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高等学園3-8

 父上となぜか僕が王宮に呼び出される。謁見の間でなく会議室だ。そこには王様と宰相様がいるだけだ。おそらく、父上も引退した身なので、来るべきは兄上だったのだろう。仕方なしの二人か。ということは急な出来事だな。まあ、わかる。事実、地方に展開しているキザクラ商会からすでに連絡を得ている。


「そういうわけで」


 説明を省きすぎだろう、宰相様。


「ローゼンシュタインから食料等の支援を受けることはできるだろうか」


 と、事態が収束した後のことを相談してくる。


「その件に関しては、テイラーに伝えますが、ご存知の通り、我が領は隣国アリシアへの支援も行っております。これによってそちらを止めてしまうわけにはいきません」


 うーむと悩む宰相。徐に国王が口を開く。


「なあ、グレイス、バッタどもをドーンとやってバーンとやる魔法とか魔法具とかないか?」

「いや、国王様、確かに疲れているのは目に見てわかるのですが、その言い方はどうかと」


 だが僕は考える。しかし、なかなか思いつかない。相手はバッタ。おそらく燃やすのが一番。水に濡らしたところで、弱りもしないだろう。それに、


「バッタは地上と空と両方から攻めてくるのですよね?」

「うむ」


 と、国王様。的が広すぎる。殺虫剤、ない。あってもどれだけ撒いたらいいかわからない。この世界だと、人海戦術しかあり得ない。


「これまで、バッタはどのように対処されてきたのですか?」

「ひたすら網で集めるとか、夜に火を焚いてよってきたところを燃やすとかしかできない。網を使った大掛かりな仕掛けを作って集めたこともあるが、あいつらは網を破るので、それも難しい。結局は人海戦術となる。畑に近づかないように追い払うとかな。だが、基本は被害を抑えつつやり過ごす。被害に遭ったときのために備蓄しておく。そんなことしかできない。だが、今年のバッタは大きいのだ、被害は例年の比では無かろう」


 そうだよな。それに、大きいと言っても二十センチくらい。人が狙うにしては小さい。小さくてすばしっこいものを追いかけ回すのは難しい。魔獣に剣を突き立てるのとはわけが違う。ということは大きな魔法で数を減らして、漏れた大多数をシラミ潰す。となると大規模魔法が必要か。


「国王様。焦土に変えてしまってもいい、大きな土地はありますか? どうしても燃やしてしまうしか手がありません」

「村と村、街と街の間の草原だったら、致し方ない。来年にはまた草が生えてくるだろう。それで、案はあるのか?」

「いえ、どうやって燃やすかを考えます」


 しかも、この広大な大地でどうやって集めて燃やすか。

 すると、宰相が気になることを言った。


「あいつらはなぜか街に向かって飛ぶ。そこに畑や食料があることを知っているかのようにな。だから、街と街の間で張っていればそれなりに叩けると思う。それができるのならだがな」


「伝令! ナイマールの領都がバッタの大軍に飲まれたとの報告。住民らは建物内に立て籠もり、バッタが去るまで耐える方針。現在、領都周辺の畑を食い荒らしており、足が止まっている模様。ですが、おそらく食べ尽くすまで一日、そして、王都までやってくるのに一日と予想されています」

「明後日にはくるというのか? この王都に」

「伝令! ルワットが」

「ウェンスターが」


 と同じ報告が続いた。


「陛下、申し訳ないのですが、前線に僕達を出させてください。それと、人々を襲わないとお約束しますので、ケルベロスの投入を許可してください。人が潰すより数倍早く潰せると思います。私も爆発の魔法を使いたいと思いますので、できれば、兵士達は私より後ろに」

「その魔法を撃てる者は?」

「この魔法を撃てる者はいません。しかし、火の魔法を使える人なら兵士達や冒険者にもいませんか? なるべく前にお願いします」

「だが、ファイヤボールやファイヤバレットくらいの初級、中級魔法で、バッタを燃やすことはできるが、バッタの方が俊敏だし、それらの魔法の範囲は狭く効果は薄いだろうな」

「それでもお願いします。それと、ヒーラーを前に集めてほしいです」

「バッタ相手に兵士たちでは数は倒せないと思うが、逆に怪我などもさほどしないと思うが?」

「体力等考えれば、いつ終わるかわかりませんので、体力回復のためにお願いします」


 といって、僕は準備をするために部屋を出ていく。



 部屋を出ると、アンディが待っていた。


「呼ばれたって聞いたからな。仲間は集まっているぞ」


 と、ありがたい。


「お願いがあるんだ。作戦を聞いてほしい」


 王宮のアンディの部屋へ行く。


「基本的に人海戦術になる。ファイヤボールなどは範囲が狭いし、避けられて効率が悪いだろう。僕は、爆発魔法でそれなりに範囲攻撃をする。それで、みんなには前線に出てほしい。多分、プラチナを持っている僕らはかなり強い。前線でやっていけるだろう。体力が続けばだけど」


 僕は簡単に地図を示して説明を続ける。


「で、王都の畑の前に陣取る。ナイマール側に僕とこはる。ルワット側にソフィ、ミハエル、フラン、リリィ、そしてライラ。みんな、ライラを守って。それからウェンスター側にアンディ、ボールズ、クララ、ケイト、ジェシカとビビアン、そしてオリビア。バッタが到達するのが二日後。それまでに、オリビアとライラは可能な限りケルベロスを召喚。小さくていい。数をだして。二人はそれで下がってほしい。魔力が尽きて動けなくなるはずだから。後は、バッタが来たらケルベロスと一緒に残りのメンバーで殲滅戦。王国の兵士達もいるから大丈夫。無理はしないで。それに、多分、ケルベロスが一番バッタに対して攻撃性が高い。それと、フラン、ローゼンシュタインのケルベロスも呼んで」

「中央は二人しかいないけどそれでいいのかよ」


 と、ボールズが気を使ってくれる。


「僕は範囲攻撃をするから多分みんなより大丈夫。それにこはるはね。わかるでしょ」


 と説得する。


「相手はバッタだからさ。僕ら人間が死ぬことはないよ、きっと。だから後は、どれだけ被害を減らせるかなんだと思う。西の四都市はかなりやられちゃったみたいだけど、ここより東、それと南が無事なら、きっと食糧難もなんとかなるよ。じゃあ、明日出ようか。決戦は明後日だ」


 僕たちは王宮を出て準備に入る。戦場で一泊するのだ。それなりの準備が必要。

 僕とかなで、ミカエル、こはるはローゼンシュタインの屋敷に戻る。

 その途中、後ろからついてくるマイヒメを捕まえ、持ち上げる。おでことおでこをくっつけてお願いをする。

 マイヒメが「にゃーん」と鳴くので地面に置いてやる。すると、マイヒメは走り去っていった。

 屋敷に帰ったところで僕は母上にお願いする。


「母上、黒薔薇を貸してください」

「いいぞ、私も行くがな」

「可能なら、ヒーラーとしての役割を期待したいです」

「いいのか? それなりに戦えると思うが」

「その辺は臨機応変に。それと騎士団はどうするのです?」


 と聞くと。


「フリッツが王と一緒に出るって言っていたぞ」


 王様、やっぱり出るんだ。


「わかりました」


 と、返事をして打ち合わせを終える。


 夜になったところで、こはるにお願いをする。こはるは闇夜に紛れて飛んでいき、朝方には帰ってきていた。



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