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高等学園2-9

 夏休みを実家で過ごして帰ってきた。久しぶりの王都だ。

 夏休みもすぐに終わり高等学園が始まる。そうするとすぐに秋がやってくる。なんて思いながら外を眺めていると、いつもよりせわしなく感じる。

 王都に入る前の広大な畑でも、農夫さん達が忙しそうにしていたような。まだ、収穫の時期でもあるまい。気のせいかな。と気にしないようにしていると、僕の疑問に気づいたのか、アンディが教えてくれる。


「今年は、十五年バッタの発生年なんだ」


 と。何? 十五年バッタって。前の世界では八年ゼミとか汽車ヤスデとかいたけど、そういった感じで何年かおきに発生するアレか? 

 と、聞くと、そのとおりだという。

 昔から十五年周期で発生するため、対策はそれなりに取られているらしい。今みたいに、収穫を早めるとか、食料を備蓄しておくとか色々らしい。


「グリュンデールではあんまりそんな感じじゃなかったけど?」

「発生は、この大陸の中央部が中心なんだ。山脈の南のローゼンシュタインでは聞かないだろう」


 とのこと。なるほどね。知らなかったわ。というか、前回の発生は生まれる前だし。アンディは説明を続けてくれる。


「このバッタの厄介なところは、被害を及ぼすときと及ぼさないときがあること、被害を及ぼすときは、甚大な被害を被ること。また、バッタなだけに駆除するのが困難なところだ。何せ、空を埋め尽くすくらいに飛んでくるそうだからな」


 え、前世でもテレビで見たことがあるよ。あれか。あんなのが飛んできたら農作物どころか、いろんなものが食べられちゃうだろうな。


「それで、今年は当たり年っぽい。バッタは西で生まれて、西からの風に乗ってくるんだが、その西風が強い年にバッタが広がり、被害が出る。今年はその西風が強そうだと占いで出ている」


 まあ、占いだろうな。こっちに気象予報士なんていないだろう。


「へぇ、そうなんだ。帰ってこなかった方が良かったのかなぁ」


 バッタ、嫌いではなかったけど、大量にこられると気持ち悪いだろう。それに大量になりすぎても佃煮すら作りたくはない。


「僕らは学生だから、そうも言っていられないだろう。留年もしたくないし」

「対策ってどうなっているんだ?」

「収穫を早めたり蓄えたりする以外は、郊外で騎士団が火を焚いたり、ネットで集めて燃やしたり、その程度しかできない。正直、通りすぎるまで家の中で閉じこもるしかないんだ。まあ、一週間くらいだな」


 と言っていた。どこの世界も、自然に対しては無力だなー。と思った。


 それぞれの家が近づくと一人また一人馬車を降りていく。その度にメイドが一人ずつ家の前まで送っていく。去年のようなことはないとは思うが、念のためだ。冒険者ギルドへは明日みんなで行くことにした。

 こうやって一人一人送りながら家に帰った。


 家に帰った時には夕方になっており、お風呂に入って食事をした。

 夜になると、こはるが帰ってきた。お腹が減っていたのか、メイドさんに夜食を用意してもらっていた。簡単なものでいいからと、ラーメンを食べていた。夜にラーメンは美味しいけど、太るんだよね。




 翌日、朝早いとギルドは混んでいるだろうからと、昼前に行くことにする。

 みんなで家に集まり、今日は歩いていく。僕たち男性陣がリュックにツノを詰めて背負う。

 王子様に背負わせていいのかとも思ったが、「今は冒険者なんだ」と。

 それに、こはるがいると馬車に乗れないから。まあ、街は歩きながら移動するのが楽しい。こはるが露店に吸い寄せられるのが問題なくらいだ。

 王都は平和なので、護衛もベティしかいない。いや、後ろからマイヒメがついてくる。ということは他にもいるな。


 冒険者ギルドに皆で入っていく。ゾロゾロと。この時間は空いているので、この人数でも怒られたりしないだろう。受付も空いているのでお姉さんのところへ行く。ここからリーダーのアンディが説明する。


「お忙しいところ誠に申し訳ありません。冒険者の更新についてなんですが」


 王子と知っているお姉さんはビビる。


「いやいやいや、王子様がその様な言葉づかいはどうかと、頭も下げないでください。お願いします。私、殺されちゃいますから」


 と他の職員に助けを求める。


「あの、ここには一冒険者としてきていますので、気にしないでいただけると嬉しいです」


 と、アンディが扱いについてお願いをする。元国王たちもぞんざいに扱われているしな。

 それならばと、


「絶対ですね、私殺されませんね」


 と確認をとって、お姉さんは話を聞いてくれることになった。


「僕達らいらい研なんですが、冒険者登録をして一年間以上活動をしなかったので、現在取り消し扱いになっていると思います。それで、常時依頼の魔獣討伐をしてきたので、それで更新をしてほしいのと、一人、らいらい研のパーティに追加という形で冒険者登録をお願いします」


