表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

69/376

高等学園3-6

 僕たちが家に帰ると、案の定、訓練場を囲む黒薔薇と騎士たち。

 その真ん中で、わしゃわしゃしているかなで。

 母上とシャルロッテ様もケルベロスの頭を撫でている。

 シャルロッテ様って謎だよな。母上が強いのは知っているが、シャルロッテ様は近づいて大丈夫なんだろうか。母上がこちらに気づく。


「母上、今帰りました」

「おう、おかえり。ところでこの子どうするんだ?」

「明日、一緒にローゼンシュタインに連れて行こうと思います」

「そうか。だが、街中は通れんし、入れんぞ」

「はい、僕らは街の外で野営でもしようかなと思っていますので、問題ないです」

「ローゼンシュタインの街中は?」

「フランに先に養育場に言ってもらい、そこへ召喚してもらいます」

「そうか」


 と母上は納得する。


「街に入れなくて、風呂とか困らないか?」


 と母上が聞いてくるので、


「大丈夫です。風呂付きの馬車を作ってありますので」


 いわゆるキャンピングカーだ。また、変なものをと、母上が言っているが。ほっておこう。じゃないと絶対に欲しがられる。


「ケルベロスは、今日はこの訓練場で大人しくさせておきますね」


 ということで今日のところは解散した。

 本当は、こはるにかなでを連れてローゼンシュタインの養育場へ行ってもらい、召喚してもらおうかとも思った。だが、せっかく移動手段を得たこはるが、一緒に旅をしたいかなと思って、連れていくことにした。




 翌日。王都の外に集合した。ローゼンシュタイン家と皇国の護衛とで結構な人数だ。

 ローゼンシュタインが皇女の護衛をするということで、皇国の人たちは先にリコラシュタインまで行こうかという話になったが、道中の資金をこっちが出すと言ったら、同行することになった。

 まあ、人は多いに越したことがない。それと、僕らは野営をしないといけないので、その時の警備をお願いしておいた。こっちにも、メイドのアレクを筆頭とした四名プラスベティがいるけどね。


