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拗らせ陰キャの異世界自己防衛ライフ 〜イケメンに転生してもガチ陰キャ〜  作者: 玉盛 特温
第3章 学園2年編

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第122話 陰キャがなぜかギャラリー作ってた




 学園の屋外イベントは非常に賑わっている。


 意外と、前世の夏祭りと遜色なく、いろいろな屋台が出店していて、この世界では珍しく娯楽のようなものも多かった。


 射的やこの世界の食べ物や飲み物の屋台、杖や剣が売っているの屋台、くじ引きなどがある。小型の魔獣を戦わせて賭けをするギャンブル場のようなところまであった。おい学園でそんなことしていいのかよ。


 まあ、俺は絶対に行かねえ。俺は運だけは誰よりも悪いからな。前世は宝くじもソシャゲのガチャも、親ガチャ容姿ガチャ環境ガチャも全部はずれだったからな。


 ちなみに、射的はかなり本格的で、前世なら商品までの距離は体感1~2m離れているかくらいの距離だが、5m以上はあった。この世界の人間の身体能力に合わせているのだろうな。


 日も落ちかけていて薄暗い中、特に暑く寒くもない丁度いい気温だ。そのため、人酔いはそこまでなく、多少の風が涼しいため意外にも快適。まあ目に付くガキやカップルはうざいが。


 俺はユリアと一緒に歩いているのだが、どうも視線が気になる。多分、ユリアが超絶美少女で可愛いから目に付くのだろう……と言いたいが、女性からの……特に俺への視線も気になる。


 精神統一による察知能力向上で視線にさらに敏感になったからな。前世ならこういう視線ではなく、敵意を持った視線ばかり向けられていた。そもそも、見ないように目を背けたりもしてた。チー牛なだけで。


 てか、どこの世界でもルッキズム半端ねえなあ。まあ本能的に女性は、健康そうな肉体や容姿に惹かれるのだから仕方ないんだけど。


 隣で歩いているユリアが話しかけてくる。


「祭りの終わりには魔導花火もあるらしいよ」


「え、あ、はい」


「リアクション薄いねー」


「すいません」


「もう。謝んなくていいのに」


 ユリアは魔導花火を楽しみにしているっぽい。正直、花火はあんまり期待していない。


 ちなみに、この世界は完全に火魔法のみで花火を再現している。さすがに前世ほどきれいに見える技術は存在しないが。だとしても、魔法って便利だよなあ。


 と、ユリアは唐突に俺の肩をトントンと叩く。


「えっと、その、手、繋がない?」


「嫌です」


「即答!?ちょ、泣いちゃうよ?」


 冗談かと思ったが、本当にユリアが泣き出しそうにうるうるさせる。俺が心配しているのは理性や人目、冤罪だ。そもそも恋人でもないのに。


「は、はぐれたら困るじゃん……ばか……」


 まあたしかに、この人混みならはぐれるかもしれんが……。ユリアがいいんなら。きっとユリアになら、裏切られることは無いから。


 まあ、俺はこういう時のためにこういうものを用意していた。俺はポケットから白く目立ちにくい紐を取り出す。両サイドには腕につけるように輪っかの細工をしている。


「……ねえ、なにそれ」


「えっと、はぐれないようにこの輪っかを互いの腕に装着すれば解決ですね」


「解決ですね……じゃないよ!?どんだけ私と手繋ぎたくないの!?そもそもなんでそんなもの準備してるの!?」


 ツッコみが止まらないユリア。リアクション大きいから見てておもしろいよな。俺は紐の輪っかの部分を腕に通していたら、ユリアは強引に俺の手を握って来た。


「だめ!ちゃんと握らないと分かんないじゃん!」


 むぐ~と唸っているユリア。俺は不覚にもユリアに手を許してしまう。……う、女子の手ってなんでこんなに小さくて、それに引っ付いてくるような感じがするんだろう。


 俺の手は握り返さないようにピンとしているが、ユリアの手はしっかりと俺の手を握っていた。なんなんだよ、ほんと。照れなのか、俺もユリアも、目を反らしながら歩いていた。


