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高等学園ー5

「おーい、第三試合を始めるぞ」


 と先生が言うので、僕らはまた配置につく。が、不良上級生が言ってくる。


「お前ら、魔道具は反則だからな。」


 と。

 わかっているわ。魔法で勝負してやる。


「で、らいらい研、今回も叫ぶか?」


 と言うので、


「我らはらいらい研、お前らぶっ潰す! 正々堂々かかってこい!」


 とアンディ。

 会場の誰もが白目になった。本当に僕の役割じゃなくてよかった。


「まあいい」


 と言ってマーレ先生が合図を出す。

 ちなみに、僕たちの配置は、先頭真ん中に僕。その後ろにアンディ。アンディは合図係。残りは棒と一緒に最後方に下がっている。

 いわゆる避難だ。僕は右手を前に突き出し、魔法を出す準備をする。


「それでは、第三試合、始め!」


 魔法研は前衛が土魔法で壁を作る。そして後衛が魔法で攻撃してくるようだ。僕はそんなことは気にしない。

 初公開、僕がこれまで魔法陣を開発してきて身につけた最強魔法の一つをぶっ放す。

 これもほぼほぼ秘匿されるべき魔法だ。弱点は火魔法。

 なので、相手が火魔法を発動する前に、速攻で打ち出す。


「てー」


 というアンディの合図で開始直後に最大級の魔法を打ち込む。

 が、何も見えない。僕が打ち込んだのは一種の風魔法。

 ウィンドバレットとかウィンドカッターみたいな危ない魔法じゃない。

 打ち出した魔法が、相手の陣地に到達する。すると、魔法を唱えていた生徒たちが崩れ落ちる。コートから逃げ出す生徒も多数。僕達は、しばらくしてから突入する予定だ。が、ついに、棒を持っていた生徒まで倒れ、棒が倒れた。

 ひどい有様だった。多くの生徒が手と膝をついて吐いている。

 先生は何が起こったのかと、魔法研の方へ向かうが顔を抑えて立ち止まる。


「せんせー、僕たちの勝ちでよかったら、風魔法で飛ばしますよー」


 というと、


「らいらい研の勝利! だから、はやくしろ!」


 と。仕方ない。


「みんな、いくよ!」


 と使えるメンバーで風魔法を打ち出し、魔法研を囲っていた空気を押し出す。

 が、その押し出された空気が観客席に到達すると、地獄のような光景がまた広がった。ごめん。

 ちなみに、僕が打ち込んだのは、あの、空気浄化魔法の後半部分に書かれていたあれである。母上が、椅子に仕込むいたずら道具を作ろうと言ったあれである。それを最大級に濃縮して敵陣を囲むように打ち出した。


「うん。最強だった」


 と満足する。

 最後方に避難していたメンバーにはもちろん、全くの被害もない。アンディにすらないのだ。

 だが、僕を見る目がものすごく冷たかった。なぜだ。解せぬ。


 魔法研のメンバーは皆、救護室へ連れて行かれた。なので、グランドにはマーレ先生と僕たちだけだ。


「先生。僕たちの勝ちでいいんですよね。で、顧問の先生もマーレ先生ですね」


 と確認をとる。


「そうだな、お前たちの勝ちだ。あの部室は早々片付けてもらう。その後から使うといい」


 と苦い顔で言う。


「ただし、今度あの最後に使った魔法を学園内で使ったら、お前の退学を申請するからな!」


 と、声を荒げるマーレ先生。


「えー」


 と非難の声をあげる。が、他のメンバーは当然だ、という顔をしている。


「まあ、よろしくな。面白かったぞ」


 と最後には笑顔で僕たちを受け入れてくれた。


 僕たちは部室を得た。大きさは生徒会に次ぐ二番目の大きさ。ここを十二人で使う。広々としている。楽器も置けるしダンスもできる広さだ。やっていいかは別だけど。


 魔法研は後日なんとか立ち直り、武具研に対戦を申し込んで、なんとか勝利した。で、武具研は……という感じで数珠繋ぎで部室の奪い合いが起こった。僕達の知ったことではない。


 僕達は、とても広い部室に、新メンバー募集でもするか、という話もしたのだが、高等学園中に「らいらい研には手を出すな!」が合言葉のように広がり、ついぞメンバーが増えることはなかった。僕は疑問に思っていたが、皆は納得していた。


 ある日の帰り道、僕らは調子に乗って「次は生徒会室かな」って言っていたら、生徒会から、「部屋を交換してもいい、だから対戦は勘弁してくれ。なんなら生徒会をやるか?」という提案を一方的に受けた。

 まあ、今の部屋でも広いから、その申し出は断っておいた。生徒会? めんどくさいじゃん。


「ねえねえグレイス君」


 というのはベティだ。何? って顔をすると、


「この制服、もらっていいの?」


 と、確認してくる。


「うん。らいらい研の制服としていいんじゃない?」

「やった」


 と言ってベティはくるっと回る。スカートのように広がっても、中は見えない。気にもしない。ジェシカもビビアンも気に入っているようだ。


「でも、クラブ活動の時以外に着るなよ」


 とはいえ、みんな着ている。


「クラブ活動帰りならいいか」


 こうして、高等学園でのクラブ活動もスタートした。


 ある日、ベティはクラブが終わって家に帰る。途中までジェシカとビビアンと一緒に帰ってきた。

 家の近くで別れ、家に着く。門を潜って屋敷に入っていく。ここは、カールソン子爵邸だ。


「ベティ、帰ってきたのか」


 とカールソン子爵。


「はい、お父様」

「高等学園はどうだ?」

「友達もできて、とても楽しいです。放課後にはクラブ活動をするんです。特に何って決めたわけでもないのですが、楽器演奏とかとても楽しいです。高等学園に通わせてくださり、ありがとうございます、お父様」

「ところで、その服はなんだ」

「はい、これはクラブ活動の制服です。かっこよくて気にいっているんです」

「特徴のある服だが、どこかで見たことがあるような……」

「はい、これは、ローゼンシュタインのご子息であるグレイス君が、ローゼンシュタインの騎士団、黒薔薇騎士団の団服を真似したと言っていました。ふふふ」


 と言ってベティは一回転する。一回転したがために、子爵の顔が曇ったことに気づいていない。


「そうか。楽しそうでよかった。友達を大事にしなさい」


 と言って、カールソン子爵は去っていった。


「はい。お父様」


 ベティは父親の背中に満面の笑顔を添えて返事をした。


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