エピローグー2(最終回)
「君らさ、りょーちゃんの魔法で年を取らないにしても、天使になって生き続けるとしても、この世界で人としての役割がある以上、おかしいことになるよね。死なない人間って認識になるでしょ? それは他の人族とかからしてどうなの?」
「そうだね。それはその通りだと思うよ。だから、僕は、それなりの歳になったら引退して、誰かに国王を譲るよ。そして、姿を消そうかな」
「え? 消えるの?」
リリィが驚く。
「実際は、どこかいろんなところを旅して、いろんなことを見たり聞いたりしたいかな、って思ってる。旅人なら、何歳でもいいでしょ? この世界にはまだ、見たことがない島も大陸もあるし。ブラックドラゴンにも会っていないよ。グランニューにも会っていない。それに、ソルルの国も見てみたいし。まだ、いろんな出会いも発見もあるはずなんだ。それに、神になったなら、並列世界にも行ってみたい。悪魔達にもお礼をまだ言っていない」
「じゃあさ、みんなで旅をしてさ、旅をしながら歌を歌おうよ」
リリィらしい発想だ。
「吟遊詩人ってこと?」
「じゃあ、私が演奏します」
かなでが言う。
「フラン、ダメよ。あなたはアイドルだもの」
「どっちもやります」
「アイドルは私達に任せなさいよ」
シャルが参戦した。
「えー、いいじゃない。いろんなアイドルがあっても。私もバンドとアイドルを掛け持ちするし」
「私達はどうすればいいんだ?」
おりひめをはじめ、ドラゴン族の妻達。もちろん、こはるはマリンバ隊。
「楽器を習ってもいいし、なんでもいいんじゃない? 僕の妻である君達が、僕と一緒に旅するために、何か役割がいるわけ? 一緒にいてくれるだけで、僕は幸せだと思うんだけど」
四歳児おりひめが僕に飛びついてキスをした。
「初めから決めていることだが、改めて言う。グレイスについて行く。どこまでもいつまでも。この命はグレイスにつないでもらったものだ」
他のドラゴンたちも頷く。
「ありがとう、おりひめ。そして、みんな」
「あのー」
と、話を割るのは、トワ。そして、同じようにフェアリーズ。
「君達も好きにしたらいい。僕から離れて自由にするも、一緒に行動するも」
「そういう選択であれば、一緒にいます。妻やら天使やらはどうしたらなれるんでしょう」
フェアリーズがうんうんとうなずいている。
僕は、京子ちゃんに目を向ける。
「そうなると、もう、すきに名乗ったらいいんじゃない。シャルなんて」
母親をシャル呼ばわりしている京子ちゃん。
「シャルなんて、母親なのに、妻って名乗ってるのよ? こはるの親のおりひめみたいに」
「ソフィ、どうして私まで?」
おりひめが目を点にする。
「おりひめもお母様も、子供の旦那を寝取ってどうするんですか?」
僕、おりひめ、シャルの三人が顔を赤くしてうつむく。あ、ちなみに、シャルや母上、ミレーヌとした記憶は、残念なことに僕にはない。残念か?
「言っておきますけどお母様、私の方が順位が上ですからね」
「私は首席ですからね」
バチバチバチと、視線を交差させる二人。
「私は十番でいいぞ、三番のこはる」
「そうですね、十番の母上。仲良くやりましょう」
こはるもいちいち順番を言うな。おりひめが笑顔でこめかみをぴくぴくさせている。
僕はまとめることにする。
「僕は、みんなが大好きだよ。個性豊かでそれぞれ頑張っていて、それでいて美しくかっこいい。それにみんなといると楽しい。だから、ずっと一緒にいてほしい。みんな、愛している」
よーちゃんとあずにゃんは、「ごちそうさま」と言って、自分たちの世界へ帰って行った。
トワやフェアリーズまでもが妻達と一緒に天使となることを選んだ。
後から、母上やミレーヌも加わり、それを聞きつけた紫苑やコルベット達もずっと一緒にいると言い張った。当然、騎士団も。
希望する者には若返りの魔法をかけた。特にミレーヌやコルベットたちクオーツの年長者が喜んだ。
こうして、僕と一緒にいると宣言をして天使となったメンバーは数百名となった。
百数十年後、ある大陸のある王国。
「お母様、セバスに聞いたのですが、王都にらいらい研という旅芸人が来るとのことですが」
「らいらい研? それは本当のことかしら?」
「セバスが言っていましたら、本当のことかと思います。お母様はらいらい研を見たことがおありで?」
「私がらいらい研を見たのは二十年位前かしら。同じように王都に来たの。その時、子供だった私を、お父様とお母様が見せに連れて行ってくれたのよ。ものすごく幻想的で、かっこよくて、心を奪われて。神様が現れたと思ったわ。私もまねをしてダンスをしたり、楽器を習ったりしたの。また見たいと思っていたのよ。私なんて、当時、両親にわがまま言って、私もらいらい研になりたいってお願いをしたりして。懐かしい思い出だわ」
「本当? じゃあ、お母様もお父様に連れて行ってくれるように説得してくださる? セバスがものすごく勧めてくるの、見た方がいいって」
「もちろんです。なるべくいい席を確保してもらいましょう」
「やったー。お母様、お願いします」
「でもね、らいらい研のアイドル達はとてもきれいだから、お父様のお心が奪われないようにしないとね」
「アイドル?」
「歌ったり踊ったりしている女の子たちをアイドルって呼ぶのよ」
「そうなんだ。でも、お母様が見たのが二十年くらい前なんでしょ? 今は何歳くらいなのかしら」
「それがね、その時にも話になったんだけど、さらにずっと前に見た人が、アイドルたちは全然変わっていないって。歳をとっていないって。どういうことかしら。きっと、代替わりしているのね。まあ、そんなことはどうでもいいわ。あなたもきっと、目を奪われるわ。それぐらい素晴らしいコンサートなのですよ」
「やったー、楽しみー。お母様、グッズも買ってね」
「はいはい。私も当時のタオルを探すわ」
「タオル?」
「それは当日のお楽しみ。楽しいわよ」
二人は、何日か後に行われる、らいらい研のコンサートに思いをはせた。
終
昨年十月に投稿を開始し、およそ十か月にわたり、この第一弾を投稿してきました。
長い間、お付き合いいただき、ありがとうございます。感謝しています。
読んでくださっている人がいる。ブックマークをつけてくださった人がいる。評価をつけてくださった人がいる。
それだけで、どれだけ嬉しかったことか。
第一弾も、第二弾も、書きたいこと、思いついたことをとにかく突っ走るように書いてきました。
よって、読み返すと、こんなエピソードも、あんなエピソードもあってもよかったな、とか、もっと風景や心理描写をした方がよかったな、なんて、今更ながら思ったりします。
キザクラたちの話も書きたかったし(ほぼほぼフェードアウトでごめん。書けばいいじゃんって? マルチタスクできないんだわ)。
第二弾を書き上げた後なんて、千里が好きになってて、「どうしてもこのままじゃ終わらせられない」って思ったりもして(笑)。
それで無理やり第三弾をと(笑)。
「好き」って言う! だって、好きな人に好きって言えない人生は絶対に後悔するもん。って、千里が言った。
というタイトルで第三弾を投稿していきます。
第一弾同様に、のほほんとしていきます。
よろしければ、またお付き合いください。
皆様に感謝を。




