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拗らせ陰キャの異世界自己防衛ライフ 〜イケメンに転生してもガチ陰キャ〜  作者: 玉盛 特温
第2章 学園1年編

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第21話 教室入っても視線は怖いよね




 とりあえずレッドに名前を聞かれたので答える。


「俺は、チーです」


「チーか、よろしくな」


 レッドが手を差し出してくる。俺はおどおどしながら、その手に自分の手を重ねた。レッドはその手を掴み、握手する。


 こ、これが友情か……?少し感動する。


 レッドと握手を交わした俺を見て、ユリアが小声でつぶやく。


「チー君ひどい、私には手を触れられただけで本気で拒否してきたのに……やっぱりチー君って、男の人が好きなんじゃ……」


 いやユリアさんそれはすまんて。


 てか最後なんかすごい誤解が聞こえた気が……。気のせいだよな?


 とりあえず気にしないでレッドに改めて挨拶する。


「えっと、あー、よろしくお願いします」


「敬語なんかいらないぜ?もっと気楽にいこうぜ」


「あ、はい」


「いや、敬語はいいって」


「あ、はい?」


「お前面白いな。いいよいいよ、お前のしたい様に接してくれれば」


 面白いやつ認定された。これは、一歩前進か?いや、馬鹿にされただけな気もするが……。


 にしても、やはり顔は大事だ。イケメンじゃなかったら声すらかけられなかっただろう。イケメンってだけでやっぱ雰囲気すらイケメンになるのだな。


 やっぱこの世界も容姿かよ。ユリアだってきっと俺がブサイクだったら声もかけてくれなかったはずだ。


 ルッキズムだなあ。まあ、人間は本能的に容姿で第一印象を決めるものだし、イケメンってだけで優しそう、楽しそう、何でもできそうってのは俺でも思う。チー牛に声かけたいと思うか?俺も嫌だ。


 でも、いざ自分がイケメンになると気持ちいいな。なんか何でも上手く行きそうな気がするわ。ただし、チー牛の記憶さえなければ、の話だが。


 レッドはユリアにも声をかける。


「あ、そうだ。お前の名前は?」


「ユリアです。よろしくね」


「よろしく。じゃあ一緒に行くか」


 レッドはユリアとも自己紹介を済ませる。


 その後、ユリアとレッドは楽しそうに視線をかわしあい、話しながら歩いていた。

 さすがはユリアだな、俺とはコミュ力が天と地ほど違う。


 ただ、なんだろ、ユリアが他の男の人と話してると、少し、胸の奥を抉られるような、変な感じがする。嫉妬か?だとしても誰への?


 俺はレッドのようにしゃべれるわけじゃないし、俺自身つまらないことは自覚している。楽しい話もできないし、基本はユリアから話しかけてくれるだけ。最終的にはこういうレッドみたいな話せるやつと付き合ってくんだろうな。そう思うと、なんか、自分の存在価値を疑う。


 はあ、前世でも自己肯定感だけでもあれば、今回の人生も楽しかったんだろうな。


 それにこの状況、俺だけ疎外感を感じる。何度か言ったが、基本的にチー牛陰キャは話の話題も無く、基本話しかけられるのを待つので、大勢だと話の輪に入れない。大抵自分だけが会話の輪の外にいる。


 何を話せって言うんだよ、よくそんなすらすらと話題が出るものだ。2人で仲良く話している中、俺は下を向いてとぼとぼと二人について行っていた。


 数分で学園の玄関の前に着いた。とりあえず校内に入ると、すぐ目の前の掲示板に貼ってあるクラス割り当てを見つけた。ざわめきの中、生徒たちが掲示板に群がっている。気持ち悪。掲示板には、2クラスにびっしりと名前が並んでいて、俺は自分の名前を探した。


