表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/376

高等学園ー7

 翌日、僕らは山に入っていく。


「わかっていると思うが、なりたての冒険者は魔獣を倒してギルドに売り、お金を儲けている。だが、今日は急ぎなので、放置していく」


 まあ、そんなにお金に興味はない。というと嘘になるが、現状必要ではない。

 そう言って爺さんずについて森に入っていく。

 爺さん二人が前を歩き、最後を前国王が歩く。出てくる魔獣は襲ってくれば撃つ、逃げるようなら無視、美味しそうなら撃って解体処理という感じで進んでいく。


 夕方まで歩くと、だいぶ標高も上がってきたのか、木々が低くなってきた。気温も下がってきたような気がする。

 僕らはらいらい研の制服を着ている。ちなみに、一人に一匹ずつ猫が入っている。なので、温かい。


 木々がなくなったところで、横一メートル縦二メートルくらいの穴がぽっかりと開いているところに出た。


「今日は、この入ったところで野宿するぞ」


 と穴に入っていく爺さん達。

 入ってちょっと下がったところに、ちょっとした開けたスペースがあった。そこには野宿をした跡があった。


「前もここで野宿したんじゃ」


 とのこと。野宿の間は、爺さん達が交代で見張りをしてくれるらしい。猫達も出してくつろがせる。




 朝になった。僕らは同じ並び方で奥に入っていく。爺さん達の左手にはキザクラ商会のランタンが握られている。右手には魔法銃だ。洞窟の中には誰もいないから、出しっぱなしでもいいらしい。

 もちろん、僕達もランタンは持っている。銃はまだコートの中。

 現れるコウモリや蛇は無視。時々出てくる魔獣、ホーンラビットやホーンウルフなどは、爺さん達が魔法銃で近づく前に瞬殺している。それらは当然放置だ。


「いいのか? 魔獣が寄ってくるぞ?」

「帰りに拾えばよかろう。そんなに時間はかからんかもしれんしな」


 とのことだった。


 そうして、途中で昼休みを取り、さらに半日もした頃、青白く光る水面が見えた。

 光っているということは、といって見上げると、空が見える。だが、百メートルくらい上だ。

 とりあえず、上はいいとして、美しい地底湖を見ようと近づく。

 湖の淵に立って覗き込むと、爺さんの一人が僕を引っ張った。

 その瞬間、僕の頭があったあたりに巨大な魚が飛んでいた。ギョッとその魚を見つめていると、もう一人の爺さんが魔法銃、アイスバレットで撃ち抜いた。

 その魚を持って、奥へ歩いていく爺さん。


「おーい。魚だぞ。食べるかー」


 と。

 誰かいるのか? しかも生で食べる? 誰かではなく何かか?

 と、見ていると、奥からトコトコトコと歩いてくる……子供? なんでこんなところに?

 僕は、というか、京子ちゃんも驚いていた。赤い髪の子供は着物を着ていた。しかも髪型は姫カット。背の高さは百五十センチないくらいか。


「あの、なんで、というか、あの服はなんですか?」


 と爺さんの一人に聞く。すると、


「わしらも見たことがなかったのだが、もしかしたら、遠い国の服なのかもしれないな」


 と。僕と京子ちゃんは興味が出て、近づいていく。


 魚を持った爺さんがその魚を子供に渡す。尻尾を持って。

 子供はそれを一瞬受け取る。というか、結構力持ちだな。自分と同じくらいの魚を持ち上げているぞ?

 子供は、その魚を不機嫌そうに返した。仕方ない、という感じで爺さんは鱗を取ってやると、子供は喜んで受け取り、魚に齧り付いた。

 いいのか? 骨とか内臓とか。しかも生だぞ? 寄生虫とか大丈夫だろうな。


 食事が終わるのを待って、僕と京子ちゃんが話しかける。小さい子供にはかがんで目線を合わせるのが基本だ。


「こんにちわ、お嬢ちゃん、お名前は?」


 ビジッ、僕はデコピンを食らった。しかも、よけられなかった。


「お前、気安いな。名を名乗る時は自分からでは? そもそも、妾の方が年上だぞ? おそらく」


 と。仕方ない。そういうプレイか?


