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拗らせ陰キャの異世界自己防衛ライフ 〜イケメンに転生してもガチ陰キャ〜  作者: 玉盛 特温
第3章 学園2年編

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第103話 楽しい楽しい尋問タイム





 さて、シオリーの問題は解決した。それは良いだろう。もう一つの問題が残っている。


 俺のせいで神声教団の幹部になり損ねたこのスキンヘッド。最初は殺そうとも思っていたが、今後のためにも神声教団の情報は知っておきたい。


 今後現れる幹部にも、無策よりは全然いいはずだ。どんな戦いでもそうだが、情報の有無で戦況は全く変わってくる。俺はまたナイフが刺さるなんて絶対嫌だからな。もう二度とあんな痛みや苦しみは味わいたくない。


 ……う、戦いが怖くなってきた。俺はユリアの騎士として護衛しなきゃいけない。もしまた戦いになった時、俺は今回みたいに動けるんだろうか。


 もう戦わないと逃げられない状況だから、戦えた。でも、幹部と戦う時、逃げるかもしれない。正直、他の人に任せたい。


「チー君?大丈夫?震えてるけど」


「え、あ、まあ、大丈夫ですけど」


「また何か隠してる?」


「……」


 それを言われたらなあ。俺は人間は何を考えているか分からない、常に隠し事や嘘をついている。だから隠し事はしないで欲しいとユリアに言っておいて、俺が隠し事をしたらダブスタってやつだ。


 しょうがないから正直に言うことにする。言ってしまえば、ユリアは確実にどう返してくるかは予想は付く。でも、言うしかなかった。


「もう、戦いが怖いだけです。もう二度と、あんな尋常じゃない痛みは味わいたくない」


「……そっか。ごめんね。私のために」


「いえ、別に」


「だったら、もう騎士はやめてもいいんだよ?チー君にこれ以上迷惑はかけられないもん」


 ほら。やっぱり言われた。


 俺とユリアを繋いでいるのは騎士という関係があるから。友達はその延長線上でしかない。つまり、騎士を解雇されれば、ユリアとの接点はほぼなくなるに等しい。


 ユリアは俺のことをめんどくさい奴と思っているのは確実。


 ユリアと離れるのは、別に嫌なわけじゃない。俺にはネクラやレッドもいるし。孤独にはならないとは思う。だけど、なんか、やっぱり嫌だ。なんだよこの矛盾は。言葉にできないけど、とにかくなんか嫌だ。


 ああもう悩んでたらイライラしてくる。とにかく、今後の戦いに関しては絶対に攻撃を食らわない立ち回りを徹底すればいいだけだろ。ブルーに絶対回避か受け流し術を学べばいいだけ。俺が怖いのは戦いじゃなくて”痛み”だ。


 だから騎士はやめねえ。正直、戦い自体はちょっとだけ面白いと感じた。ブルーとの戦いでも、今回のスキンヘッドでも、途中からは夢中になって戦ってた。


 それに単純に、俺の人生を10㎝くらい変えてくれたユリアは死なせたくねえ。だからやめねえ。


「いえ、騎士はやめません」


「え、でも、これ以上は」


「これは秘密裏に行動しなきゃいけません。ユリアが王族とバレるのはリスクが高すぎます。他の誰かに騎士を頼むのはリスクです。ユリアが死んでいいならそれでいいですが」


「……」


 ユリアは何かを考え込んでから、顔を上げてはにかんだ。


「チー君は優しいよね。でも、本当に、後悔しない?」


「まあ、はい」


「いつも通りの曖昧な返事だねえ。うん、今はそうしておく。私も離れたくないし……」


「はい?最後聞こえないんですけど」


「な、なんでもない、だから、これからもよろしくね?騎士様」


「あ、はい」


 ユリアに手を握られ、一瞬飛び退こうと構えたが、すぐに落ち着かせる。もう慣れて来たもんだ。まあ、今までユリアが接触してきても特に俺に害はなかったし。これ位ならと、俺の体の拒否反応も減ってきたんかな。


 まあほかの女子とはガッツリ拒否反応出るけど。


「先輩方、あの~、いちゃいちゃしてるところすみません」


 横からシオリーが顔を覗かせてきて、俺とユリアは速攻手を離して、顔を背け合った。マジでビビったわ。てかイチャイチャなんかしとらんわ!普通の会話だわ!


