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高等学園ー1

 春になって高等学園に入学した。制服は相変わらず騎士服みたいな感じ。女子はスカートだ。スカート、騎士として活動する時には絶対に邪魔だよね。

 うちの黒薔薇騎士団はロングのスカート並みのコートを着用しているけど、中はちゃんとズボンを履いている。


 入学式をなんとか終えて教室へ移動する。ついこの間までの仲良し十二人はバラバラになり、同じクラスになるのは、僕たち四人とリリィとボールズ。


 教室で座って待っていると、担任の先生が現れる。マーレ先生じゃん。異動になったのかな。

 説明として、午前中は座学、午後は全て実習らしい。座学では他の専攻で習う内容、政治や魔法先攻と一緒に学んでいくらしい。数学もね。

 二年生からは選択科目もあるらしい。植物とか動物、魔物に関する講義とか、鍛冶や被服なんかも学べるらしい。将来の職業を見越した授業構成になっているんだな。

 今日はオリエンテーションのみで帰る。


 校舎を出た所で、いつものメンバーが待っていてくれた。アンディ達三人とマリンバ隊の三人だ。僕達は十二人になって帰ろうとする。が、校舎を出たところから門まですでに騒がしい。

 何かとアンディに聞いたら、クラブ活動の勧誘らしい。

 なんか、前世でもこんな光景を見たなと、遠い過去を思い出す。

 見ただけで勧誘を受けたわけではない。寂しいことだが。


「そういえば、クラブ活動は新しく作ることもできるのですよね」


 とクララ。


「その場合、どのようにしたらいいのでしょうか」


 とはケイト。


「じゃあ、戻って先生に聞いてみましょうか」


 と京子ちゃん。

 僕らはきた道を戻る。で、職員室に入ると、マーレ先生を探す。


「マーレ先生、聞きたいことがあります」

「なーにー」

「えっと、クラブ活動のことですが」

「今、勧誘やっているよね。興味のあるところに入ったらいいんじゃない?」

「そのことなんですが、僕ら、新しいクラブを作りたいんです、この十二人で」


 と、マーレ先生を訪ねた理由を告げる。


「えー、めんどくさいことするのね」


 と。棚からクラブ活動に関するファイルを持ってくる。


「うちの高等学園はね、部室が四十室しかないの。大きいものから小さいものまでね。で、その数しかクラブを認めていないの。だって、野良クラブとかあっても管理できないでしょ?」


 マーレ先生はこの高等学園のクラブ活動について教えてくれる。


「では、高等学園の外に部室を作るのもダメってことですか?」


 そうね。と先生は頷く。


「じゃあ、クラブに入らないで、外で勝手なクラブ活動をするのは?」

「そういうのやってもいいけど、学校の中のイベントにはそのクラブでの参加はできないわよ」


 そりゃそうだね。


「じゃあ、どうしたらクラブを認めてもらえるんですか?」

「それは簡単よ、奪うの」

「奪う?」

「部室が四十室あるって言ったでしょ? その大きさはさまざまなの。小さい部室でいいっていうクラブから、大人数で大きなところが必要っていうクラブもあるでしょ? だから、必要な部室のサイズを決めて、その大きさの部室を使っているクラブに対戦を申し込むの」

「申込方法は?」

「顧問の先生に言えばいいわ。クラブに直接行っても、知らぬ存ぜぬを通されたらめんどくさいでしょ」

「対戦方法は?」

「それは、対戦を申し込まれた方が決めるわ。ただし、怪我とか極端死んじゃうようなことは絶対になしね。で、先生の誰か、大抵は申し込まれたクラブの顧問ね、が立ち会うわ」

「顧問の先生が立ち会うってことは、そっちの方が有利ってことですか?」

「その辺はわからない、立ち会う先生にお任せだから。もしかしたら、たまたま偶然見ていなかったなんてこともあるかもね。それは否定しないわ。でも基本は公平よ。だって、そのクラブがなくなってしまったら、顧問は新しいクラブの顧問になるんだから。それにあんまり不利になるような条件にはしないわ」


 なるほど。


「ちなみに対戦は何度も申し込めるのですか?」

「いえ、一度対戦を申し込んで負けたメンバーは一年間対戦を申し込めないわ。だから、クラブに入りたかったら他のクラブに入るしかない。で、対戦を受けた方が負けた場合ね、その場合は、部室が申し込んだクラブのものになるし、負けた相手に一年間対戦を申し込むことができない。それに、負けた相手のクラブに加入することもできない。内部崩壊させられたら困るしね。でも、他のクラブに対戦を申し込むことはできるわ。なので、強いクラブが負けると、そのクラブがまた下位のクラブに申し込んで、って連鎖が起こる。いやいや、めんどくさいわ、考えただけでも」

