表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

79/376

アリシア帝国-1

 大型キャンピングカーを二台作る。一台は、水回り、キッチンと風呂、トイレを備えたものにした。もう一台は、荷物を運ぶスペースとベッドを八台設置した。馬車の底面は船のように滑らかに加工し、水漏れしないようにした。それから底面後ろには、以前作った水を発射する魔法陣を設置し、ウォータージェットの要領で川や湖を進めるようにした。うまくいくといいけど。


 馬車の試運転のために近くの森に向かう。らいらい研みんなでだ。旅に出た後に、いつ帰ってこられるかわからなかったので、先に常設依頼を受けておきたかった。

 馬車は、馬をつなぐこともあるから馬車と呼称したが、ここではケルベロスに引いてもらう。ケルベロスも四メートル級二匹で一台を引くことができた。なので、四匹プラス、こはる用に五メートル級のケルビーを呼んでおいた。

 王都の住民は、一緒にバッタを退治したのでケルベロスのことを恐れはしないのだが、この街を出たらそうもいかない。なので、ケルベロスに首輪をつけ、そこにキザクラ商会の紋章を刻印したプレートをつける。ケルベロスは一体に首が三つあるので、首輪も三つだ。

 馬車にも紋章を入れておいた。ちなみに、バラの蔓の輪を潜り抜ける猫の絵だ。ただし、必要がない時は、紋章は隠しておくことにした。何かがあった時にはキザクラ商会に迷惑をかけるわけにはいかないしね。


 森では、ホーンラビットやホーンウルフをそれなりに討伐して帰った。プラチナの僕らには全く手応えがなかったが、冒険者登録の更新が目的なので全く問題ない。また、馬車にも不具合はなかった。ケルベロスがガチで引くと、ぎしぎしときしんだけど。


 また、町では、旅に出るためにらいらい研の制服を新調した。もちろん、足首までのロングタイプだ。中はもちろん、僕とミカエルはスラックスタイプ、女性陣はキュロットと膝上のソックスとなった。僕の好みでではない。京子ちゃん達が決めた。

 皮のブーツも用意した。制服の中は、上半身は基本シャツだが、好きにしてもらった。コートタイプの制服が着られればそれでよし。僕らは基本的にスピードタイプなのであまり防具をつけない。あとは、フード付きのポンチョ。これも足首まであるタイプを用意した。


 それから、魔法銃も一応、人数分をいざと言うときのために用意した。こはるはつかわないだろうし、個人登録は、必要があったらすればいいだろう。カートリッジを付け替えるのがめんどくさかったので、ファイアバレットタイプとアイスバレットタイプと分けて両方作った。カートリッジタイプにしなかったことで、小型化できた。

 それと槍タイプの武器はこれまでどおり三分割できるようにした。かなでが鎌、京子ちゃんとこはる、ライラが薙刀になった。こはるとライラにはこの一か月、京子ちゃんが教えていたようだ。

 リリィとミカエルは片手剣と盾。この二人は、盾を背負って剣を腰。ちなみに両手剣の僕は腰に装備している。

 ちなみに、こはるはナックルも欲しがったので作った。

 さて、準備完了かな。出かけようか。




 王都を出発する。先頭はケルビーとこはる。一台目の馬車に僕とリリィとかなで。二台目に京子ちゃんとミカエルとライラとなった。流石に五メートル、四メートルのケルベロスが合わせて五頭もいると、盗賊も魔獣も寄ってこない。暇な行程となる。


 何日かして山脈の川に出るので船のように馬車を川へ浮かべて進む。意外とウォータージェットでも進むことが分かった。

 だけど、これはちょっと電池の消耗が激しい。改良しないと実用化は難しいと判断。残念。

 ケルベロスは泳げるようだが、川の両側の道なき道をを歩いてもらい、浮かべた馬車を引いてもらう。湖に着いたところで一泊する。


 こはるの母親が挨拶に来た。バッタの時のお礼を言っておく。欲しいものを聞いたら、お酒とのことだったので、探してこよう。美味しくないお酒を買ってきてはいけないので、ちょっとくらいは飲んでみようかな。やっぱり、自分たちで作れるようになるといいな。