「あれ、あそこにいるのって、ネクラ君?」


「……そうですね」


 ユリアが射的の屋台を見ていた。ネクラは学園の制服のまま、射的の屋台で遊んでいた。夏祭りも基本ボッチなんだな……。


 片手でドラ〇もんの空気砲のような魔道具を持ち、風魔法で空気を発射して、一発で倒していた。さすがだ。


 で、なぜか周りにはギャラリーが集まっていて、なぜか店主の顔が青ざめていた。何が起きてるんだ?何となく、ネクラのもとへと足を向けた。


「あ、師匠とユリアじゃないすか」


 ネクラはこちらに気づいたようだ。俺は気になっていたことを聞いてみる。


「えっと、この集まりって……」


「え?集まり?……ってうわ、きっしょ……」


 ネクラはギャラリーが集まっていたことに気づいていなかったらしく、振り返って絶句していた。てか、口悪いな……。


 すると店主が怒っているのか悲しんでいるのか、何度も表情を変えながら、なぜか俺に話しかけてくる。


「こ、この坊主が!全部商品を一発で、的確に倒してかっさらってくんだよ!おお、お前この坊主の知り合いなんだろ?ならこいつを止めてくれないか!?」


 あ、なるほど。ネクラは暗殺者だし、こういう器用なことは得意そうだもんな。


 相手の急所に狙いを定めて命を仕留めるように、商品の倒れる場所に狙いを定め、確実に倒していく。さすがだわ。


 俺はネクラに確認する。


「で、この大量の商品どうすんすか」


「え?もちろん持って帰るっすけど」


「さすがに半分くらいは返してあげて……」


「ええ……まあ師匠が言うなら」


 ネクラは選別を始め、いくつかの商品を返したことで店主の機嫌は多少良くなった。めっちゃ感謝された。


 すると、ネクラは思いついたように俺に提案する。


「あ、師匠もやってみてくださいよ」


「私も見てみたい!」


 ユリアも興味津々で俺を見てくる。……本当はいやだけど、なんか流れで俺も射的をやることになる。店主に金を払い、俺にも嫌そうな顔をしながら、空気砲の魔道具を渡してきた。


「まさか坊主も上手いとかないよな?」


 安心して、初めてだから。


 それにしても、遠いな。前世の2、3倍はある気がする。あ、そうだ。俺はネクラに念のためにコツを聞いてみる。


「あの、どこを狙えばいいですか?」


「えっと、左右のだいたい上あたりを狙うといいっす」


 左右の上あたり。俺はとある箱に狙いを定める。上級魔法並みに精神力使うなあ。そして発砲。見事にスカす。


「惜しいっすね」


「惜しいね、でもすごい!」


「ほっ……」


 店主は安堵の息をもらしていた。まあリングや杖なら、狙いはほとんど外さないのだが、始めて使うこの魔道具の威力や射程は使ってみないと分からんからな。


 でも1回撃ってみて何となくわかった。少し左に寄り過ぎたな。さっき狙った時の視界を鮮明に覚えていたので、先ほどと同じ場所に狙いを定め、少し右にずらす。発砲。スカす。


 あれ、もうちょい右か……。発砲。ついに箱はくるりと横回転して倒れた。


「たった3発で……さすがっすね……」


「チー君すごい!」


 射的、意外と面白いな。にしても、こんな銃の様な魔道具があるとは知らなかった。ただ、これは魔素がだいぶ低く設定されていて殺傷能力も無いし、空気の圧が雑すぎる。


 これを参考に、自分で手作りして戦いに使えないだろうか。もっと銃に近い仕組みにして、詠唱せずとも魔素を込めるだけで、殺傷能力の高い魔法を放てるようにすれば……相手の不意くらいは取れるだろう。


 自分の身を守るためだ。覚えておこう。


 で、店主から倒した商品を受け取る。とりあえずポケットにしまっておく。これは一応ネックレスだ。


 魔道具コンテストの優勝賞品よりかなり質は落ちるが、魔素増幅効果があるようだ。


 そんなことを考えながら、俺たちは射的の屋台を離れる。


「にしても、まさか師匠とユリアが手つないで現れるとはおもわなかったっすよ」


「あ」


 そういえば、射的の屋台でネクラが何してたのか気になって忘れていた。ネクラに会う前に手を離すんだった。ネクラはニヤニヤしている。


「ついに付き合ったんすか?」


「んなわけ。はぐれないようにってユリアに無理やり握らされただけです。俺は被害者です」


「あーそっすか。素直じゃないっすねえ」


 ああ。ネクラの目は完全に信じていない目だ。だから手つなぐの嫌だったんだよ。今日はだるいし、明日ちゃんと弁明しないと。


「じゃあ、師匠の邪魔しちゃ悪いんで、帰るっすね」


 は?それはやめて。俺は必死に頼み込んだ。ボッチはいやだろ?な?


「邪魔じゃないから残ってくださいお願いしますボッチはいやですよねネクラさんマジで頼みます」


「それじゃまた明日っす、師匠!」


「待てやゴラ」


 ネクラは俺の必死の頼みをスルーして帰っていく。あのネクラの顔は、完全に俺をからかっていた。明日アイスニードルで串刺しにしてやるからな。





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