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王立学園ー14

 数日後、練習の合間に願書を書く。


「なあ、みんなはどこへの専攻を選ぶの」


 と聞くと、

 アンディ、クララ、ケイトは政治、マリンバ隊は魔法、リリィとボールズは武術だそうな。


「みんなバラバラじゃん、それでいいんだ?」


 って言うと。


「そりゃね、みんな得意不得意とかやりたいことで選ぶんじゃない? 僕は将来のことを考えて、政治の勉強をするよ」


 とアンディ。

 さすが、将来の国王候補。クララとケイトもアンディと一緒に政治の世界に入りたいらしい。


「リリィは脳筋だから「ぐほぅ」


 僕のお腹にぐーが刺さる。


「違うわよ。私は体を動かすのが好きなの。本当はね。でも婚約者にされた時から我慢していたのよ」


 とのこと。ボールズも同じだな。


「私たちは、魔法が好きなんですよね」


 とマリンバ隊。


「ソフィ、フラン、ミハエルは何か考えている?」


 と聞くと、ミカエルはまあ聞くまでもなし。


「武術か魔法かな。でも、この六年間で魔法ってあんまり学ぶことがなかったんだよね」


 と京子ちゃん。


「私はどちらかというと武術がいいです。グレイス様に作ってもらった鎌ももっと使いこなせるようになりたいですし」

「私もソフィ様を守れるように武術でしょうか」


 ぶっちゃけ、京子ちゃんの言う通りなんだよね。

 それに、魔法ってやっぱり魔法陣に比べて発動が遅くなる。細かいことはできないかもだけど、魔法陣の方が単純なことなら効率がいい。

 とはいえ、表に出ている魔法陣はなく、ローゼンシュタインが独占している。となると、学びたいものも学べないと。


「グレイスは何を悩んでいるの?」


 とリリィ。


「僕もソフィと同じで、正直政治には興味ないし、興味のある魔法も実家で習ったほうが効果的かなと。そうなると、習いたいというか、上手くなりたいというか、強くなりたいと思うところが武術なんだよね」

「じゃあ、武術にしようよ。他の三人も武術って言っているじゃん」


 京子ちゃんはまだ言っていない。

 でも、そうだな、って言って、武術に丸をつける。


「ところで、専攻はそうだとして、クラブ活動はどうするつもりだ?」


 何? それ。部活? 放課後にやるやつ?


「それって、放課後にやる自主活動みたいなやつ?」

「そうだ、体育会系であれば、剣術とか武器を使わない武道とか、最近流行っているバレーボールとかドッヂボールとか、サッカーとかもあるぞ」


 僕らはちょっと苦笑いをする。


「バレー、面白いよな、興味あるんだよね」


 とボールズ。


「このまま新しい音楽部を立ち上げるのもありですよね?」


 とマリンバ隊。


「みんなで何かやるなら俺も入れて欲しいぜ」


 と焦るボールズ。


「冒険者クラブとかある? 知り合いの冒険者が楽しそうに見えるんだよね」

「魔獣とか倒すんですよね。私もやってみたいです。私の武器が通用するといいです」


 むふーとかなでは僕に賛同してくれる。


「よし、俺もついていくぜ」


 と、ボールズ、何にでも食いついてくるな。

 リリィは僕をみたりみんなをみたりキョロキョロしている。それを察した京子ちゃんがまとめる。


「クラブ活動って、新しく作ってもいいんだよね。じゃあさ、このメンバーで楽しいことをするクラブってしようよ」


 と言った瞬間、


「賛成!」


 とリリィ。

 リリィ、お前絶対にキャラ崩壊しているからな。それとも、クーリエの婚約者だったときは、猫をかぶっていたんだな。何枚も。


「そのためにも、みんなで合格しなきゃね」


 って京子ちゃんは容赦なくリリィをあげて突き落とす。


「おー」


 と、みんなで決意を固める。


 帰ってから、両親に確認をとる。父上は武術を選択したことが意外そうな顔をしていたが、母上は「さすが私の子」と言っていた。決して母上に鍛えて欲しいわけではない。

 かなでとミカエルはミレーヌに相談していた。結論として、許可がもらえた。この二人はキザクラ商会の副会長を兼ねているのでお金はいっぱいある。商会に預けてあるけどね。

 なので、金銭的な問題は全くない。そもそも、かなでは僕の婚約者扱いになっているので将来は食いっぱぐれることもないだろう、商会が潰れなきゃ。




 みんなで勉強も頑張って入試も突破した。リリィもちゃんと合格していた。これで、春から路頭に迷うこともなく、進学できることが決定した。後は、卒業式と卒業記念イベントだな。




 早くも、卒業式当日になった。卒業生は皆、学園の講堂に集まった。校長の挨拶、来賓の挨拶、在校生の挨拶、卒業生の挨拶。どこの世の中も一緒だな。ちなみに卒業生の挨拶はアンディだ。


