよくて一番好きな時間だ。


 高所恐怖症だったけど、異世界に来てからこういった恐怖はほとんど感じなくなったな。魔素を纏った身体が頑丈すぎて、もう慣れた。


 さて、今日も自衛のために素振りやランニングを……と思ったら、人気を感じて俺は木の裏に隠れた。ああ、マジでこんな真面目っぽく剣振ったりしてるところなんて誰にも見られたくないからな。場所を変えるか?


 すると、誰かの足音がどんどんこちらに近づいてくるように、大きくなってくる。俺はバレないように息を殺す。心臓がバクバクする音が聞こえないか心配だが。俺はそっと、木の影から顔を出す。


 あれは……女?艶のある深い青髪が腰まで伸び、切れ長の瞳からは冷ややかな眼差し。高身長ですらりとした体形で、制服を一切崩さず着こなしている。一言でいえば、クール系美少女と言ったところか。


 こいつ……もしかして、1年の主席か?いや、俺は自分のクラスの人の名前ですらほとんど覚えてないし、覚える気もサラサラないが、こいつの顔と名前だけはさすがに俺でも知ってる。


 たまにこいつが廊下を通るたびに、人を引き付けるようなオーラを醸し出して歩いてる。そのたびに女子からも男子からもキャーキャー騒がれる。いやでも覚えてしまうものだ。名前はリオと言ったか。


 で、そんな奴がなんでこんなところに来た?こいつは俺の横をスッと通り過ぎて、しばらく歩くと、腕時計をちらっと確認して、そのまま立ち止まった。


 待ち合わせでもしてんのか?とりあえず俺には関係ない。場所を変えて一人で自主練しよ。身体を一日でも訛らせたらいけないからな。せっかく飽き性の俺が続いてんだし。


 と移動しようとした瞬間、また一人の気配を感じてサッと定位置に戻る。なんなんだよさっきから!って、やっぱり待ち合わせしてたんか?


 今度は男子生徒のようだが……こいつも俺と同じように木の陰に隠れてなにやら、ぼそぼそと何かを呟いていた。見た目は……俺はそいつを見た瞬間、何とも言えない気分になった。顔はチー牛のように整っていないし、低身長だし、おどおどしてる。まるで、前世の俺のような……。


 そんな奴が一体、ここで何を?俺は耳を澄ませて、こいつの呟き声を聞き取った。


「落ち着け……落ち着け……きっと、リオさんは俺を、俺と付き合ってくれる……大丈夫だ……告白すれば思いは伝わる……よし」


 あ……。これはやばい奴だ。告白しようと、こいつは首席をここに呼び出したわけだ。……まあ、面白そうだし見てみたい、と思ったが、俺はそいつのことがほっとけないと思ってしまった。


 これは、確実にコクハラで人生を詰むパターンだ。こんなブサイクな奴が、あんな主席美少女に告白してみろ。まずフラれるのは確実。それに、それだけならまだしも、恐らくこいつと首席はあまりかかわりのないもの同士。一目ぼれなのか知らんけど、それで告白なんかすれば、気持ち悪い好意を向けられた、というコクハラに該当しかねない。


 よくある話?なのかは知らんが、普段女子とかかわりのない非モテが、ひとめぼれするパターンや、ちょっと女子に優しくされただけで、「もしかして俺の事?」と勘違いする典型的なパターン。それで告白をして、学校のうわさになって晒されて人生詰むやつな。


 俺は、俺と同じような報われない奴を、俺と同じ思いをしてほしくない。ただそう思っただけ。早まるな、チー牛。お前は今人生を自ら潰しに行こうとしているんだ。


 そいつはついに告白しようと、一歩踏み出そうとした。俺は、普通の奴なら追いつけないスピードでそいつに近づき、口を手で押さえ、木の裏に再び抑え込んだ。奴はもちろん、目を丸くして俺を見ていた。このままだと必ず大声を出す、その前に俺は小声で頼み込む。


「大声を出さないでください。伝えたいことがあります。了承したら手をそっと上げてください」


 そいつは敵わないと思ったのか、恐る恐る手を上げる。そして俺は口を押さえていた手をそっと放した。



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