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拗らせ陰キャの異世界自己防衛ライフ 〜イケメンに転生してもガチ陰キャ〜  作者: 玉盛 特温
第3章 学園2年編

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第115話 VSルー……と思ったら




「なに、この集まり……」


 俺達は学園に着いた。


 しかし学園の玄関前の広場は、生徒たちの人混みで騒がしい。何が起こったのか、聞いてみようと思ったが、他人に急に話しかけたら不審者扱いされそうなので、俺はユリアに任せることにした。


「ユリア」


「ん?」


「この集まりが何なのか聞いてみてください」


「うん。自分できこっか~」


「嫌です」


「即答!?むぐ~、こ、今回だけだよ?チー君、その……助けてくれたし」


 ユリアは顔を見せまいと俯きながら逸らす。こういう照れてそうなのも本当に可愛い。そしてなんだかんだ言って言うこと聞いてくれるのも可愛い。


 ユリアは生徒たちに聞いて回って、俺の元に戻ってくる。


「先生たちが神声教団の集団とグラウンドで戦ってるんだって。危ないから生徒たちは広場に~って」


「え、はい。なるほど」


 どうやら、この学園に来ていたのはルーと青龍だけではなかったようだ。先生たちはそっちの対応で忙しくて、動けないと言った感じか。


 とりあえず状況は理解した。


「今はひとまず、ネクラの元に行きましょう」


「うん」


 再び、俺とユリアは学園へと入って行き、自分たちの教室へと急いだ。




 ------




 どうやら、俺たちの教室の前にはすでに誰もおらず、生徒たちは広場へと避難済みのようだ。しかし、教室内からは先ほどまで、剣のぶつかり合う音が聞こえていた。まだ戦っている。


 俺はとりあえず聞こえないようにそっと、ドアに手をかける。しかし、どうしてもレールのガラガラ音が響いてしまい、教室にいる奴らからの視線が一気に集まる。


「ひっ!?見ないで……」


「恥ずかしがってる場合じゃなくない?」


 俺は目を逸らしつつ、ユリアを後ろに控えさせながら教室に入っていく。


 ただ、俺はネクラとルーが戦っているものだとばかり思っていたんだけど、なぜか、ネクラの他にも、レッド、リオ、ブサまでいるんだよ。う~ん、なんで?


 まあでも、ネクラのことをきっと助けてくれたんだろうし、今は感謝しておこう。


「し、師匠……来てくれたんすね」


「え?あ、はい」


 ネクラがまるで俺を崇めるかのように見つめてくる。逆に怖い。変態。でも、生きててよかったよ。前世なんて、死んでほしくない人なんか、ほとんどいなかったのに。なんだか感慨深い。


 で、本題だな。ルーは俺に気づいて、さっそく殺意をまき散らしながら睨んでくる。


「誰だ貴様は」


「え、いや、その……」


「……」


 貫禄のある声と、話し方が怖くてビビってしまう俺。そんな俺を呆れているかのような冷たい目で見てくる。やめちくり。


「師匠、気を付けてください、奴はブルーの父親で水流型を極めてるっす。この教室の空間のすべてが視えてるっす。でも、師匠ならやってくれるっすよね……?」


 ネクラは俺にアドバイスをくれる。そして過度な期待。やめちくり。


 てか待て、なんか聞き捨てならない言葉が聞こえたぞ?ブルーの父親?……いやいやいやマジかよ。つまり、ブルーよりも強い……は?無理ゲーじゃね?おっさんは俺に完全に向き直り、敵意を向ける。


「ほう、で、貴様が次の相手か。ん?貴様、さっきあの姫を追った奴じゃないのか?戻って来たということは……

 まさか、あの青龍の野郎、またくだらないことで姫を引き渡したわけじゃねえだろうなあ!だからあいつと行動するのは嫌だったんだよ!畜生!」


 あ、ああ……青龍って神声教団では扱いの難しい厄介な仲間みたいなポジションっぽいなあ。うん、見たらわかるわ。ルーは頭を抱えつつ、再び俺を睨む。


「まあいい、ユイローレンティアはわしが再び力ずくで攫えばいいだけの事。で?貴様はなぜ名乗らない」


 え、怖いから。神声教団は名乗るのがルールってのは本当のようだ。ルーは剣を構えて俺に近づいてくる。


「名乗らないと即刻斬る――」


「チー・オンターマです」


「ほう、チーオンターマ、オンターマ……?思い出したぞ、忘れたくても忘れられないあの痛み……貴様の父は剣聖だな。覚えているぞ。わしの身体に消えない傷を作った、憎きあの剣聖……」