 と、アンディがギルドに来た理由を説明する。


「わかりました。それでは皆さんの冒険者カードを出してください」


 と僕ら十二人のカードを受け取る。


「それと、登録したい人はどの人ですか?」


 と聞いてくるのでこはるを前に出す。


「この子です」

「え、小さくないです?」

「妾は貴様より年上だぞ?」


 と、こはる。

 お姉さんにわかるかな。お姉さんは引き攣っていたが、「わかりました」と言って冒険者登録の手続きをしてくれた。


「それでは、常時依頼の討伐証明をこちらにお願いします」


 というので、男子陣はリュック四つをカウンターに置く。


 「出してもいいですか」と確認をとったのだが、「そんなにあると困るのでリュックのままお願いします」と言われたからリュックのままの提出となった。

 お姉さんは検分していく。


「こっちはホーンラビットですね、うふふ」


 と、僕らにふさわしい成果だと思ったのかな。


「結構ありますね。頑張りましたね」


 と褒めてくれる。で次のリュックを見る。


「あれ、こっちはホーンウルフですか? こちらも結構ありますけど、大変じゃなかったです?」


 と気遣ってくれる。


「こっちの二つは一緒かな?」


 と言ってお姉さんはリュックを覗く。


「あれ、この太いのは……えっと、もしかしてホーンボアですか? これ、危険なやつですよ? 君達が倒していいような魔獣じゃないですよ?」


 と、顔に疑問を浮かべて僕らを見る。


「いえ、僕らが倒した魔獣ですよ」


 とアンディ。

 お姉さんは、王子を疑いたくはないが、仕留めたとは信じられない様子。アンディとツノの間を視線が行ったり来たりしている。

 それを見かねたのか、ギルドの奥からやってきた爺さんず。あ、久しぶり。

 アンディが「お祖父様たち」と言いかけたが、爺さんずは指を唇にあてていた。


「その子らの実力は本物じゃよ。それらもこの子らが倒したに違いないて」


 とフォローしてくれる。すると、お姉さんはわかりました。と言って、最後のリュックを覗く。すると固まった。ギギギと音がしそうな感じでゆっくりとこっちを見る。そして、


「しばらくお待ちください」


 と言ってリュックを背負ってギルドの裏方へ走っていく。あれ、逃げたのかな? と思っても仕方ないような走りっぷりだった。

 しばらくすると、お姉さんはリュックを背負ったまま走って戻ってくると、そのまま二階へ走って行った。若いお兄さんを従えて。

 うーん、なんだろうな。

 しばらくしてお姉さんが帰ってくる。お兄さんは裏へ戻っていく。


「ちょっと二階へ来てくれるかしら」


 と言ってくるので、僕ら十三人で二階へ上がる。二階にある会議室に通されると、奥にはごついおっさんがいた。


「俺はこのギルドのマスターをしているジョーンズという。お前たちがらいらい研だな。まあ、王子様も貴族様もいるパーティだと知っているが、今は冒険者として扱わせてもらう」


 と、前置きをしたうえで、


「ここにあるのはなんのツノなんだ?」


 と聞いてくる。それに対してアンディが答える。


「ホーンベアとホーンオーガの角です」


 なるほど、とジョーンズ。


「ではこれらはお前たちが倒したのか?」

「説明をする前にお姉さんが走り去ってしまったので、機会を逃してしまったのですが、そこには、ホーンベアのツノが四本あると思いますが、二本は僕達が、残りの二本はローゼンシュタイン家に勤めるメイドが倒しました。それと、ホーンオーガの方も、二本が僕達、三本がメイドになります」


 と正直に。ジョーンズは小声でお姉さんに確認をとる。お姉さんは頷く。おそらく、全部自分たちで倒したと虚偽の説明をしていないことの確認だろう。


「このホーンベアはともかく、ホーンオーガはお前達のようなひよっこが倒していいものではない。メイドが倒したっていうのも驚きしかないが、全てをそのメイドが倒したわけではない、っていう証明が欲しいな」


 うん、疑われているんだな。


「メイドは我が家におりますので呼んできますか?」


 と僕。


「いや、メイドは冒険者じゃないから、うちの管轄じゃない。君達の実力を知りたいと思うんだが、どうだろう。このホーンオーガはゴールドクラスの冒険者パーティが倒す魔獣なんだ。しかも一パーティで一体を」

「あ、僕達はこの人数なので、おおよそ半分ずつにメンバーを分けて二体を同時に相手しました。なので、人数が多いっていうのも倒せた理由だと思います」


 とアンディが説明を加える。


「にしたって、六人で一体ってことだろう? それはゴールドの普通の戦い方なんだ」

「あの、僕ら、登録の更新をして欲しいだけなんですが」


 と言ってみる。


「いや、あのな、持ってきたものの真偽を確かめたいし、そうしないと、更新もできんわけだ。少し付き合え」


 と強引に僕らをギルド裏の訓練場に連れていく。ギルドにいた暇そうな冒険者も訓練場についてくる。爺さんずもだ。爺さんずは、


「おーいジョーンズ、その子らを試すのはやめた方がいいぞ」


 と言ってくれている。だが、聞く耳を持っていない。

 仕方ないなぁ。と思う。



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