 僕たちは順調に旅を続け、まあ、これだけいれば盗賊も寄ってこまい、グリュンデールに寄って、さらに進んで山脈と山脈の間の盆地にある湖にやってきた。ここで一泊する。


 野営をしているときに、こはるの母親が挨拶にやってきて、うちの騎士団と皇国の騎士団をどちらも怯えさせていた。

 流石の黒薔薇でもビビるか。母上とシャルロッテ様は目を輝かせていたけど。

 これまでもここを通っていたけど、こはるが一緒にいるのは今回が初めてなので、やってきたようだ。

 皇国の騎士団はこのことを報告するだろう。すると、なおのことオリビアを王国に嫁に出す理由が増える。アンディは皇国の騎士団に訂正を入れていた。


「ドラゴン達は王国についているのではない。グレイスについているのだ」


 と。

 そうなのかな、こはるを見ると、うんって言っている。

 そうか、それはそれで嬉しいな。

 この件のおかげで、後日、皇帝の四女がローゼンシュタインにやってきたが、それはまた別の話とする。


 湖を出て川を下ったところにある森でちょっとだけ魔獣討伐をする。討伐証明をローゼンシュタインのギルドで提出する予定だ。こういうのは早い方がいい。

 ただ、ローゼンシュタインがホーンラビットを養育していることは知られているので、違う魔獣にしたい。

 そんな心配をしていたが、ケルベロスが大活躍。

 匂いを辿ってゴブリンやらオークを見つけては狩ってくる。討伐証明の耳や角を集めて後は焼いてしまう。二十も集めればいいだろう。

 っていうか、こっちの森にもいたんだな。普通の魔獣。


 ローゼンシュタインの領都が見えてきたところで、かなでに先に行ってもらい、ケルベロスを召喚してもらう。こうして、領都へ入る。


 屋敷に着くと、兄上が出迎えてくれた。今日は皇国の騎士団たちも屋敷に泊まり、明日には川を渡ってリコラシュタインへいく。

 ちなみに、橋はかかっているよ。川のこちら側にローゼンシュタインの砦、あっち側にリコラシュタインの砦があるけどね。そうしないと商人さんたちが困っちゃうから。


 今日の夕食は、訓練場での大バーベキュー大会になった。ちなみに、両騎士団による手合わせは厳禁で。

 お互いのメイドたちも触れ合っている。

 接待はこちらのメイドがするから、という理由で、皇国側には寛いでもらった。

 皇国騎士団には、意外と締めのラーメンを気に入ってもらった。なので、麺の作り方とラーメンスープを皇国のメイド長に渡しておく。スープは買ってね。


 うちのメンバーも楽しんでいる。


「オリビア、このローゼンシュタインのお風呂は最高ですのよ」


 とはクララ。


「後でご一緒しませんか?」

「いいねー、みんなで入ろう!」


 というのはリリィ。

 君のうちじゃないけどな。まあ、楽しんでくれればいい。リリィは僕を見て、


「グレイスー、覗かないのかよー」


 と聞いてくるので、「お前はな」と言って白い目を送っておいた。




 翌日の朝食前、僕は王都で作った招き猫の祠をキザクラと出会ったベンチの横にも設置。手を合わせていると、京子ちゃんたちもやってきて手を合わせてくれた。ありがとう。


 朝食をとった後、ケルベロスについて相談する。今日、リコラシュタインに向かう皇国騎士団の団長を無理やり養育場に連れていき、ケルベロスを見せる。

 あれ、大きくなっているよね。しかも、二体の腹も大きい。

 一番大きかったのがオス、小さい二体がメスだったらしい。

 一メートルくらいだったチビも二メートルを超えていて、妊娠したようだ。何匹産むんだ、君たちは?

 ちなみに、ただでさえ強いので、魔力ぐるぐるはしない、つもりだ。

 で、この子らの処遇を騎士団長に聞くと、今の状況では間違っても皇国では飼育できないとのこと。ということで、預かってくれと言ってきた。というか、もらってくれと言っているに近かった。

 ラミリスとオリビアが呼んだんだけど。と、一応、釘を刺しておく。その二人が再び召喚したら、ここから飛んでいくのではないかと騎士団長は理解したらしく、逃げ帰ってしまった。

 まあ、うちの工場的には、電池の充填に貢献しているらしいので、是非もないのだが、これまたホーンラビットが修行するのでそれはやめてほしい。


 皇国の騎士団長がいなくなってしまったので、オリビアと確認する。万が一にも王国と皇国間で何らかのトラブルがあっても、お互いケルベロスは利用しない。と。ということでうちで預かることになった。


 皇国のオリビアのお供達は、オリビア専属メイドを残してリコラシュタインへ向かった。なんともまあ、信頼されたものだ。




 さて、夏休み。やっぱり、ローゼンシュタインといえばビーチである。オリビアは昨日のうちにうちのメイドにサイズを測られ、水着を作られている。他の女性陣も一応計ってもらい、成長している場合は作り直してもらった。成長していたらな。

 男性陣は特に変更なしなので、先に出てきて海に入っている。

 すると女性陣がやってきた。みな、お揃いのパレオつきビキニである。

 オリビアは初め恥ずかしがっていたらしいが、皆が同じ格好なのに安心したようだ。

 いろいろよかったな、とアンディにいうと、そっぽを向いて「何が?」と答えている。こらこら、沈んでいくな。

 クララ、ケイト、オリビアがアンディを囲んで、


「どうですか?」


 とか


「成長しましたか?」


 とか聞いているので、そのやりとりを無視して、僕らはバレーのコートを作り始める。

 いつまでもアンディたちがいちゃついているので、ボールを一個投げ、


「オリビアにバレーを教えておきなよ」


 と言っておく。四人は海岸近くでレシーブするところから始めていた。

 僕らはバレーで汗を流し、休憩がてら海につかり、と夏のビーチを楽しんだ。

 かなでが


「なまっているだろうから」


 という理由でケルベロスを全召喚し、海岸を走らせる。ボールを投げてやると喜んで海に飛び込んでいた。妊娠中の奴ら、大人しくしてろ。


 昼はラーメンを食べてちょっと休む。その後は、黒薔薇の訓練に参加。オリビアも槍を持っていた。それなりに皇国でも訓練してきたのか、様にはなっていたが、結局アンに型から入らされていた。基本だからな。

