第277話 プレゼント
その後はブサのパーティと解散し、ようやくブサと二人になる時間が来た。とりあえずブサを呼んで近くのベンチに座る。
そして無言。久しぶりに会うと、何しゃべればいいとか色々分からなくならん?初めての時の方がしゃべれる現象何?ブサも同じ現象起こってる?俺は勇気を出して話しかける。
「え、あ、ブサ、久しぶりっすね」
「あ、久しぶり」
「……」
「……」
無言。ブサってなんか、学園の頃よりしゃべれなくなってね?こんなんだったっけ?まあいいけど。こいつの人生考えりゃな。
「ていうか、その、なんで俺に声かけたんすか」
「え?いや、学園卒業するとき言ったじゃないですか。ブサに俺の故郷のお土産持ってくるって」
「あ、ああ、言ってたような……」
「えっと、何とか持って帰れたので、今から家に行って取ってきます。1分待ってください」
「え?もう?てか1分?」
俺はそのままダッシュで家に戻って、ブサに渡す用の地球の土産を家の隠し棚から取って袋に入れて、そのまま再びダッシュで戻って来た。ここまで50秒くらいか。ブサは目を丸くしていた。
「はやすぎでは?」
「えっと、ここではあれなので、とりあえずブサの家に行っていいですか」
「あ、まあ」
困惑しつつも、ブサは俺を家まで案内してくれた。
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ブサの家は、木製の小さいアパート式の賃貸だった。まあ、一般人はそんなもんだろう。いや、Aランクパーティメンバーの家にしてはしょぼいのか?
とりあえずブサの家に上がる。特に何もない、普通の一人暮らしの部屋という感じだ。テーブルと杖や数冊の本。あとは果物などの食い物。
「あの、暇じゃないですか?」
「え?ああ、暇っすわ。家で一日ゴロゴロしてる。それ以外やることないから」
それはそれで最高だな。俺もそんなニート生活して見てえ。
「で、なんすか?そのお土産って」
と、なんだかんだ言って興味津々のブサが聞いてきたので、俺は袋から色々と取り出していく。とその前に。
「今から俺が出すものは、この世界には絶対に存在しない、存在してはいけないものです。絶対に他人に教えたり、取られたりしないでください。歴史が変わります」
「ちょっと何言ってるか分かんない」
分かれや。
「とりあえず、他言無用ってことっすよね」
「それでいいです」
まずはゲーム機。switchは高いのでDS辺りを。あとは適当な、日本語が分からなくてもできるようなゲームソフトを。RPGなんかは無理だろうから、音ゲーとか、簡単な格闘ゲームなんかを。
「な、何この物体」
「ゲームです」
「ゲーム?」
この世界じゃ見ることもない画面や素材に興味津々のブサ。何度も開いてみたり、触ってみたり、裏側を見てみたり。俺が電源を付けてやると、めちゃくちゃビビって後ずさりした。
「は、は?なにこれ、しかも音も出てる?動いてる?この中に何入ってるんだ?」
「そういう細かいことは気にしないほうが良いです。死にますよ」
「死ぬのかよ……わ、分かった。……てかなんてもの俺に差しだそうとしてんだよ!」
「死にませんよ、めんどくさい」
「そんな嘘つくなお前がめんどくさいわ!」
説明がめんどくさいので、というかできないので、知ったら死ぬですませようとしたんだけどさ。俺の使命は使い方をブサに教える事だけ。内部の仕組みなんぞ知らんわ。
俺は電源の付け方、遊び方、魔道具による充電の仕方、など手取り足取り教えてやる。ブサは自然と笑顔などが増えていって楽しそうにしていた。
「なにこれ、チーの世界って、やばくね?こんな面白いもので溢れかえってるの?」
「そうです。文字が読めればもっと面白いゲームも色々ありますし」
「うっわ、最高じゃん」
ブサにとっては、性欲も友人関係も趣味もすべてが何もなかった世界に、突然得体のしれない新しいゲームという趣味が降ってきて、生きる活力みたいなものが復活してきたのかもしれないな。
ゲームは最高だ。ゲーム作ってくれた人ありがとう。俺も、前世はゲームに救われたからな。
続いてブサが興奮している間に、別の意味で興奮する物も取り出す。そう、エ○ゲだ。2Dのエ○ゲなら格安のPCでも動くし、適当なエ○ゲソフトとかいろいろインストールしたPCを差し出す。
「今度はなんだ?さっきよりも大きい物体っすね」
「エ○ゲです」
「エ○ゲ?」
俺はさっきのように手取り足取り色々教える。
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ブサはエ○シーンに入った瞬間に声を荒げた。
「ふざけるな!何てもの見せてくるんだ!やめろ!今すぐ閉じろ!」
「でも本当は?」
「最高です」
う~ん、素直な子。男は性欲には抗えんのよね。男にとっての性欲ってのは車を走らせるエンジンやガソリンみたいなものなのだから。性欲のおかげで世界は発展してきたに等しいんやで。
「ていうか、なんで俺にここまでしてくれる?」
ブサは俺を不思議そうに見つめ、呟く。何度ブサに聞かれたことか。答えは変わらん。
「昔の俺だから、ほっとけないだけです」
「なんか言ってたっすね。はあ、ほんと、ありがとうございます。しばらくは耐えられそうっす」
「そうですか、それは良かったです。あ、充電の魔道具の容量切れたら俺に連絡してください。これ住所です。基本的には家にいますんで」
「あ、ああ。分かった。これ、本当に俺が貰っていいんだよな?」
「はい」
そしてブサと俺は固く握手を交わし合った。なんじゃこりゃ。
そんなわけで、俺はブサに一筋の希望を与えた。弱者男性は見過ごせないからな。前世の俺のようになって欲しくない。なんだか、たまには良いことするのも気分が良いものだな。帰ってユイとイチャイチャしよ。