 教室に戻ってからも、マーレ先生からのお言葉をいただき、今度はクララが先生にお礼の言葉を代表として伝えた。こうして、学園生活が終わりを告げた。イベントを残して。




 イベントは再び講堂。小学生らしく昼ごはんを食べながらのパーティだ。

 講堂の後ろの方に立食形式で食事が並び、昼ごはんを食べながら話をする。

 中には、講堂のそとに好きな相手を連れ出しては、玉砕しているシーンも見られる。

 青春だなー。十五歳で成人だから、早くもないのかな。

 講堂の前の方では、音楽部の在校生が音楽を奏でている。弦楽器を中心にした、編成になっていて、いわゆる社交ダンスを踊れるようになっている。

 踊っている人もちらほらいる。特に、アンディとクララは流石に様になっている。


「グレイス君は踊れるの?」


 と京子ちゃんが聞いてくるので、


「習ったことはないよ、だけど、我流でなら」


 と僕はかなでをみる。かなでは嬉しそうに思い出し笑いをする。京子ちゃんが何かに気づいて言う。


「フランちゃんと練習したの?」


 と聞くので、小声で教える。死んだ後、京子ちゃんが追いつくまで、なんちゃってダンスをかなでと踊っていたと。

 京子ちゃんは、ジト目で僕を見て、


「じゃあ、その成果を見てあげるわ」


 と言って、僕を真ん中に連れだす。

 京子ちゃんにちゃんとしたホールドの仕方を教わって、恐る恐る踊り出す。なんとかなりそうだった。


「あの時、かなでちゃんと踊っていたの?」


 と。聞いてくる。


「うん、昔読んだ本の憧れのシーンで、月夜の空でダンスをするシーンがあって、付き合ってもらっていたんだ。まさか、京子ちゃんが一緒に死んじゃうなんて思っていなかったしね。その時に色々話をしていて、そこへ京子ちゃんがきてさ」


 って、懐かしむ。


「そうだったね。私もそのことを突っ込む前に、興味を引いたことを聞いちゃって」


 と。

 ダンスは意外となんとかなった。京子ちゃんのリードがうまかったせいかもしれない。


「後でかなでちゃんとも踊ってあげなよ。ずっと見ているよ。陵くんから誘うんだよ。後、リリィもね」


 と。リリィは絶対無理だろう。


 僕は、かなでとダンスをしながら、あの時のことを思い出し、話をした。綺麗な夜だったなと。

 かなでは今でもよく思い出すそうだ。あの日は特別な日だったと。

 名前をもらって死神をやめて、そして、生まれ変わり、人として僕と一緒に生きられるようになったと。

 かなではあの時の姿のままに育っている。それは僕のためにだ。僕の好みのために、その姿を望んでくれていた。本当に嬉しい。

 曲の終わりに僕は思わず、ぎゅっとかなでを抱きしめてしまった。

 あ、しまった、と思ったけどもう遅い。かなでは真っ赤になっているし、僕もやらかした感が大きい。でもかなでは僕の婚約者になっているしな。問題はないだろう。

 手を繋いで皆のいる方へ下がっていく。

 すると、僕の方をチラチラ見ているリリィがいる。京子ちゃん、なんか言ったかな? 仕方ない。


「リリィ、僕と一曲だけ踊っていただけませんか?」

「ちょっと、なんで一曲だけってわざわざいうのよ。でも仕方ないわね、踊ってあげるわ」


 リリィはそう言って、僕の手を取って自らホール中央へ向かっていく。

 踊りながら、僕は、


「ごめんね、見てわかると思うけど、僕はダンスを習ったことがなくてさ、あんまり上手くリードできないんだ」


 と、先に謝る。


「バカね、ダンスはどう踊るかじゃなくて、誰と踊るかなのよ」


 と言ってリリィは俯く。うん。デレの方が出ているとやっぱり可愛いな。


「ありがとう。じゃあ、このままお願いします」


 と言ってダンスを続ける。


「お願いがあるんだけど……」


 と俯いて小さな声でリリィはいう。


「一曲だけでいいからね、最後にあれ、してほしい」


 耳まで真っ赤だ。いや、可愛いな。普段からこうならな。ギャップがいいからツンデレなのか。


「あれって?」


 って聞く。


「フランにしていたやつ……いじわる」


 俯いたまま、リリィは踊る。


「こっち見て」


 って言ってみる。リリィは顔を真っ赤にして、


「うん」


 って見上げてくる。僕らは不格好だったけど、ダンスを踊った。曲が終わり、リリィは何かを待っている。僕は動かないままいう。


「もう一曲踊ってください」


 と。リリィは


「はい」


 と、とても素直だ。

 二曲目が終わり、約束通り、僕はリリィをギュッてした。

 リリィは僕の首に手を回してキュッとし返してきた。


 さてと、と、手を繋いで戻ると、


「そろそろ準備するぞ」


 とアンディ。

 アンディは余計なことを言わなきゃいのに、つづけてリリィに言う。


「リリィもすぐ出番なんだから早くその顔の赤いの取れよ」


 と。

 リリィはドレスを着ているのに、将来の国王候補のお尻に蹴りを入れていた。



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