 翌日、反対側の川を下って、ローゼンシュタインに出る。ローゼンシュタインでは気にせずケルベロスで領都に乗りつけた。この町では、キザクラ商会の紋章を掲げていれば、なんでも許される気がする。もちろん、ローゼンシュタインの紋章が書かれた旗も掲げた。おかげでスルーパスだった。


 兄上に挨拶をする。

 みな、夏休みに来ていたので、兄上は知っている。ライラだけ知らないかな。

 なので、ライラを紹介しておく。

 兄上は、「自分には一人も嫁に来ないのに」と呟いていた。

 そればっかりは僕にもわからない。決して何が悪いわけでもない。領地経営もできる、お金もある。

 ただ、こはるが背筋を震わせていたことからそれが原因と思われ。じゃあ、諦めるしかないかな、とも思う。こはるは僕らの誰よりも年上なのだ。


 せっかく来たのだから、工場にも顔を出す。それから、養育場のケルベロスたちもわしゃわしゃしておく。あんまり増えるなと言っておく。それとアン達に訓練をつけてもらって、風呂に入って夕食。父上も母上もいないこの屋敷は初めてかもしれない。


「兄上、アリシアへ行こうと思っているのですが、向こう側、何か変わったことあります?」

「まあ、経済的な危機に支援しているからか、だいぶこっちに対して軟化してきたぞ。リコラに寄って行くんだろ? 皆さんによろしくな。リコラは母上が干物を勧めたおかげで対応が良くなってきた。おかげで食糧危機に貢献できたって言っていたよ」

「では、全体的に経済危機も落ち着いてきたのですね」

「そうだな、まあ、自分の目で見たらいい。バッタの被害は大陸中央部だけだったみたいだし、まあ、大丈夫じゃないかな」


 ライラがほっとしている。


「ところで兄上、シュタインが他にどこにいるか知っています?」

「なんだそれ」

「うちがローゼン、川の向こうがリコラ、他にもなんとかシュタインっているのかなって」

「うーん。聞いたことないな。リコラとは昔同じ一族だったって聞いたことがあるけどね。もしかしたらいるかもしれないね。見つけたら教えてよ」




 翌日、朝食をとってから出発する。

 今回は、ローゼンシュタインから猫、第三世代のサキガケ、ライコウ、シロタエにリッカを連れていく。


 領都の西にある砦を通って、川の橋を渡る。そうして、アリシア側の砦も通る。

 身分証を求められるので、皆で冒険者カードを出す。

 ケルベロスにも引かれるけど、プラチナランクにも引かれる。年齢とランクが一般的な基準とあっていないのもあるかもしれない。


 ここまで順調だったものの、リコラシュタインの領都に入る門で止められる。流石にケルベロス五頭はダメか。

 兄上に書いてもらった紹介状とライラの顔で領主のカインズ様に取り次いでもらう。そのあとは、領都の騎士団に囲まれて領主の屋敷までいく。


 出迎えてくれたのは、カインズ様、ビクトリア様、カトレア様の三名。僕は自己紹介とメンバー紹介をしておく。

 カインズ様たちは、こちら側にこの国の第四皇女がいるため、僕にまで丁寧な対応をしてくれる。

 僕は帝国の帝都に行くと目的をつげておく。

 詳しい話は、カインズ様と二人でしたいとお願いする。

 日がでているうちに皆に買い出しを頼んでおいた。僕はカインズ様と話をするために別行動だ。

 兄上としたのと同じような話をカインズ様とする。


「シュタイン? 他にもいるのかなあ。聞いたこともないけど。それとなんだっけ、ケルベロス? 皇子や皇女が召喚した、君達が連れてきたやつでしょ? あれも自然では見たことないよ。どこから召喚をしているのか? 全く想像もできないね」


