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拗らせ陰キャの異世界自己防衛ライフ 〜イケメンに転生してもガチ陰キャ〜  作者: 玉盛 特温
第3章 学園2年編

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第128話 異世界調査で分かったこと




 今日はレッド、ネクラ、サンに、ユイと付き合ってることは知れ渡ってしまったのだが、一番知られたくなかった人に今、めちゃくちゃガン見されていた。


 そう、ブサだ。俺は今まさに、窓際の席に座っているブサからの嫉妬の冷たい視線を遠くからひたすらに浴びている最中である。ああ、痛いよお。


 まあそりゃ、モテないチー牛がイケメンを恨むのは自然の摂理と言っていいだろう。俺も前世は殺したいほど憎んでいたさ。ブサの気持ちは超わかるってもんよ。


 う~ん、俺は弱者を救いたい。前世の俺のように、ほぼ生まれた時からの運で人生の大半が決まり、努力ではどうにもできない理不尽のせいで苦しんでいる人を助けたい。だからブサのことは、罪悪感もあるし彼女を作る助けをしてあげたい。


あ、もちろん恵まれたやつは正直助けたくもないし潰したいけど。


 でも、この世界でもルッキズムなのは分かってる。この世界では、お見合いは貴族とかその辺以外では浸透してないし、前世と同じく自由恋愛に近い構造だと考えている。つまり、付き合うかを決めるのは互い、個人の戦いになる。


 そうなると、ブサイクは自由恋愛における、就職活動の履歴書選考落ちはほぼ免れないのだ。俺がブサに教えてあげることは無いというわけ。うう、悲しい現実……。


 と、独白が長くなってしまったが、俺は可能性が0とは思っていないのだ。なぜなら、ここは異世界。つまり、現実ではまず存在が幻かというくらいの、ユイみたいな二次元ヒロインが存在する可能性があるということ!


 というか、普通に気になるんだよな。前世の日本と、この異世界の恋愛観の違いというものが。これを研究すれば、ブサにも彼女ができる可能性を計算できるってわけだ。


「さっきからずっと何考えてるん」


「え?あ、いや、考え事を……」


「それを聞いてるんだけど」


 いつの間にかブサは、俺の隣に来て声をかけて来た。う~ん、考え事をしているとどうしても周りがおろそかになってしまう。ていうか、間近で見るブサの嫉妬オーラが怖い。やばい。とりあえず意味ないけど聞いてみる。


「お、怒ってます?」


「……さあ」


 怖い。さあって何。どうせ怒ってるだろ。はあ、しょうがない。俺が一肌脱いでやろうか。


 俺は右に座っているユイに、頼み込んでみた。


「ユイ」


「なに?チー君」


「お願いがあります」


「お、チー君もやっと積極的になってくれた?私嬉しいよ。うん、チー君のお願い事なら何でも聞くよ」


 ユイは笑顔で応じてくれる。なんか罪悪感が……とりあえず俺は紙とペンをユイに渡しながら、説明する。


「とある調査をしたいんです」


「どんな調査?」


「この世界の女子の恋愛観を調査してほしいんです」


「まかせて……なんで?」


 戸惑うユイを気にせず、調査方法を淡々と説明する。


「まず、人は簡単に嘘をつきます。秩序や保身のために必ず、自分を良く見せようと『顔とか関係ないよ~』とか嘘をつくはずです。なので、公平性や正確性を高めるために、まず笑顔を崩さず、目のハイライトを消しながら、こう言ってください。

『ねえねえ!〇〇ちゃんってさ、どんな男子と付き合いたいと思う?あ!もちろん、嘘ついたら、君の頭ほじくって扁桃体と前頭前野を残さず美味しく食べるから!え?嘘じゃないよ?サイコだもん!』と」


「怖いよ!?」


「コツは笑顔で言うことです。こいつヤバいと思わせられるので、調査の正確性が上がります」


「私の社会性は下がるよ!?」


「で、この紙に嘘偽りない結果を書いていってください。一番気になるのは、容姿と金の部分ですかね。できるだけ1番と2番に何を求めるかを聞いてください。お願いします」


 この世界にウソ発見器などないし、やはり人間は恐怖で支配することで本能から危険と判断させ、本音を吐き出させるのが一番だ。


 まあ、純粋なユイがそんなやり方で調査できるとは思ってないけど、それだけ正確な情報が欲しいということはきっと伝わっただろう。


「う、うん。分かった。その代わり、この後、私の言うことも聞いてよ?」


「まあ、はい」


 ユイはしぶしぶ立ち上がり、クラスメイトの女子たちに駆け寄って調査を開始した。俺はあくびをしながら、何となくその様子を眺めている。


 しかし、俺は驚きの光景に目を疑った。女子たちが青ざめたうえ、「ヒイィィィ!?」という悲鳴が一瞬聞こえたのだ。怯えたかと思えば、女子たちが震えながら何かをユイに話している。


 ……ま、まさか、本当に笑顔で脅してるんじゃないだろうな……?いや、やりかねない!あの純粋無垢で天然なユイならやりかねない!ユイのイメージが地に落ちる!!!