「いや知らねえよ」


「んだと?」


「ひっ!?」


 しまった。つい本音が声に出てしまった。かなり小声でつぶやいたはずなのに、聞こえたのか。水流型の剣士ってほんと恐ろしい。


「決めた。貴様から体を切り刻んでミンチにしてやろう。お前を殺した後は、貴様の父親だ」


 おっさんは完全に敵意むき出しの目で剣の構えを取り始めた。水流型、この空間の動きがすべて視える。ほう、ちょうどいいじゃん。未来予知じゃないだけマシじゃん。


 俺は、少し剣を前に出す。実際は、無詠唱で気づかれずに奴の足を氷漬けにする魔法を放っていた。


 魔法の発動にも種類があって、放出型と設置型がある。放出型はさっき俺の放ったアイスニードルのような魔法を操作して放つもの。設置型は、その名の通り指定した場所に魔法を発動することができる。相手が動かねえなら好都合だ。


 今ここで有効なのは後者だ。俺はルーの足元に凍てつく氷の魔法を発動させておいた。無詠唱だから気づきにくい。いくら空間全体を視られる奴でも、身体に直接作用する無詠唱魔法は避けようがない。


 まあもちろん、魔素を可視化できる治癒師にはあまり効果は無いが。こいつはただの剣聖。魔素は見えるはずがない。


 空間すべてが視えるやつには意味ないかもしれんが、できるだけステップでフェイントをかけながら。奴の間合いで俺は剣を振る。その瞬間に魔法もついでに発動させる。


 そして奴は剣で受け流そうとしたが、重心をずらすため足を動かそうとして――足が氷漬けになっていて動かないことに気づく。

「なに!?」

 それでも奴は身体をひねってギリギリでかわすも、肩に深い切り傷を受け、鮮血が飛び散った。


 体をひねってバランスを崩したところに、俺は腹に追撃の蹴りを入れる。奴はごほっと吐きそうになるも、すぐに剣を振って、俺を遠ざける。


「嘘……私達でも苦戦したルーに攻撃を?」


「さすが師匠っすよ」


「やっぱりチーってすげえんだな……」


 リオ、ネクラ、レッドが口々に感想を漏らす。


 う~ん、ブルーの父親とは言っても、大したことは無いのか?……ああ、多分歳のせいか。歳って怖いよねえ。


 今関係ないけど、SNSのゲームの趣味垢で時々流れてくる、○学生で〇〇合格できた!昇格できた!っていう承認欲求丸出しのツイート見ていつも思うんだ。若いし時間もあるし親も応援してくれるなら普通じゃね?って。


 逆に金はあっても、時間もない体力もきついおじさん社会人が〇〇合格できた!の方が何倍もすげえよ、って思う。それだけ。それって俺の感想ですよね。


「貴様、貴様ぁ!親子そろって、わしに、傷を……くそっ!わしに本気を出させたことを後悔して逝くがいい!」


 ルーは急に雰囲気が変わる。先ほどよりも、精神を研ぎ澄ませ、全神経を戦いに集中させているような。空気が一気につぶれそうなほどに重くなる。ついに本気か。怖いな。剣士との闘いは一発一発が一撃必殺みたいなもの。


 斬られたら、ほぼおしまいだ。特に、豆腐メンタルの俺には、多少斬られたくらいで、壮絶な痛みで一瞬にして戦意を喪失する。


 だから、絶対に、回避を優先しろ。一発でも食らえば負けだ。魔法師よりもかなりの緊張感を感じてしまう。


 そして、奴は剣聖。剣聖の本気だ。いくら相手がおっさんでも、油断できない。俺はできるだけ、予備動作なく、奴に近づこうとした時だった。


 肩をポンと叩かれる。まずい!気づかなかった!殺される!……と思ったのだが――


 後ろにいたのは、ルーではなく――ブルーだった。おっさんもいつのまにか立ち尽くしていて、なぜそこにいると言いたげに顔を引きつらせていた。ブルーは俺の肩に手を置きながら話す。


「あとは僕に任せろ」


「え?」


 その時、俺は思った。……ラッキー。


「お願いします」


 俺はすぐに頼んで、ブルーの後ろに避難する。俺よりも強いブルーさんが代わりに戦ってくれるんだぜ?それに、ブルーの父親だからなんとなく戦いずらかったんだよな、本人が戦ってくれるなら、それで万事解決じゃん!


 ブルーはすぐにおっさんを睨む。


「お久しぶりですね、父さん、いや……ルー・ディザスタ」


「我が息子よ。父親に向かって名前呼びとは、舐めているのか?」





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