「あ、チー君と同じクラスだね、よかったあ」


「ああ、チーとは別のクラスみたいだな」


 俺とユリアは同じクラス、レッドとは別のクラスになったようだ。にしてもよかった、ユリアが同じクラスというだけで安心だよな。


「それじゃいったんお別れだな。また明日な」


「あ、はい」


「またね」


 レッドとあいさつを交わして別れ、俺とユリアは指定の教室へと足を運んだ。





 ------





 人が10人は並んで歩けるくらいの広い廊下を歩く。両サイドには窓がところどころ付いていて、帯状の太陽の光が差し込んで白いタイル状の廊下を照らしている。


「なんだか、チー君とは正反対って感じの人だったね」


「そっすね、羨ましいっすよ」


「チー君もいいところあるんだから、自信持ってよ?」


 ……嘘だな。本当にあるんなら聞いてみたいものだ。あるんならな。俺は嘘か判別するために、いつもなら目を逸らしていたが、今回は目を合わせて聞いてみた。


「じゃあどこですか?」


「え?あ、それは、その、内緒!」


 ユリアは指を顎に当てて、一瞬視線を斜め下に逸らした後、恥ずかしそうにすたすたと早歩きで先に行ってしまった。……今の反応は、はぐらかされた?


 いや、俺に良いところなんてないのは事実だ。強いて言うなら顔くらいだろう。何も思いつかないのに適当にいいところあるよ!なんて言うなよ。人は自分の体裁のために平気で嘘をつくからな。


 廊下をしばらく歩くと、割り当てられた1組の教室に着いた。


 ユリアは普通に教室のドアを開けて入っていく。逆に俺は緊張して、前世のトラウマが脳裏にフラッシュバックして、うつむきながら足がすくんでいた。


 また前世みたいに、教室に入った瞬間に沈黙が起きたり、敵意を向けられるのではないかと。


「ほら、行くよ」


 俺は無理やりユリアに手を引かれて、教室に入っていく。……意外とすんなりと入ることができた。誰もこちらを気にする様子はなく、グループごとにざわざわと談笑していた


 教室を見回してみる。小中学校のような30人ほどが入れる狭い教室ではなく、大学の講義室のような100人くらいは入れそうな広さの教室だ。


 後ろから前に行くごとに降りる段差状になっていて、横長の机が段差ごとに並べられていて、全員が前の黒板が見れるようになっている。天井も広く、教室の横の窓は映画のスクリーンのように大きく、景色が見られるほどだった。


 適当な席に座るため、ユリアと辺りを歩き回っていると、多くの視線がユリアに向かい始めた。主に男子生徒からの視線が多いように見える。正直、元王族なだけあって顔面偏差値はこの世界でもかなりの高さだ。人目に付くのも仕方ない。


 ただ、なんか、俺も見られている気がする。 いつもの被害妄想か? いや、今回は少し空気が違う。


 前世では気持ち悪いものを見るような視線や、敵意を持った視線が多く、教室に入れば沈黙を浴びていたが、今回は、そういう悪い視線は感じない。


 でも恥ずかしいから見ないでほしい。穴があったら入りたいくらいだ。掘るか?てか、どうせ俺のことを「根暗陰キャ」だとか「なんだあのイケメン」とか思ってんだろ。


 とりあえず、席は自由らしいので急いで適当な場所に座る。もちろん廊下側の端っこの席だ。ユリアは俺の隣に座ってくる。


「楽しみだね~……ってさっそく机に突っ伏してる!?」


「視線が怖い……」


「だ、大丈夫だよ、怖くないよ~?まあ確かに、チー君、かっこいいし、視線集めるのも仕方ないよね……」


 やっぱ、イケメンだからなのか……?なんか複雑……。


 くそ、前世がチー牛じゃなければ、視線集めて楽しかったんだろうな……。そして自己肯定感もアップってか?はあ。上手く行かないもんだなあ。


 まあ、その視線も一瞬のもので、周りはもうざわざわと話を再開していた。





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