「申し訳ありませんでした。僕はグレイス。こっちはソフィ、後ろに立っているのがフランとミハエルです。こっちの老人達は知っているのですよね?」

「うむ知っておるぞ。名乗り、ご苦労。妾はこはるじゃ」


 僕と京子ちゃんは驚いて目を合わせる。日本名か? 京子ちゃんが聞く。


「こはるちゃん、」


 ビシッっとまたデコピン。京子ちゃんがおでこを抑えている。


「妾はお主らより年上だといっとろうが」


 京子ちゃんは、イタタタタとおでこをさすっている。


「まあ、特別に許す。こはるちゃんと呼べ」


 いいのかよ。京子ちゃん、デコピンされ損じゃん。


「ではこはるちゃん、どこからきたのかなー」


 こはるは、


「年上だと言っとろうが」


 と呟きながら、


「上じゃ」


 と真上を指差す。僕らは見上げると、さっきの穴が空いているのが見える。


「あそこから落ちたの?」


 ビシッとまたデコピン。攻撃が速い。またも避けられない。


「あそこから来たのだ」


 言い方かぁ。めんどくさいな。でだ。僕らはなんで来た?


「あの、それで僕らはなんで連れてこられたのでしょう」


 と爺さんずに聞く。


「この子を地上に返してあげたいのだ」

「返せばいいんじゃない?」

「それができないから、お前らを連れてきたのだ」


 ふむ。と上を見上げる。僕は言う。


「来た方から出ればいいじゃん」


 爺さんずは驚愕の顔をしている。まさかと思うけど。聞かないでおいてあげる。僕は、


「行こうか?」


 と言って、こはるを抱き上げようと、体に手を回して抱えようとする。が、全く持ち上がらない。


「重たっ」


 ビシィッ、今度は頭にチョップだ。


「乙女に重いとは言ってはならないことを!」


 と顔を赤くして怒っている。


「あのな、妾がそっち側から出ると、おそらく森の魔獣が一斉に山を駆け降りるぞ? いいのか?」


 と言う一言で京子ちゃんが気づいた。


「グレイス君、その子の魔力」


 と囁いてくる。じっと目を凝らすと。あー、でかいし濃いな。

 と言うか、ちょっと反省。普段から見るようにしようかな。人が光って見えるのって、見づらいんだよね。


「と言うことは、上から返したいと?」


 うむ、と爺さんず。


「こはるちゃんは登れないのかな?」

「妾はか弱いのだ」


 重いの間違いだろう、ドスッって、今度は蹴りかよ。っていうか、心を読むな。


「ミハエル、こはるちゃんを抱えられる?」


 ミカエルは試しにこはるを抱き抱えようとするが、「ちょっと辛い」という返事。そうか。


「僕とミハエルの二人なら?」


 とやってみると、なんとか浮かすことができた。でもその程度だ。仕方ない、ここでも奥の手か。


「マイヒメ達、ちょっと降りて」


 と猫と武器を外して身軽にしていく。

 爺さんずにちょっと向こうを向いていてもらう。そして、僕自身とミカエルに強化魔法をかける。これ、体の機能が上がる反面、代謝が上がるし、筋肉痛はくるしで辛いんだよね。

 で、二人でこはるちゃんを持ち上げる。お、なんとかなるな。じゃあ二人で持ち上げて登るか。


 まずはこはるを布で包んでと。布が持つかな。その両端を僕とミカエルに結ぶ。バランスが悪いけど仕方ない。これで登ろう。

 幸いにも、九十度以上には切り立っていないし、手足をかけるところもあった。


「こはるちゃん、登るのは試したことあった?」

「あるが、妾が足をかけると崩れるのだ」


 とのこと。

 これも突っ込まないでおこう。なんとか、落ちないように、声をかけつつ、一歩一歩登っていく。落ちたらどうなるかな、と考えていると、


「落ちたら妾が助けてやる」


 と、こはるちゃん。


「お願いします」


 と言っておく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