 京子ちゃんとかなでも一緒に薙刀とか鎌を振っている。ちなみに、京子ちゃんもかなでもここで習ったことは王都でも毎日やっているので、かなり強くなっている。

 そうそう、オリビアにもらいらい研の制服、黒薔薇騎士団団服を模したあれ、渡してあるよ。ただ、皇国の軍で使わないでね、と言っておく。王国でも流行らせていないのだ。他の国で採用されては困る。猫が入るコートなんて、どこにもない。

 オリビアは、こっちにきた時しか着ないと言っていた。とはいえ、アンディとオリビアが婚約して完全に同盟を組めばそういうのもありだろうな。と思う。


 こうして、ビーチで遊んで、黒薔薇やホーンラビットと稽古して、街中を散歩したりショッピングをしたり、また、森まで行って魔獣を狩ったりして、あっという間に夏休みが終わる。




 僕らも王都に帰らないといけない日、オリビアもリコラシュタインへ渡っていく。女性陣はオリビアと別れを惜しんで、話をしていたが、やっぱり最後はこの男だ。

 オリビアはアンディの前に立ち、さらに五センチ踏み込んだ。そして、上目使いで


「必ず戻ってきます」


 と言った。

 アンディは、


「ああ」


 とそれだけ返す。それで全てが伝わったようだ。オリビアはローゼンシュタインの騎士団とともに、砦をぬけ、橋を渡り、アリシア帝国領へ帰って行った。


 僕らも王都に向かうことにする。

 悩んだ末、ケルベロス大、オリビアが召喚した個体は王都で飼うことにした。そうしないとこはるが別行動になってしまうためだ。

 父上と母上と相談した結果、訓練場に柵をつくり、そこで飼育することで落ち着いた。かなでと時々王都の外に連れて行ってやろう。


 僕らもトラブルなく王都へ戻った。




 二学期が始まった。僕らは普段通り授業を受けていた。しばらくすると、オリビアとの再会が予想以上に早く訪れた。それは、こんなニュースからだった。


「アンドリュー王子殿下、ご婚約!」

「クララ公爵令嬢に続き、アリシア帝国第三皇女オリビア姫、ケイト伯爵令嬢」


 と。

 僕は、アンディに「やるな!」と声をかけると、


「政治だ政治」


 と言って照れていた。

 ケイトにも突っ込みを入れると嬉しそうだった。そうして、オリビアも王国に戻ってきたのだった。三人とも仲がいいしね。よかったね。と僕も遠い目をする。


「ねえねえグレイス」


 というのはリリィだ。


「アンディは三人と婚約したんだね、すごいね、グレイスはまだ二人だね。負けているよ?」


 と言ってくる。

 僕は苦い顔をする。なんでこんなことをリリィが言ってくるかと言うと、国王から次のようなお達しがあったからだ。


「一緒にきた第四皇女については、ローゼンシュタインが受け入れること」


 と。

 つまり、三人目はどうするのかと。

 そもそも、なんで第四皇女が来ているのかもわからない。なんでうちが受け入れないといけないのかもわからない。

 くそー、アンディが企んだに違いない。

 アンディをにらむと、目をそらされた。

 とはいえ、ドラゴンの件もあるに違いない。

 ちなみに第四皇女は一年生に編入している。編入だ。留学ではない。京子ちゃんは頬をぴくつかせていたが、かなでは、


「私は陵様についていくだけですから」


 と相変わらずだった。リリィは、こはるの


「妾が三番目だから、グレイスはもう十分に婚約しているぞ」


 という意見に、膝をついていた。

 ちなみに、第四皇女は、誰の入れ知恵かわからないが、かつてのリゼ並みの金髪縦ロールのツインテールだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