「あの人、目覚めましたよ?」


 シオリーはそう言ってスキンヘッドの方を指さす。縄でぐるぐる巻きにされているスキンヘッドが、眉間にしわを寄せ、イライラしたような視線で俺たちを見ていた。


「お前らあ、よく人の目の前でイチャイチャできんなあ」


「してないです」


 俺は即答しつつ、スキンヘッドの目の前に歩みを進める。もちろん、警戒は怠らない。いくらぐるぐる巻きでも、こいつは動いてくる可能性、ナイフで反撃してくる可能性もある。


 口に武器を隠してる可能性もある。ひとまず、こいつに今は敵意は感じない。俺はさっそく話を進める。


 まずはこいつに恐怖を与えて少しでもこちらに有利に話を進めることから。


「まず、今から俺たちに危害を加えるごとにあなたの指が一本ずつなくなって二度とナイフを握れなくなると思ってください」


「やめろやめろ!お前前世で人でも殺したんかあ!?」


お、人は殺してないけど、”妄想の中では”嫌いな奴を拷問して殺してたな。惜しいなあ。


「そもそもぉ……俺はさっきまで、なんで戦っていたのか分からねえしよお」


「え、はい?」


 どういうことだ?


「多分、俺ぁ利用されたんだろう」


「……なぜですか?どうやってですか?」


「脳に声が響くんだよ。魔素を届けろとか、”ユイ・ローレンティア”を捕縛しろとか」


 その瞬間、後ろに控えていたユリアが顔を青ざめ、一瞬「ひぅ」と声を漏らす。ユイ・ローレンティアはユリアの本名だったな。やはり神声教団はユリアを狙っていると。


 あとは声が響く……か。精神攻撃や洗脳の類か?色々情報を引き出せそうだ。


「あの……ほかにも神声教団についての情報を教えてください」


「あ、ああ。俺の他の奴らは知らんがあ、俺と同じなら、声で動いてるだろうさあ。解除方法は知らねえ。俺もなんで正気に戻ったのかは知らねえ。

 俺には家族もいる。正直、利用されたことは腸が煮えくりそうなくらいイライラするぜえ」


 なるほど。だから神声教団なのか。知らんけど。う~ん、他の情報、そうだなあ。


「何人くらいで活動してるんですか」


「ああ、俺が見た感じ、100人以上はいるなあ。あと、中でもやばいのが幹部の四天王だあ。俺もそいつらの実力は見たことないがあ、とにかくつええ。まあ俺もそいつら位つええんだけど」


「あなたの強さはどうでもいいです」


「ひでえなあ」


「その四天王の特徴は」


「ああ。さっきも言ったが、実力は見たことがねえ。でも、名前と能力はある程度わかる。大魔法師の”青龍”、聖剣かつ火魔法を操る”朱雀”、鉄壁の防御を持つ”玄武”、見えない速さで翻弄する”白虎”。ああ、ちなみにボスの顔は俺も見たこたあねえなあ」


 うわあ、いかにもゲームの四天王っぽい設定だなあ。一番相性悪そうなのは玄武か?俺は正直火力不足だからなあ。どれだけ硬いのかは知らんけど、工夫でもしないときつそう。


「俺が知ってるのはここまでだあ。そろそろこの縄痛いから外してほしいんだがあ」


 ……まあ情報は引き出せたし、対策はそれぞれ考えることはできそう。こいつ

は……正気に戻ったのが本当なら開放してもいいとは思うが……。嘘をついてる可能性もある。


 開放した瞬間にナイフ投げてきたりとか。一番安全なのは恐怖で縛り付けることか?俺が前世でされてきたように。逆らえないと思わせることで行動を制限する。


 ヨシ。俺は無表情で言い放つ。


「開放してもいいですけど……」


「な、なんだあ?」


「さっきも言った通り俺たちに危害を加えたら、分かりますよね?眼球ってどんな感触なんだろう、意外と大きいのかなあ」


「分かった分かった!危害加えるつもりはねえって言ってるだろうがあ!お前サイコパスかあ!?信じられないのも分かるが信じてくれよお!」


「もし破ったらユリアがあなたをぐつぐつ煮込んで鍋の具材にしますので」


「しないよ!?」


 ユリアのツッコみが入ったが、気にせず縄をほどいてやった。これで、ひとまずは一件落着か。


 こいつはひとまず自由にさせる。脅しはかけておいたし、スパイがいる可能性の高い学園に引き渡すのはリスクだし。たまにスキンヘッドにも協力してもらおう。


 もちろん、俺は完全に信じちゃいない。人間は簡単に嘘をつける。解放されるための嘘かもしれんからな。だから監視は続けるつもりだ。


 こうして、初めての神声教団との接触は無事終わった。





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