「チーもユリアもバカなん?」


 そんなブサのつぶやきなど気にせず、俺は焦ってユイを止めにいった。




 ------




 ユイが本当に笑顔でサイコ演じるとは思わず焦ったが、何とか俺も脅しに加わり調査は完了した。


 そこではまあ、意外というか、よく考えれば異世界ならではの興味深いデータを知ることができた。


 まず、やはり多かったのは”容姿”だ。女という生物は本能的に、健康的で強そうな遺伝子に惹かれるため、やはりここは外せないし仕方のない部分だとは思う。


 前世はSNSなどによってイケメンばかり注目され、イケメン慣れをした結果、容姿に対するハードルは異常なほどに上がった。ネットは悪しき文化よ……。


 ちなみに、予想通り「顔は関係ないよねえ」という輩もいたので、脅したらちゃんと「容姿」と吐いてくれた。でもなんかこれ、言わせてる気がしてきた……。クソ、正確性が……。


 とりあえずここまでは予想通り、前世と同じ結果になっているだろう。しかし、違うのはここからだった。


 ”金銭面”はほとんど出てこなかったのだ。前世では容姿の他にも、金銭面も求められるハードな現実だったのだが、この世界ではあまり求められないらしい。


 どちらの世界でも女性が自分で働いて稼げるのに、この違い。


 恐らくだが、世界の危険度と発展の違いだろう。この世界は、魔獣や冒険者同士の争いなど、常に死と隣り合わせの世界だ。前世とは危険度が違う。金よりも、人間関係や強さに惹かれるということだ。


 だからなのか、調査結果では、容姿の次に重視する面に多く上がったのは、物理的な”強さ”だったのだ。


 前世は娯楽も発展し、1人で生きることに困らない。物価は高いし、二人で生活するにも趣味にも金がいる。だから、安定を求めるために、女性が自分より金を持つ人が条件になるのも不思議ではない。


 そもそも、趣味が充実しているおかげで、恋愛をしなければならないと言った考えも減っていたしな。ある意味自由だけど、ある意味不自由だ。


 そういえば、中には、顔はそこまでじゃないけど、命を助けられて、その強さと優しさに惹かれて付き合った、という女子もいたくらいだ。この世界は前世ほどひどいルッキズムは浸透していない?


 これは、この世界なら、チー牛でも前世ほど無理ゲーではない?強さを求めれば、ブサイクでも可能性がある世界?とは言え容姿に恵まれたやつが有利なのは変わらないが、希望があるだけマシだ。


 俺はさっそくブサに報告する。


「ブサ」


「え、何急にちょっとワクワクした顔で……」


「強くなりましょう」


「……急になした」


「この世界なら、ブサでも彼女が作れる可能性はあるかもしれません」


「マジ!?って騙されないぞ、俺はずっと女子にキモがられてたし」


 まあ信じないのも分かる。こういう奴にはデータを見せるに限る。とりあえず俺はさっきまとめた考えをメモ帳にずら~っと書き記していく。そしてそれをブサに見せた。ブサは紙とずっとにらめっこしていた。


 そしてブサは読み終わると、苦笑しながら俺に言う。


「すごいな、ここまでまとめてるなんて。てか、お前の前世って逆に気になるんだが……とにかく、その結果を見る限り、俺でも可能性はあると?」


「はい。俺はその手伝いもしますよ。もちろん、可能性があるってだけで、ほぼ可能性はありません」


「どっちだよ……てか、なんでそこまでしてくれんだよ、意味わかんねえ」


「かつての俺だからですよ」


ブサは一瞬俺を見つめてくるも、直ぐに目を逸らして深いため息をついた。でも少し嬉しそうだった。


「はあ。じゃあ、これからも魔法のレクチャーお願いするわ」


「はい」


 俺とブサは握手を交わし、再び同盟を組むのだった。




 ちなみに、俺とユイはサイコカップルとしてクラス中に知れ渡ってしまった。……否定はしねえ。





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