高等学園ー2
なんと、魔法研の顧問もマーレ先生だった。先生も驚いた顔を隠せない。
「えー、もう申し込んじゃったの?」
「はい、なりゆきで」
と苦笑いしておく。
さっきの不良上級生はマーレ先生に対戦を申し込まれたこととこれを受諾したことを伝え大人しくしている。
仕方ないなーと、マーレ先生は書類を作っていく。
「えっと、対戦を申し込まれたのが魔法研で、申し込んだあなたたちは何研なのよ」
え、急すぎて、何も考えていなかったけど、「研」限定なのか?
僕はみんなの顔を見ていくが、みんなして任せたって顔をしている。何度も言っているが、僕にはネーミングセンスがない。研、研、研……
「らいらいけ「スパン」
って京子ちゃんが僕の頭を叩いて止めた。
僕は首元を掴まれて引きづられていき、職員室の隅で、
「何て言おうとした?」
って京子ちゃんに責められる。
だから、僕に名付けをさせるなと。
京子ちゃんが戻っていく後をとぼとぼとついていくと、他のメンバーは頭にクエスチョンマークを浮かべている。よくわかっていないようだ。それはそうだ。前世で僕らがよく行った中華料理屋なんて知らないだろう。
だが、もう一人よくわかっていない人物がいる。
「ふーん、らいらい研ね、何かしら、らいらいって。ま、いっか。じゃあ、ハンコを押してっと。はい、完成。これで対戦は決定ね」
と。
マーレ先生は書類をこっちに見せてくる。
上級生はニヤニヤしているし、メンバーたちは意気込んでいる。
ただし、京子ちゃんは、名前がらいらい研に決まったことに唖然としている。
僕だってそうだ。あーあ、先生はジョークのわからない人だったか。と思っていると、京子ちゃんが
「わかるわけないでしょ、そんなの」
と小声で言ってきた。
「なんか楽しそうな名前だね、らいらい、って」
とジェシカ。
「うんうん、そうだよね、意味がわからないけど」
とベティ。ビビアンも頷いているが、大元の原因になったことを気にしているのか、ちょと不安げだ。
「ビビアン、大丈夫だよ。負けたって、これまでどおり外に行くだけだって。また来年チャレンジすればいいじゃん?」
って言って慰める。すると、空気を読まない二号が、
「何言っているの? 来年なんてないわ。部室はもう手に入るからね」
と上級生をあおる。
それを聞いて不良上級生が苛立ちを募らせていると、職員室のドアが開いた。
「先生、うちの研究室が対戦を受けたって本当ですか?」
と誰だ、この人。制服を着崩してなんていないし、眼鏡をかけて真面目そうだ。
「おう、そうだぜ、そこの生意気そうな新入生がいたから、対戦の申し込みの仕方を教えておいたわ」
と、不良上級生が説明する。
「俺らが負けるわけないだろ、な、部長」
「先生、対戦するための書類はできちゃっているんですか?」
「できているよ、魔法研対らいらい研だ」
何度も言わないでほしい。恥ずかしくなってきた。
「じゃあ、規定どおり、三日後までに対戦方法を考えてきてくれ。その後二日間で調整し、らいらい研へ対戦方法を私から伝える。その五日後、つまり、今日から十日後に対戦だ。いいな。じゃあ、今日のところは解散」
と、先生に言われ、僕らは高等学園を後にする。
仕方ないので、僕らはキザクラ商会のスタジオに向かう。
どこで聞かれているかわからないので、いつものところで相談をすることにする。さて、整理する。
「多分、魔法研は、部室の大きさから言って、それなりに人数が多いか、それとも少数でも強いってことになるね」
うんうん。
「で、当然高等学園に魔法専攻があるんだから、そこの人たちが入っている可能性が高い。しかも成績上位の人たち」
うんうん。
「魔法専攻の上位が他のクラブに所属している可能性はあるけど、でも、強い人がいないと、あの部室は維持できないもんね」
うんうん。
「ところで、私たちって、魔法をどれくらい使えるの? というのは上級生と比べてだけど。逆にいうと、上級生って、どのくらい使えるんだろう」
うんうん。
「でもさ、対戦方法が重要じゃない? 魔法研っていうくらいだから、魔法での対決だと思うけどね。でも、こっちは五日間は対戦方法を知れないけど、向こうはこの五日間も前もって準備できるってことだもんね」
うんうん。
「一発勝負かなぁ」
「一発勝負でもいいけど、負けた時に挽回ができないのも辛いから、何回かやる可能性もあるよね。勝ち抜き戦とかもあるかも」
「やっぱり、考えてもわからないよね。仕方ない、五日間待つか」
「ところでね」
落ちがつきつつあるところで、京子ちゃんが話題を変える。
「クラブの名前なんだけど……」
「おう、らいらい研って響き的になんかの格闘術みたいでかっこいいな」
とボールズ。
「楽しそうな名前だよ、らいらい、ってさ」
「「うん」」
ってマリンバ隊。
「変わった名前ですけど、いいと思いますわよ、和気藹々という感じもして」
とクララ。
「……もういいわ」
と諦める京子ちゃん。
「あれ、僕って、意外とネーミングセンスある?」
って呟くと、
「ないわ」「そこだけが残念です」「期待していない」
と京子ちゃん、かなで、ミカエル。