「では、他のクラブに入りたくなかったら?」

「クラブ活動を諦めなさい。さっき言ったみたいに学園の外で集まるってのもありよ」

「ちょっと部室がどこにあるのかと、どのクラブが使っているのかを知りたいので見せてもらえませんか?」

「いいわよ」


 と、ファイルを渡してくれる。


「基本、体育会系は外に部室があるわ。反対に文化系は校舎の中ね。あなた方は、室内かしら。ちなみに室内で一番大きいのは生徒会よ、人数は少ないけど強いのよね。ちなみに、今年から顧問が私になったわ。ついで大きいのが魔法研かしら、人数が多いのよね。まあ、一年生のしかも入ったばっかりで部室を狙うってこともそうそうないけどね」


 と。マーレ先生はため息をつく。


「ありがとうございました」


 と言って僕らは職員室をでる。




「どうするんだ?」


 とアンディが聞いてくる。


「アンディの力でなんとかならない?」

「なるわけないだろう」


 そうだよね。学園内で王子の力をふるったら、批判殺到だろう。


「生徒会一択じゃないのか?」


 というのは脳筋ボールズ。


「その通りだわ」


 というのは脳筋二号のリリィ。ほんとに、そんなキャラだったか?


「魔法研が二位に甘んじているっていうことはきっと生徒会は魔法も得意なんだろうな」

「きっとそうだろうね」

「どうする、いっそのこと体育会系を狙う? うちら、楽しいことならなんでもやりたいし、外でもいいんじゃない? 楽器とかは外の方が響かないかもよ?」

「でも、冬寒いかもじゃん」


 うーん。決まらないな。結局玄関から出て、うるさい勧誘を無視しながら歩いて行く。

 とりあえず、学園の外に行って、考えるつもりだ。スタジオに行くか、うちに来る? って感じで。

 人がたくさんいる中を歩いて行くので、流石に僕ら十二人の列も細長くなる。最後の方にいるのはマリンバ隊とボールズ。その前にアンディ達、先頭が僕達だ。

 そのせいで、ちょっと気づくのが遅れた。シャツのボタンをはだけた上級生と思われる生徒がマリンバ隊に絡んでいる。


「ねえ、俺らのクラブに入りなよ。魔法に興味ない? 魔法の使い方教えてあげるよ。授業だけより、うちの部に入った方がいろいろね。成績も上がるよ、ねえねえ」


 なんてマリンバ隊に勧誘していたが、あほ上級生が ついに最後にいたビビアンの手首を掴んだ。


「やめてください」


 とビビアンが叫ぶと、当然反応するのはボールズ。


「おい、俺らの仲間に何をするんだ?」


 となる。そりゃね。


「なんだ貴様、新入生のくせに、俺らが親切にクラブへ勧誘してやってんだろうが」

「そうやって無理やり誘うのを親切なんて言うか?」


 と、ボールズが上級生につかみかかる。


「貴様、俺らに逆らおうっていうのか?」

「逆らう? 違うね、お前ら潰してやる」


 あ、ボールズ何言ったかわかる?


「貴様聞いたぞ、うちのクラブを潰すと言ったな? よし、顧問のところへ行こう。お前ら、一年間クラブを作れないからな」


 あーあ、そこのクラブどこだよ。小さい部室だったらどうするんだ? 意味なしじゃね? また大きいところを狙わないとダメになるじゃん。


「おう、行ってやるわ。どうせ弱小だろうしな」


 お、ボールズ煽るね。


「吠え面かくな、うちは魔法研だ。脳筋のお前なんか簡単にひねりつぶしてやるわ」


 お、ボールズ、グッジョブ。狙っていたところだよ。ほんとは生徒会狙いだったけど、二番目ならまあいいや。

 他のメンバーはというと、アンディとミカエルとリリィは意気込んでいる。やってやるとか言っている。

 マリンバ隊はちょっと怖かったのか震えている。

 その他の女子たちは、やれやれ、って顔をしている。

 仕方ない、僕らも職員室に戻ろう。こんなテンプレな展開が待っているとは思ってもいなかったが、ちょうどいい。


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