 それと、他の種族について聞いてみる。ドワーフについては、ガンツ達に聞いても西の方以外わからなかった。


「ドワーフの国自体がさらに西の国の北の方の鉱山があるところ、その辺りを国としているらしいよ。らしいっていうのは、国境が曖昧なんだ。エルフはね、巨大な森があると、大抵そのどこかにいるらしい。森から時々でてくるんだけど、どこに集落があるのかとか教えてくれないんだ。ローゼンシュタインもだろうけど、このリコラシュタインでもエルフにはお世話になっている。それでもね、そういう情報は全く教えてくれないね。彼らは連絡を取れるみたいだけど。もしかしたらマイリスブルグのどこかにも住んでいるかもしれないね」


 と。情報があったのかなかったのかわからない感じで聞き取りは終了した。




 皆が買い物から帰ってきて、馬車に荷物を積んでいく。


「何か面白いものあった?」


 と聞くと


「売っているものはあまりローゼンシュタインと変わらないわね」


 と京子ちゃん。


「ただね、冒険者だから冒険者ギルドに顔を出してみたんだけど。テンプレだった」


 と、げんなりした様子。見渡すと、こはるがむふーとしているから、こはるが絡まれたんだな。というか、全員が絡まれた上でこはるが何かしたと。

 そうか。と、こはるを撫でておく。でも、せっかくだから、僕も見たかったな。


 あ、そうだ。ちょっと思い出したことがあるので、僕は一人で出かける。いや、かなでとリリィがついてきた。エルフについて、なんで聞かなかったのかな。キザクラ商会はほぼほぼエルフなので、聞けばいいじゃん。

 キザクラ商会の支店長のエルフに聞いた。どの辺に住んでいるの? って。理由? うちの商会やアイドル達って、エルフなので、これだけ派遣してもらっているのだから、お礼でもと。

 結論から言うと、教えてもらえなかった。エルフの地は、知られてしまうと奴隷目当てで襲ってくる盗賊がいると。そういえばラノたちは奴隷だったな。

 それと、こっちが深刻なのだが、アイドルもキザクラ商会も女性しかいない。エルフが。確かラノたちに聞いた時は、繁殖欲が薄いから、女性が働きに出てしまっても問題がない、と言っていた。

 しかしながら、ここまで抜かれると、流石に不満が溜まっているようだ。

 じゃあ、引き抜きをやめるかと言う話になったが、すでにエルフ達は京子ちゃんがデザインしたエルフ用の服などをさんざん披露しており、エルフの女性陣としては、キザクラ商会に勤めることが目標であり、勤めていることがステータスなのだそうだ。

 現在は、職員の募集が少なくなっているため、キザクラ商会のさらなる拡大を望んでいるとのこと。

 さらにいうと、さっきの奴隷問題。キザクラ商会のバックがばれていることもあり、商会の社員を攫おうなどと考えるものはいないだろうとのこと。よって、キザクラ商会の社員になることで、身の安全も確保されている。

 とはいえ、男性陣の雇用を考えるか? そうすると、里自体がなくなるな。

 男性陣は何が得意なの? と聞くと、男性陣にできることは女性陣にもできる。なので、男性という性別で雇うメリットはないそうだ。キザクラ商会の幹部がそういう考えなら、無理だろうな。エルフ、絶滅しちゃうかな。




 帰り際、ついてきたリリィが赤い顔をしてぶつぶつ言っている。どうしたのか聞いたら、余計に耳まで赤くして、


「エルフ達の話を聞いたらさ、私たちに繁殖欲があるみたいじゃない」


 と言った。

 聞いた僕がバカだったが、そっとしておこう。個体としてないことはあっても、種としてない生物なんてないんじゃないだろうか。エルフが片足突っ込んでいるけど。




 翌日、カインズ様に紹介状を書いてもらってさらに西に向かう。

 第四皇女がいるんだから、紹介状は必要なのか? とカインズ様は言っていたが。ないよりあったほうがいい。

 次は、ハミルト領だ。

 街道を進んでいても全くトラブルもない。広大な景色が広がっているだけだ。

 時々商人達とすれ違うが、ほぼ避けられる。ケルベロスがいては仕方がないだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