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拗らせ陰キャの異世界自己防衛ライフ 〜イケメンに転生してもガチ陰キャ〜  作者: 玉盛 特温
第3章 学園2年編

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第106話 才能の差というものを見せつけてやった




「正直に言ってます。この世界は、環境と才能と運ゲーです」


 俺ははっきりと言ってやった。


「じゃあ、君も環境と才能と運だけでここまで来れたと?そう言っているのか?」


「あ、はい」


 俺は適当に答えて、そのままブサの方へと詰め寄る。ブサは何しに来たんだこいつは、と言うように俺を見つめてくる。そして俺はブサを指さしながら、メガネ君に質問をする。


「えっと、ブサは努力不足なんですか?」


「そうだよ、出来ないのを人や環境のせいにして努力しようともしないじゃないか」


 ブサは言い返そうにも、諦めたように口を震わせる。何を言っても無駄と思っていそうだ。でも、俺が代わりに言ってやる。


「それは違いますね。ブサは努力しています」


「……え?チー?」


 ブサは顔を上げ、俺を意外そうに見てくる。


「ブサは努力してこれです」


 ブサは壁に頭を打ち付ける。


「人にはそれぞれ、遺伝子や環境、人間関係、容姿、才能……とにかく色んな要素が絡み合っていて、努力の有無に関わらず差が出るのは当たり前です」


「でもブサみたいな底辺から這い上がって強くなったやつを俺は知ってるんだ!」


 メガネ君は負けじと言い返してくる。なるほど、そう来たか。分かりやすいなあ。まさに、生存者バイアスと言う言葉がぴったりだ。


「えっとつまり、ブサも努力すればそいつみたいになれると?」


「そうだろう」


 メガネ君は即答した。その自信は一体どこから……。取り敢えず俺は、レッドにもした質問をメガネ君に問う。


「メガネ君に質問です。猿でもわかりやすい例を言います。不特定多数の100人を集めて、100人が同じ特訓をしたら、全員が剣聖になれると思いますか?」


「え?いや……全員は無理だろう」


 メガネ君は少し戸惑いながら答えた。


「分かってるじゃないですか。みんなそれぞれ体格も才能も遺伝子も違う。たった1人、才能に恵まれた奴がが剣聖になったからと言って、他の人もなれると思っていたら大間違いです」


「でも、やってみなきゃわからないじゃないか。行動すらしないで――」


「いや、ブサは行動しましたよ。俺は魔法を教えてやりましたが、ちゃんとやろうとしてました。あ、もちろん、何も行動もせず、その、雑魚のまま嘆くのは違うとは思います。自分の能力の限界を知ること、リスク、色んな事を考えた結果、行動しないというのも立派な戦略です。

 やった結果無理なら仕方無いです。あと、努力も才能の1つです。飽き性の人は努力も続きませんしね。全員が苦痛に耐えられると思わないでくださいよ」


 メガネ君は何も言わずにうつむく。俺は変なことなど言っていないはずだからな。何も言えないんだろう。ていうか、そんなことも分からなかったのか?いや、分かってはいるけど、自分の方が上という優越感のために、下のやつらを蹴り落としているんじゃないか。知らんけど。


「でも、俺だって、頑張って上位まで来たんだ……」


 メガネ君はまだ諦めきれていないのか、ぼそりとつぶやく。……こいつにも、底辺の気持ちを知ってほしいんだけどなあ。底辺だった俺はこの世界に来て、才能や遺伝子に恵まれ、剣聖や大魔法師というコーチにも恵まれ、何もかも上手くいった。


 しかも、俺よりもチートなブルーとも互角にやりあったし、この歳でボスゴリや、神声教団の自称幹部との闘いのプロにも勝った。これだけ成功体験を積めば、自己肯定感の低い俺でもさすがに、こいつらくらいになら余裕で勝てるだろうとも思える。


 圧倒的な力の差を見せてやれば、こいつらも底辺の気持ちを知るだろう。というか、最近俺自身の強さも認めてきて、完全に俺は調子に乗っていた。だから俺は、メガネ君に宣戦布告する。


「じゃあ、今ここで俺を、その、倒してみてください。あ、なんなら3人がかりでもいいです」


「え、は?いや、いくら何でも3人は舐めてんだろ。俺たちは学年でも上位だぞ?」


「早くしてください」


 俺はマスク越しにあくびをした瞬間、メガネ君……ではなくバリ髪君が一歩踏み出し、俺に殴りかかってきた。こいつは剣士科か?動きは速い……が、やはり凡人か。凡人は才能に勝てない……残酷だがこれは現実だ。


 俺は首を軽く横にずらし拳を躱し、そのままバリ髪君のみぞおちに拳を入れ込ませた。バリ髪君はそのまま胸を押さえて、床でのたうち回る。


 イケメン君はその間に詠唱を済ませていて、杖を俺に向け、中級魔法のアイスボールを3つ放ってくる。才能の差を見せつけるなら……。

 

 俺は中級魔法でも繊細な操作が必要なアイスニードルを無詠唱で発動し、向かって来るアイスボールを相殺した。ピシャンと砕ける音が響いた刹那、俺は驚いていて動けないイケメン君の顔面をぶん殴る。あ、いや、イケメンは個人的な恨みがあるから顔面をですね……。


 あっという間に二人がやられ、その場に立ち尽くすメガネ君。


「あ、メガネ君は来ないんですか」


「で、できるわけないじゃないか……ば、バケモノだろ……」


 メガネ君は顔を引きつらせ、足を震わせている中、俺はメガネ君にゆっくりと近づく。鳴り響く足音に、メガネ君の鼓動はどんどん早くなっていく。そして俺は顔を近づけ、言ってやった。


「できるわけない?いやいや、メガネ君も俺と同じようにできるはずですよ。でもできないってことは、”努力不足”ってことですよね?なんで頑張らないんですか?ねえ?」


 そのままメガネ君は何も言えずに、しりもちをついてしまった。俺はそのまま見下ろして、思う。


 ……ああ、気持ちいい、なんだこの高揚感は……大嫌いだった努力信者の思想を根本からねじ伏せるこの感覚……底辺だった前世からの成り上がったこの優越感……。ああ、神様……ハイスぺイケメン転生させてくれてありがとう……。


 まあ、こんな雑魚狩りしても、ブルーや神声教団には敵わないのは分かってるから、慢心はしないが。


 もうメガネ君の俺を見る目は、まるで悪魔を見るかのように怯え切っていた。……なんかやりすぎたかな……ブサや底辺がやられたことをやり返しただけなんだけど。これじゃ俺が80点の悪魔だって噂されちまう。


「……というのは冗談ですが、これで底辺の気持ちは分かりましたよね?」


 メガネ君はコクコクと大振りにうなずく。


「も、もうしない、だからもう許してくれ!ただ、気持ち悪くて自分より下のやつがうざかっただけなんだ!力を見せたかっただけなんだ!自分のしてきたことが否定されるのが怖かっただけなんだ!」


「よく言えました。そりゃ、人間ですから、いじめをしたくなるのは当然ですけどね。あ、もう行ってください。あと、次にブサに手を出したら、分かってますよね?」


 メガネ君は無言でうんうんと頷いて、イケメン君とバリ髪君を立たせて、引きずってそのまま教室を出ていった。


 ……なんか俺、今回だけ俺TUEEEの主人公みたいになってないか?まあ、学園内という狭い範囲でイキってもしゃあないけどな。





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